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2025/03/11

新日本語述語文法−再入門(3)

新日本語述語文法−再入門(3)
 まず「主部律/述語律」の全体を鳥瞰してみよう。


新文法:主部律と述語律の視点から


表2:文節の規律力


文節・膠着種別


活用(構文相)


相互規律力


例:自立語の役割


主部要素


・体言文節
名詞/名容詞体言:[+]格助詞/係助詞…
を膠着。
(主部体言が主部律を果たす。補語は述語律を持つ)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:
[+]判定詞(である)で連体文機能を果たす.


・主部律
①主/
②客/
③対象/
④提題…
登場人物の格指定。


①主:主/排他格[+]が…
②客:与/奪格[+]に/から/…

③対象:対格[+]を/…
④掲題:係格/掲格[+]は/も/…:[+]は/は/には/では/…何格でも掲格化し構文を作れる。(述語律関連)




述部要 素


・動詞文節

動詞語幹:[/]態接辞[/]接辞…
を膠着。
(態動詞文節が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①能動系
四態:✜
②強制系
四態:・✜
③使役系
四態:;✜


①能動態:可能態/結果態/受動態:

②強制態/強制(可能態/結果態/受動態):

③使役態/使役(可能態/結果態/受動態):の3×4=12律。


・形容詞文節
形容詞語幹:[k]接辞[/]接辞…を膠着。

(自立語が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①属性律:
 性質/属性
②感情律:
 感覚反応
③感属律:
 感情反応


①属性形容詞:
 :> 重い/軽い/細い/…

②感情形容詞:
 :< 楽しい/つらい/痛い/

③感属性形容詞:
 :<> 望ましい/懐かしい/
 冷たい/怖い/…


・補語文節
補語:[+]de[×]接辞[/]接辞…
を膠着。
(補語文節の体言が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①指定律:
②措定律:
③推量伝聞律:


①指定律体言:
 =| 呼称/固有/役職/分類

②措定律体言:
 :| 事由/形式/回答語/…

③推量伝聞(体言):
 ;| らしい/そう/よう/…

 ここに述べる「主部律「述語律」は重要な概念であり、広く啓発していきたい文法法則です。
しかし初耳の主部律/述語律だと思いますから、全体の鳥瞰表示を一見して納得できないのは、普通でしょう。

・「主部律」であり主部要素間の格関係を規律します。
「主語律」ではありません。(述語は主語だけに限定従属するのではなく、主部(主/客/対象)を格関係として規律し、矛盾せず整合することが条件です。主部要素の一部しか顕在せずとも矛盾しないなら文章は成り立ちます)
・「述語律」であり、「述部律」ではありません。単一の述語が主部要素:主/客/対象を均等に規律する。
(同類の述語を重ねる場合もありますが、矛盾せず整合することが条件です。重ねて指摘すると、述語は主語とだけ規律し合うのではなく主/客/対象を均等に規律します)

 

例文を解説して説明を深めます。(言葉足らずながら、自立語に注目してその役割区分を記述しました)

 例1:「春雨ぢゃ(から)、濡れて参ろう」:春雨ぢゃ=補語文節②措定律(回答語)①連用形、:濡れて=①連用形・参ろう=意向③終止形。
 例2:「女は殴られた男に復讐した」:女は=④掲格・主①連用形、:殴られた=受動(③終止形/②連体形)、:男に=奪/与格①連用形、:復讐した=(女④係格が係る・自律)③終止形。
 例3:「女は殴られた男が赦せなかった」:女は=④掲格・主①連用形、:殴られた=受動(③叙述修飾/②限定修飾)、:男が=①根源格①連用形、:赦せなかった=(女④掲格・主も係る、男も①排他根源格として係る・已然)不可能③終止形。
 例4:「僕はウナギだ」:僕は=④掲題①連用形、:ウナギだ=補語②措定律(回答語)③終止形。(鰻屋での注文の場面)
 例5:「源さんはマンジュウがこわい」:源さんは=④掲格(感情体)①連用形、:マンジュウが=①排他根源格(属性体)①連用形、
 :こわい③感属律(源さん感情体・マンジュウ属性体ともに係る)③終止形。
 例6:「象は鼻が長い」:象は=④掲題(所有体)①連用形、:鼻が①排他根源格(属性体)①連用形、:長い①属性律③終止形。

 日本語の構文形式は多くの場合、応答文形式=問答文に当てはまる。
例4「僕は(何を注文しようか?)、ウナギ(回答語)だな」、
例5「源さんは(なにがこわい?)、マンジュウが(回答語)こわい(源さん感情体/マンジュウ属性体を規律する)」という論理的な思考形式に基づいた構文なのです。

例2、3「女は殴られた(ので)…」先行文:叙述修飾文・前提条件文と解釈する。同時に先行文が限定修飾機能で「男に/が…」に係る。殴られた③終止形は②連体形と同形なので限定修飾と紛らわしい。が、一列順番に発話表現する文章制約を勘案すると、殴られた:叙述修飾文(ので付き)・①連用形だと解釈するのが合理的でしょう。(関係詞が潜在して後続文につながると考えてもよい)

 ・形容詞の述語律:3種類は文章中での配置に関係なくほぼ固定的に決まるので、習得しやすいでしょう。(形容詞が主部要素の格関係:所有体/感情体/属性体の配置を要請し規律するとみなす)

・名詞の述語律:大別3種類だが、役割が細分化されるので十分に習熟度を上げておきたい。(名詞の補語要素は主部要素でもあるが、述語要素の働きが100%です。特に普通名詞の補語は②措定律:回答語であることが多い)

・動詞の述語律:態三系四態12種類だが、態接辞に固定的な述語律であり、3種×四態(ほぼ共通)なので修練方法は明確です。

つづく。

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