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2025年4月

2025/04/24

「だまくらかす」に騙されるな!

「だまくらかす」に騙されるな!

 先週半ばに、特殊詐欺メールを受け取った。

・東京ガスを名乗る発信で、「電力料金未納あり、緊急支払いを」という表題です。 内容は、それらしく「特定供給支店番号、契約プラン、¥3830-、48時間超えたら電気の供給をとめる。詳しくは「よくある質問ページ」への誘導」であった。

・メール内容の各項目にも不審な表現だらけだが、第一に電力料金を東京ガスには任せていない。いわゆる特殊詐欺の手口である。
東京ガスのHPにはこの手のメールが横行しているので注意喚起の記事が載っている。

 この詐欺メールで「だまかされないように」と思考するうちに、
【だまくらかす】の意味、言葉の成り立ちを明示できると、詐欺に引っかからないように身構えられるだろうと思った。

「だまくらかす」の辞典での扱いは、方言とか俗語とかで片付けられ、「だます/だまかす」ぐらいまでの解釈がせいぜいです。

 頼りになるのは『岩波古語辞典 補訂版』です。
・騙し①damas[i]-,③damas[-]u:四段:あざむく。いつわりたぶらかす。
・騙り①damar[i]-,③damar[-]u:四段:そ知らぬ振りをする。表面を偽る。
しかし・だまかし①/だまかす③:まだ派生していなかったらしく、見出し語なし。

一方・たぶれ①tabure,③tabur[-]u:下二:気が変になる。気が狂う。
・たぶらかし/たぶろかし/たぼろかし①tabur[-]ak[-]as[i]:四段:狂わせる。惑わす。
などは見出し語にあり平安時代から用例がある。

残念ながらこれらの見出し語に、-ak-接辞による派生であること、つまり古代ク語法の用法であるとの指摘はない。


 ここからは「新手法」として推測を交えた考察を述べる。

・だます:damas[-]u:あざむく。ないをあると相手に思わせる。
推測・dam[-]as[-]u/dam[-]ar[-]u:の勘違いが近世に起きて、だまかす:dam[-]ak[-]as[-]u:が始まる状況になったか?
推測・だまく:dam[-]ak[-]u:虚偽の事象を本当だと誘導する。
推測・だまくる:dam[-]ak[-]u[r]u:虚偽を事実と受け取る状態にする。
(ク語法の再燃期、u[r]u:二段活用の終焉の頃、近世の産物)
推測・だまくらかす:dam[-]ak[-]u[-/r]ak[-]as[-]u:相手の驚愕を誘い、理性・判断力を奪ってしまう。
(-ak-が二重に使われ、あくにん側が悪巧みな虚偽を言い募る姿が目に浮かびます)
 ク語法+as:-ak[-]as[-]u:は強制態の客体服従的自律行動を中止させ、悪人の自律他動詞にする文法機能なのです。
だから、被害者にならないように、盲目的な服従自律行動をしなくてよいのです。
被害者にならないように虚偽の独演から身を引いて冷静に客観的に虚偽の再検証に踏みとどまるとよい。
虚偽話の先へ先へ誘導されないように、とどまるのが一番です。

 ク語法の例:
・おびゆ:obiy[-]u:おびえる(本人の自律)、が原動詞なら=
=おびやす:obiy[-]as[-]u:主が命じ客(自律おびえ):(強制態)消滅表現。
==おびやかす:obiy[-]ak[-]as[-]u:主が客をおびえさす。怯え強度は客ではなく主の裁量で決める。
:この忖度がはたらく表現が平安期から流通している。

・あまゆ:amay[-]u:あまえる(本人の自律)、が原動詞なら=
=あまやかす:amay[-]ak[-]as[-]u:主が相手の甘えをゆるす。甘え程度は相手でなく主の裁量で決める
:この忖度が働く表現が流通する。

・散る:tir[-]u:ちる、バラバラに離れる(主自律)、が原動詞なら=
=散らかす:tir[-]ak[-]as[-]u:断片を乱雑に散敷く。
=散らかる:tir[-]ak[-]ar[-]u:乱雑に散敷かれる。近世での流通か。

・ずる:zuru:zuru[k]0i:こすい、ずるい、なら= (近世での流通か)
=ずらかる:zur[-]ak[-]ar[-]u:こっそり逃げ出す、高飛びする。

・寝る:ne[r]u:(本人の自律)寝る、から= (近世での流通か)
=寝かす:ne[k]as[-]u:(無情物を横にする)赤児を/ワインを寝かす。
(無律化するため-ak-接辞を挿入音素[-/k],[k]として活用する技)

などの活用例があります。

2025/04/17

新日本語述語文法−再入門(8)

