「日本語の基本構文型」再入門(2)
「日本語の基本構文型」再入門(2)
「基本構文型」再入門(連載)に対する補追記事を書き足します。
・前記事の末尾に述べたように、補語述語文:S③終止形=S[+]判定詞などに対しての文法解釈は一筋縄ではいきません。
構文相の認識だけでは文意解釈を補強できないことが分かります。
(用語注:体言T、用言Y、補語体言S、構文相:①連用/②連体/③終止、判定詞:である/だ/です/でござんす/…)
=これを解決するには、(汎用性を考慮した文法規律として、)
【構文の意味構造】:先行:質問・前提文…後続:回答・応答文、の複文形式構造、
【構文相の規律性】:【主部律】:主客対象の相互規律関係…【述語律】:主客対象に対する描写規律、
この【2項を文法化する】ことが必須条件になります。
【構文の意味構造】:人魚構文の構造の先行研究を反面教師として…
・人魚構文の例:(構文構造の基本概念を日本語流に想定していない)
例1)「太郎はT①「大阪にT① 【行くY③/②】…「【予定S③」+です。】==
=「太郎はT①…「【予定S③」+です。】…注:「半人【半魚」】的だと判じたようだ。
注:「主部要素「主部要素」…「【補語述語」+判定詞】を人魚構文と命名した言語学者が構文研究調査を行った。
東アジアを中心に20言語に用例があるとの結果報告をした。
例2)「日本人はT①「正月をT①【祝うY③/②】…「【習慣S③」+です。】==
=「日本人はT①…「【習慣S③」+です。】…これも言語学者は人魚構文と判じた。
2009年の実情調査開始から10年かけて導き出した結論は、日本語と近似の人魚構文を持つ言語があることを実証したが、文法的な構文研究の進展は少なくて、【行くY②「予定S③」+です】、【祝うY②「習慣S③」+です】==「動詞Yと名詞Sの複合述語文」という解釈を提示した。「用言Y②体言S③」の連体修飾の拡大解釈という平凡な結論により一応の区切りをつけた。
(研究が「構文の意味構造」に気づいていないです)
・新手法の考察例:【先行文+後続文】の複文構造を原点におく。
人魚構文=「動詞文+名詞文」を特殊あつかいするのではなく、
「先行文(用言文/体言文)+後続文(用言文/補語体言文)」が【基本的な日本語の発話構文型】なのです。
・【先行文(用言文/(補語)体言文)…後続文(用言文/補語体言文)】と理解してもよい。
(先行文の…末尾には接続詞/接続助詞などを付加することがあります。また、先行文が動詞②連体③終止文末で直接的に後続文:補語体言③文につながる場合が?人魚構文?かと勘違いされるのでしょう)
・【複文形式の意味構造】:複文構造の意味を考察しよう。
1)問答形式の「質問文+応答文」を提示すると、聞き手や読み手が理解しやすい、
2)また「状況説明文+評価判定文」、「前提条件文+対応策文」などの
【論理的意味付けの構造】を確実に表現しやすいこと。
3)係助詞:「〜は」は、先行文において「表題概念に付加して提題機能」を果たし、何が疑問なのか質問文を整える。
・格助詞:「〜が」は、後続文において疑問への返答語陳述:(応答/判定/対応/推定)などを整える。
(例:「花子はT①(「何がT①」【弾けるY③】のか?)…「ピアノがS①」【弾けるY③】のです。
==返答文なら「花子はT①…「ピアノがS①」【弾けます】:となる)
・これを複主体文と呼びますが、特殊ではなく普通の例文です。
花子・ピアノが共に主部要素になる==「花子は」+【弾けます】/「ピアノが」+【弾けます】、
つまり【弾けます】が花子とピアノを共に「述語律として規律する構造」であり、これは日本語では普通のことです。
(「ピアノ・が/を/は/で…」+【弾けます】の変化形が可能なのも普通のことです)
・さらに、超即答なら(「花子はT①…)【「ピアノS③」+です】という場合も多いでしょう。文脈や発話の場では「何が弾けるのか?」が周知の状態ですから、「回答補語」だけで了解できるのです。
4)「ピアノがS①」【弾けますY③】==【「ピアノS③」+判定詞(である/だ/です/…)】の意味同等化の規律法則が細々と確立しているが、一般【述語律】の公知はまだまだなのかもしれない。(過日の「体言の述語律」再入門 投稿を参照してください)
【基本構文型の意味構造】:「新手法」で提案する【基本構文型】再入門
基本構文型=先行文:T①(T②/Y②)T①-Y①/Y②…後続文:S①(S②/Y②)[S①-S③/S①-Y③]。
例1)「AはT①【殴られたY②】「BにT①」…【復讐したY③】=
=「AはT①【(T②/殴られたY②)】「BにT①」…:[S①-S③/S①-【復讐したY③]】。
(先行前段【T②:限定修飾100%/Y②:叙述修飾80%=Y③】=Aが殴られた)、
=「AはT①「BにT①」【殴られてY①/Y②】…「BにS①」【復讐したY③】。
(これは丁寧ですが、散漫な叙述に感じます。どちらの解釈も、AはT①【殴られたY②】/BにT①【殴られたY②】=、【殴られたY②】が主客共に規律します)
例2)「こんにゃくはT①」…【太らないY③】=(問題ありの文章です)
=「こんにゃくはT①」(【食べてもY①】)…【太らないY③】(食べても:受律で意味補充するも問題は残る。こんにゃく自身が【太る/太らない】かの話題ではないから)
==「こんにゃくはT①」(「人がT①【食べてもY①】)…【太らないY③】または、
==「こんにゃく:ではT①」…【太らないY③】(こんにゃくで:具材扱いにすると、(潜在する人間が 食べて)【太る/太らない】の判断している叙述になります)
・(「人はT①/「こんにゃくでT①」)【太らないY③】:意味が共に成立する「主部律と述語律」が照応し合う文章が理解しやすいのです。
==「こんにゃくで・はT①」…【太らないY③】。(具材:こんにゃくに焦点を当てた表現が簡潔で印象的になる。おすすめします)
【基本構文型の意味構造】と【主部律:述語律】の両方の文法則を普及させるのが必要条件なのでしょう。
・言語学者が「人魚構文」だと驚くことがなくなるようにしたい。
・日本語が「主語律:主語・述語の一本槍」ではなく、「複数主部要素・述語の千手観音的照応規律力」=
=「複数主部要素・述語の熊手型照応規律力」の言語なのです。
つづく。