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2025年5月

2025/05/27

「日本語の基本構文型」再入門(2)

「日本語の基本構文型」再入門(2)

 「基本構文型」再入門(連載)に対する補追記事を書き足します。

・前記事の末尾に述べたように、補語述語文:S③終止形=S[+]判定詞などに対しての文法解釈は一筋縄ではいきません。
構文相の認識だけでは文意解釈を補強できないことが分かります。
(用語注:体言T、用言Y、補語体言S、構文相:①連用/②連体/③終止、判定詞:である/だ/です/でござんす/…)

=これを解決するには、(汎用性を考慮した文法規律として、)
【構文の意味構造】:先行:質問・前提文…後続:回答・応答文、の複文形式構造、
【構文相の規律性】:【主部律】:主客対象の相互規律関係…【述語律】:主客対象に対する描写規律、
この【2項を文法化する】ことが必須条件になります。


【構文の意味構造】:人魚構文の構造の先行研究を反面教師として…
・人魚構文の例:(構文構造の基本概念を日本語流に想定していない)

例1)「太郎はT①「大阪にT① 【行くY③/②】…「【予定S③」+です。】==
=「太郎はT①…「【予定S③」+です。】…注:「半人【半魚」】的だと判じたようだ。
注:「主部要素「主部要素」…「【補語述語」+判定詞】を人魚構文と命名した言語学者が構文研究調査を行った。
東アジアを中心に20言語に用例があるとの結果報告をした。

例2)「日本人はT①「正月をT①【祝うY③/②】…「【習慣S③」+です。】==
=「日本人はT①…「【習慣S③」+です。】…これも言語学者は人魚構文と判じた。
 2009年の実情調査開始から10年かけて導き出した結論は、日本語と近似の人魚構文を持つ言語があることを実証したが、文法的な構文研究の進展は少なくて、【行くY②「予定S③」+です】、【祝うY②「習慣S③」+です】==「動詞Yと名詞Sの複合述語文」という解釈を提示した。「用言Y②体言S③」の連体修飾の拡大解釈という平凡な結論により一応の区切りをつけた。
(研究が「構文の意味構造」に気づいていないです)

・新手法の考察例:【先行文+後続文】の複文構造を原点におく。
人魚構文=「動詞文+名詞文」を特殊あつかいするのではなく、
「先行文(用言文/体言文)+後続文(用言文/補語体言文)」が【基本的な日本語の発話構文型】なのです。
・【先行文(用言文/(補語)体言文)…後続文(用言文/補語体言文)】と理解してもよい。

(先行文の…末尾には接続詞/接続助詞などを付加することがあります。また、先行文が動詞②連体③終止文末で直接的に後続文:補語体言③文につながる場合が?人魚構文?かと勘違いされるのでしょう)
・【複文形式の意味構造】:複文構造の意味を考察しよう。
1)問答形式の「質問文+応答文」を提示すると、聞き手や読み手が理解しやすい、
2)また「状況説明文+評価判定文」、「前提条件文+対応策文」などの
【論理的意味付けの構造】を確実に表現しやすいこと。
3)係助詞:「〜は」は、先行文において「表題概念に付加して提題機能」を果たし、何が疑問なのか質問文を整える。
・格助詞:「〜が」は、後続文において疑問への返答語陳述:(応答/判定/対応/推定)などを整える。

(例:「花子はT①(「何がT①」【弾けるY③】のか?)…「ピアノがS①」【弾けるY③】のです。
==返答文なら「花子はT①…「ピアノがS①」【弾けます】:となる)
・これを複主体文と呼びますが、特殊ではなく普通の例文です。
花子・ピアノが共に主部要素になる==「花子は」+【弾けます】/「ピアノが」+【弾けます】、
つまり【弾けます】が花子とピアノを共に「述語律として規律する構造」であり、これは日本語では普通のことです。
(「ピアノ・が/を/は/で…」+【弾けます】の変化形が可能なのも普通のことです)
・さらに、超即答なら(「花子はT①…)【「ピアノS③」+です】という場合も多いでしょう。文脈や発話の場では「何が弾けるのか?」が周知の状態ですから、「回答補語」だけで了解できるのです。
4)「ピアノがS①」【弾けますY③】==【「ピアノS③」+判定詞(である/だ/です/…)】の意味同等化の規律法則が細々と確立しているが、一般【述語律】の公知はまだまだなのかもしれない。(過日の「体言の述語律」再入門 投稿を参照してください)