新日本語述語文法−再入門(8)

 報告相−3(作表割愛)
残りの報告相付属語(命令/禁止、当然/否定推測、など)については、作表・説明を割愛します。
代わりに前回の後段で考察した『基本構文型』の側面から、構文相/報告相について再検討してみます。


 【日本語基本構文型】=問+答文=先行文…+後続文=
=T①(T②/Y②)T①-Y①/Y②…S①(S②/Y②)[S①-S③/S①-Y③]。これを『新手法』(2024/06)として提案しました。

・先行文のしくみ:T体言要素(主部) - Y用言要素(述語)…
・後続文のしくみ:S体言要素(主部/補語) [ - S③(補語述語) /S①補語 - Y③用言述語]。
・基本構造:主部と述部の組み合わせをT① - Y③で明示するつもりで、
後続文の -述語も:T①/S① [ - S③ / S① - Y③]、述語は - 記号つきで表記しました。
[-S③名詞文/S① -Y③用言文]のどちらか述語選択ができる構造です。

 つまり、補語終止形 -S③は体言文節でありながら述語機能を果たす文節であることを明示しています。
体言用言複合形態なのです。だから、「T①連用形 -S③終止形(述語機能を発揮)」=
「僕は① - ウナギだ③(補語述語:判断補語:回答語)」がT①連用形と照応し合って述語終結機能を果たせるのです。
・これが、S③に対し「報告相の判断補語機能」を提起する理由です。
(後続文「僕は① ウナギにS① - (し)Y③ます」の言い換えに相当する意味をS③が持っている。
「-S③ウナギ[+]で・ある=[+]にて・ある=[+]に(し)てY①・ある③=[+]にS①(決め)てY①・あるY③、
のような言い換えに相当する。
 S③=体言文節でありながら回答述語機能を内包した複合形態なのです)

・現代の国語学が「は/が」問題や「人魚構文」問題に十分な解釈ができないでいる要因の一つを、
この報告相の捉え方の採用で解決できるかもしれません。


 「新手法」で代表的な報告相の表記記号を設定すると、
動作報告:㋐:D[i/-]mas㋐[-]u. 、
状況報告:㋑:Y③[+]の㋑(+です/だ/…判定詞)、
判断補語:㋛,㋞,㋜,㋢:指定律㋛/措定律㋞/推定律㋜/伝聞律㋢と細分し、
 (指定判断:M固有/呼称㋛+判定詞 )、
 (措定判断:M/My事由/形式/回答㋞+判定詞 )、
 (推定判断:Y③/M/My[+]rasi[k]0i㋜+(判定詞) )、
(推測判断:D①/K/My[+]sou㋜+判定詞、Y③/Mの/Myな[+]you㋜+判定詞 )
 (伝聞判断:Y③/M③/My③[+]sou㋢+判定詞 )、
注:D/K/M/My:動詞語幹/形容詞語幹/名詞/名容詞、Y=D/K の簡略表現。
:①/②/③:構文相①連用形/②連体形/③終止形、の簡略表現。

のような記号試案を開示しておきます。

ひとくぎりで ひとやすみ。

2025/04/11

新日本語述語文法-再入門(7)

新日本語述語文法−再入門(7)
 報告相−2


新文法:付属語活用(報告相-2)


表5-2:発話意図の表出表現-2

 

自立語


[#]付属語


文節例


打消し

:[a/-]na[k]0i.


:[+]na[k]0i.


D


D①


[a/-]na[k]0i.

[-]na[k]0i.


kak[a]na[k]0i:書かない.

tabe[-]na[k]0i:食べない.

ko[-]na[k]0i:来ない,si[-]na[k]0i:しない.
kak[0i=I]te[-]na[k]0i:書いてない.


K①


[-]na[k]0i.


samu[k]u[-]na[k]0i:寒くない.
samu([k]u[-]na)[k]ar[0i=Q]ta:寒(くな)かった.


M①
My①


[+]na[k]0i.


watasi[+]de[×]wa[+]na[k]0i:私ではない.

uso[+]de[×0yθ]wa[+]na[k]0i:うそぢゃない.
(uso[+]dya[+]nak]0i.)


動作報告
:[i/-]mas[-]u.
:[i/-]mas[-]e[-]n.


D


D


[i/-]mas[-]u.

[i/-]mas[-]e[-]n.


kak[i]mas[-]u:書きます.
tabe[-]mas[i]ta:食べました.

tabe[-]mas[-]e[-]n:食べません.
tabe[-]te+i[-]mas[-]en:食べていません.