【基本構文型の意味構造】:「新手法」で提案する【基本構文型】再入門
基本構文型=先行文:T①(T②/Y②)T①-Y①/Y②…後続文:S①(S②/Y②)[S①-S③/S①-Y③]。
例1)「AはT①【殴られたY②】「BにT①」…【復讐したY③】=
=「AはT①【(T②/殴られたY②)】「BにT①」…:[S①-S③/S①-【復讐したY③]】。
(先行前段【T②:限定修飾100%/Y②:叙述修飾80%=Y③】=Aが殴られた)、
=「AはT①「BにT①」【殴られてY①/Y②】…「BにS①」【復讐したY③】。
(これは丁寧ですが、散漫な叙述に感じます。どちらの解釈も、AはT①【殴られたY②】/BにT①【殴られたY②】=、【殴られたY②】が主客共に規律します)

例2)「こんにゃくはT①」…【太らないY③】=(問題ありの文章です)
=「こんにゃくはT①」(【食べてもY①】)…【太らないY③】(食べても:受律で意味補充するも問題は残る。こんにゃく自身が【太る/太らない】かの話題ではないから)
==「こんにゃくはT①」(「人がT①【食べてもY①】)…【太らないY③】または、
==「こんにゃく:ではT①」…【太らないY③】(こんにゃくで:具材扱いにすると、(潜在する人間が 食べて)【太る/太らない】の判断している叙述になります)
・(「人はT①/「こんにゃくでT①」)【太らないY③】:意味が共に成立する「主部律と述語律」が照応し合う文章が理解しやすいのです。
==「こんにゃくで・はT①」…【太らないY③】。(具材:こんにゃくに焦点を当てた表現が簡潔で印象的になる。おすすめします)


【基本構文型の意味構造】と【主部律:述語律】の両方の文法則を普及させるのが必要条件なのでしょう。
・言語学者が「人魚構文」だと驚くことがなくなるようにしたい。
・日本語が「主語律:主語・述語の一本槍」ではなく、「複数主部要素・述語の千手観音的照応規律力」=
=「複数主部要素・述語の熊手型照応規律力」の言語なのです。

つづく。

2025/05/21

「日本語の基本構文型」再入門(連載)

「日本語の基本構文型」再入門(連載)

 新日本語述語文法−再入門(8)に対する補追記事を書き足します。
まず、なぜか…現在の国文法で抜け落ちている重要法則を明示します。
・「基本構文型」を発見するための「必須の要件」を手に入れることになります。
(目標は簡単簡明な法則で汎用的に使える「一行表記の「基本構文型」の提案です)

・抜け落ちた重要法則(活用=膠着):(新手法の解釈で重要法則を見える化すると)
1)膠着語の活用規則=膠着に、[ / ]派生/[+]複合/[×]縮約の、3種類の区別があり、
【用言の活用】には語幹に密結合:短接辞を[ / ]派生で組み込む規則が採用されている。
・動詞語幹(用言の活用)=動詞語幹[挿入音素]接辞[挿入音素]接辞…挿入音素:6種。
(挿入音素:[連結母音/無音]=[a/-],[i/-],2種、[無音/連結子音]=[-/r],[-/s],[-/y],[-/k],4種)
(例:抜いたnuk[0i=I]ta=nu[I]ta、抜けたnuke[i/-]ta=nuke[-]ta:イ音便[0i=I]の一つ)
・形容詞語幹(用言の活用)=形容詞語幹[-/k]接辞[挿入音素]接辞…:[-/k]=[k]。
(例:暑いatu[-/k]0i=atu[k]0i=atu[]i、暑かったatu[k]ar[0i=Q]ta=atu[k]a[Q]ta=atu[k]a[Q=t]ta)