状況報告
D:のです
(の:包括助詞)

K:の-です


D②/③
[+]の


[+]des[-]u.
[+]da.


kak[-]u[+]no[+]des[-]u:書くのです.
kak[0i=I]ta[+]no[+]da:書いたのだ.


K①/③
([+]の)


[+]des[-]u.
[+]da.


kowa[k]ar[0i=Q]ta([+]no)[+]des[-]u:
こわかった(の)です.


判断補語

(指定律)
M/My:呼称/性状
:です


指定律
:呼称
(固有/)
M/My
:(なの)



[+]des[-]u.
[+]da.


syotyou[+]des[-]u:所長です.

Huzisan[+]d(e[×])a(r[-]u):富士山だ.

katukazan[+]n(i[×])a(r-[+])no[+]da:
活火山なのだ.


判断補語
(措定律)
M/My:事由/回答
:です


措定律
:(はず/わけ/
回答)



[+]des[-]u.
[+]da.


ik[-]u②[+]hazu/yotei/tame[+]des[-]u.
:行く②はず/予定/ため(事由)です.
Bokuwa①unagi[+]da:ぼくは、うなぎ(回答語)だ.


判断補語
(推定伝聞律)
:D③K③M/My先行節


推定律
伝聞律
:(よう/そう)


[+]rasi[k]0i

[+]des[-]u.
[+]da.


ut①/②[+]sou[+]des[-]u:打ち①/打つ②そうだ.
(①推測 /②伝聞)
atu[k]0i③[+]rasi[k]0i[+]des[-]u:暑い③らしい+です.
(③推定)
rusu[+]no②[+]you[+]da:留守の②よう+だ。(:推測)
(=留守+らしい:推定)

注:D/K/M/My:動詞語幹 /形容詞語幹 /名詞 /名容詞、の簡略表現。
:①/②/③:構文相①連用形 /②連体形 /③終止形、の簡略表現。

 

 表5-2(報告相-2)の用語:
・動作報告=D-接辞:[i/-]mas[-]u:-ます、

・状況報告=の+判定詞:[+]des[-]u /[+]d(e[×])a(r[-]u) /[+]da :です/である/だ…
(形式名詞+判定詞:+の/こと/もの/とき/…+です/だ/…などは、次の判断補語と同形ですが、
意味の弱い形式名詞なので状況報告としました)

・判断補語=補語+判定詞:(3種類に大別:指定律/措定律/推定律伝聞律)
(判断補語は、構文相③(体言補語の終止形③)と同一形態ですが、
報告相としての解釈:判断表出機能を優先的に思い浮かべてほしいのです)

 『新手法』では、日本語の【基本構文型】の原型を
「応答文:自問自答の形式:先行文=自問、後続文=自答」であると提案しました。
(発話の場では、先行文潜在して=衆問、後続文=各自答、もあり、
または、先行潜在:彼問、後続:我答、などの多様構文になります。
総称して「問答文=質問文+回答文」論理形式の基本台紙を下敷きにして文章をやり取りする。
これが日本語の暗黙法則になっていると理解するのがよいでしょう)

例:僕は①ウナギ③だ。:彼問=注文は何に?、我答=僕(に)は、:|ウナギだ。
または、自問=僕は①(何を?)…、自答=:|ウナギ③だ。 :|ウナギ=判断補語の回答語に相当する。
だから当然、僕とウナギが同一物だと主張しているわけではありません。

つづく。

2025/04/01

新日本語述語文法-再入門(6)

新日本語述語文法-再入門(6)
 報告相−1


新文法:付属語活用(報告相)


表5-1:発話意図の表出表現-1

 

自立語


[#]付属語


文節例


発意
:[-/y]ou.


D


[-/y]ou.


kak[-]ou,:書こう.(発意/勧奨)
hazime[y]ou:始めよう.
si[y]ou:しよう.


希求
:[i/-]ta[k]0i.
:-[+]gar[-]u.


D
D


[i/-]ta[k]0i.
[i/-]ta[+]gar[-]u.


kak[i]ta[k]0i:書きたい.(内心描写)
tabe[-]tagar[-]u:食べたがる.(外面描写)
([i/-]ta[+]g(e[×])ar[-]u=[i/-]tagar[-]u)


K


[+]gar[-]u.


uresi[+]gar[-]u:嬉しがる.(外面描写)


完了
:[i/-]te,

(構文相①)


D-s,z/-e,i
D-k/g
D-t,r,w
D-n,b,m
(語幹末


[i/-]te,
[0i=I]te/de,
[0i=Q]te,
[0i=N]de,
で音便)


sirabe[-]te,watas-[i]te:調べて,渡して,
kak[0i=I]te,oyog[0i=I]de:書いて,泳いで
mat[0i=Q]te,tomar[0i=Q]te:待って,止まって,(maTte/tomaTte)
yom[0i=N]de,manab[0i=N]de:読んで,学んで,(yoNde/manaNde)


過去
:[i/-]ta.