【体言の活用】には単語を疎結合:[+]助詞(格助詞/係助詞/体言単語/接続助詞など)を付加して、
名詞文節の役割(主部要素か/補語述語要素なのか)を明確にします。
・名詞(体言の活用)=名詞[+]名詞、(連濁連声も記号化:’θ’後音消去、’0’前音消音)
(例:居酒屋i[+zθ]sake[+0a]ya=izakaya、反応han[+n]ou=hannou。)
=名詞(主部要素)[+]が/を/に/で/は/…:①連用形、[+]の/なの/な/…:②連体形。
=名詞・名容詞(補語述語要素)[+]判定詞=[+]である/だ/です/…:③終止形、
(例:③終止形=M/My [+]d(e[×])a(r[-]u)=[+]da, [+]de([×]ar[i/-]ma)s[-]u=[+]des[-]u…など、
[×]縮約は、判定詞の中で使われ慣用句の接辞を恣意的に簡略/縮約して定着したもの)

2)文節の係り受け法則(文の構造):文章の中で上記の体言、用言を活用させて相互の係り受け関係を解釈する法則を
「新手法」により見える化すると、
【文節の構文相】には用言:Y/体言:Tともに「活用の「①連用形「②連体形「③終止形」に注目して構文構造を構成してみる。
(接続詞、接続助詞、などは…空白扱い?名詞扱い?で演習)
・特に体言:T③終止形は、補語体言:S③終止形ですから、述語体言:S③なのです。
・文=僕はT①…ウナギS③です。:係り受け関係は、T①…S③の主述関係です。
(係り受け関係が明確でも主述関係に疑義?があります。主述関係の法則が不足です)
・文=僕のT②…ウナギS③です。:係り受け関係は、T②S③:Tの分身関係です。
・文=僕はT①…ウナギ[をS①/のS②]注文S③です。:T①…[S①/S②]S③の主述関係です。
(注文S③です=注文S③に(し)ます=ウナギS③に(し)ます、と同等の補語述語文です)

【構文の構造】は、体言T/S(名詞・名容詞)/用言Y(動詞/形容詞)の4つの自立語に注目して、
その活用文節を【構文相】の区分(①連用/②連体/③終止)で識別表記すると、係り受け関係の構造を明示できます。
各種の構文例を【構文相】で表記していくと共通的な構文構造が発見できます。
これを「新手法」では、一行形式で表記できる汎用【基本構文型】としてまとめることができました。(順次、開示します)
・しかし、前節のように補語述語文:S③終止形などに対しては構文相の認識だけでは文意を補強できないことが分かります。

=これを解決するには、(汎用性を考慮した文法規律として、)
【構文の意味構造】:先行:質問・前提文…後続:回答・応答文の複文形式構造、
【構文相の規律性】:【主部律】:主客対象の相互規律関係…【述語律】:主客対象に対する描写規律、
この【2項を文法化する】ことが必須条件になります。

(『日本語の述語文法』(2024/06)創作時の考察順序では、【主部律、述語律】がはじまりであり【構文構造、構文相】、【構文の意味構造、述語律との関係】へと進むことで、「新手法」全体像が見えだしました)


つづく。(「用言/体言の述語律 再入門」はすでに直前ブログに補追投稿済ですから、次回では「構文の意味構造」について続けます)

2025/05/11

「体言の述語律」再入門

「体言の述語律」再入門

 新日本語述語文法−再入門(3)に対する補追記事を書き足します。
(再入門(-7/-8)にも関連します)

なぜ、【述語律】の解明が必要なのかを明らかにしていきたい。

・【体言(名詞/名容詞)の述語律】とはどんな機能なのか…用言述語の類推で言うと、
=膠着方式や形態は名詞であるが、機能は:【名詞=動詞的】、:名容詞=【形容詞的】な働きをする。
(述語としての名詞=名(動)詞的、名容詞=名(形)容詞的と呼ぶのが機能に適合する)
文末名詞文:補語/述語文の【述語律】を正確に文法化したい。再入門しましょう。