(構文相③)


D-s,z/-e,i
D-k/g
D-t,r,w
D-n,b,m
(語幹末


[i/-]ta.
[0i=I]ta/da.
[0i=Q]ta.
[0i=N]da.
で音便)


sirabe[-]ta.watas-[i]ta:調べた.渡した.
kak[0i=I]ta.oyog[0i=I]da:書いた.泳いだ
mat[0i=Q]ta.tomar[0i=Q]ta:待った.止まった.(maTta/tomaTta)
yom[0i=N]da,manab[0i=N]da:読んだ.学んだ.(yoNda/manaNda)


仮定
:[+]nar[a],

(已然を仮定に使わない)


D(①/③)
前提


[+]nar[a],
条件


kak[-]u[+]n(i[×])ar[a]:書く[+]nar[a]、
su[r]u[+]nar[a],:する+なら、
(nar[a][+bθ]ha:なら、ばを回避)


K(①/③)
前提


[+]nar[a],
条件


tanosi[k]0i[+]nar[a]:楽しい+なら、
(K[k]e[r]e[+bθ]ha:K+ければを回避)


M
My
前提


[+]nar[a],
[+]nar[a],
条件


manten[+]nar[a]:満点+なら、
sizuka[+]nar[a]:静か+なら、
([+]nar[-]e[+bθ]ha:なればを回避する)

注:D/K/M/My:動詞語幹/形容詞語幹/名詞/名容詞、の簡略表現。
:①/②/③:構文相①連用形/②連体形/③終止形、の簡略表現。

:[i]音便略号=[0i=IQ/N]te/de,①、[0i=IQ/N]ta/da.③、で簡略表記すると
 便利です。([i]音消音便:[0i=I]te、促音便:[0i=Q]te、
 撥音便:[0i=N]de、)
・消音便の唯一例外:行く:ik[0i=I]te:i[I]te:イイテでなくて、習慣的に
 =行って:ik[0i=Q]te=i[T]te:の促音便を選択する。
:’0’記号=前音無音化の記号:sum[0i/-]mas[-]e[-]n=su[I]masen.
:’θ’記号=後音無音化の記号:[+]wo[+bθ]ha=[+]wo[b]a.(+をば)。
・表5-1の「完了①・過去③の項目」は報告相でなく、表4【構文相】に分類するほうが適している。(別途可能なら適正化する)


 【仮定】の設定には、歴史的に失敗例が続いている。
『新手法』では、[+]ni[×]ar[a]=[+]nar[a]:+なら、を仮定形としました。
+ならば、としない。「ならば/なれば」対句になるのを回避するため。
・なれば=已然形+ば、の形態を認めると、D[-/r]eba?/D[-/r]e[+]ba?の差異を明確にする責任があります。
現在の学校文法では、可能態:D[-/r]e[r]uを半分しか認めません。つまり、D[-]e[r]u:だけを可能動詞と認め、D[r]e[r]uを認めないという苦肉の策を続けています。(已然接辞-e-:動作を完遂し:の意味を理解しているなら、D[-/r]e[r]u=kak[-]e[r]u/tabe[r]e[r]u:両者共にOKなのです)
・D[-/r]e[r]e[r]u=kak[-]e[r]e[r]u:完遂し実現状態=二重可能状態の際には=kak[-]ar[-]u:と表現するのが古代からの法則です。受動態と同形態ですが、受動態は多義なのですから、よく吟味すべきです。
一方、食べるの場合=tebe[r]e[r]u=食べれる:一次可能状態であり正常です。これを tabe[r]-ar[-]u:食べらるに矯正すると、二次可能態のtabe[r]-e[r]e[r]uになり結果態になってしまいます。
・tabe[r]-e[r]u:単純可能態と、 tabe[r]ar[-]u:悠々食べていける可能態、との差は大違いですが、それぞれ可能態を感じれるので併存できます。
(回避すべきは、書けるのほうなのです。二重可能:-e[r]e[r]u=-ar[-]u は常に多義の意味が成立しますし、受動だけでなく自律的な「動作完遂し状態を保持できる」という自動詞としての意味も内包します:例:tukam[-]ar[-]u-=tukam[-]e[r]e[r]u==tukam-ar[-]u:掴まって身の安定を確保する/…またがる/ふさがる/求まる/決まる/始まる/上がる/下がる/…などの-ar-接辞は受動よりも、-e[r]e[r]u=の意味を持つ自律自動詞の側面が強いのです)

 以下、表5-2につづく。

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