・名詞補語の【述語律】を新たに4種類に区分します。
新たに報告相を提起するにあたり、4種類=指定律/措定律/推定律/伝聞律としましょう。
(3種類=指定律/措定律/推量・伝聞律との定義でしたが、推量を推定律に独立化します)

 いくつか簡単な例文(「主部1「主部2「主部3…「【補語体言述語」+判定詞】で示す)を掲げると、
1)「こちら/「課長の/「【固有名詞」+です】。:【指定律】固有名詞/役職名など、+判定詞:である/だ/です/…([+]d(e[×])a(r[-]u) /[+]de([×]ar[i/-]ma)s[-]u /…
2)「親切は…「結局/「君自身の「【ため」(なの)+です】。:【措定律】事由/形式/回答名詞/はず/わけ/こと/もの/…など、+判定詞:n(i[×])a(r[-]u)[+]の+です。
2’)「僕は…「【ウナギ」+です】。:【措定律】鰻屋での注文回答名詞、+判定詞。
2”)「太郎は(「何で?/「大阪に【行く】)…「【予定」+です】。:【措定律】理由回答名詞など、+判定詞。(会話では問答文/応答文が基本ですから、回答語のやり取りに対して敏感になるはすです)
2”’)「桜並木は「格段に「【にぎやか/きれい」+です】。:【措定律】名容詞で情景形容+判定詞。
3)「太郎は「大阪に」【行く】…「【よう/らしい」+です】。:【推定律】事態の推定形式名詞/らしい形容詞/など…+判定詞。
3’)「太郎は「大阪に【行き:ik[i]-】…「【そう」+です】。:【推定律】態様の推測形式名詞、+判定詞。
4)「太郎は「大阪に」【行く】…「【そう」+です】。:【伝聞律】事象伝聞の形式名詞、+判定詞。
…以上のように、先行文節に対しての【補語体言述語+判定詞】形態で【述語律】を発揮します。

 【補語体言】の形態と意味を調べてみよう。
・指定律:固有名詞/役職名/所属名/分類名/…呼称名詞を使う。(主【補呼称】文)
・措定律:事由:はず/ため/わけ/つもり/、形式:の/なの/こと/もの/、回答:普通名詞/動名詞/…即答的名詞を使う。
 (主(【補事由】/【補形式】/【補回答】)文)
・推定律:推測・推定:よう/らしい/そう/…(主【補推定】文)
・伝聞律:事象の伝聞:そう/…(主【補伝聞】文)

 【補語体言が述語に変身する】のはどんな方法なのか。
・補語体言+判定詞の膠着で補語述語になるわけだから、この両者の述語性について検証してみよう。
 【体言の述語律】は名詞の形式=固有・呼称/事由・形式・普通名詞/推定・伝聞の名詞・接辞/…で大体の意味の識別ができそうです。
 しかし、措定律の(主【補回答】文)には、言語学者から黄色カードが出されました。
・「太郎は(「大阪に【行く】)…「【予定」+です】。==「太郎は「【予定」+です】は「人間+「【?」】構文であり半人半魚の「人魚構文」だと主張して世界の言語と比較調査したようです。結果は東(南)アジアなどで20言語程度に同様構文が常用されると報告された。
 多くの日本語学者が考察を続けていますが、回答語の【補回答】文にたどり着いていないのです。(普通名詞の用途分けなどの研究が進捗してるから、まもなく気づくかもしれません)

・まだ言語学者が気づいていないことは、日本語構文の基本=「問答文」だということ。
問答の場で「問いかけ文」が共通文脈に定着潜在したら、「回答だけの「即答文=【補回答】文」で応答するのは普通のことです。
・最初に文章提示する場合なら、先行文+即答文の形式で開示するから、「太郎は「大阪に【行く】…「【予定」+です】を読むことになります。(この構文では=【行く+「予定」】だと安直に解釈してしまう。即答文の「【予定」の意義は少し異なり【行く】の修飾がなくて成立する「予定に(決め)てある」という意味なのです)

【補語+判定詞】の【述語律】:【「予定」+です】を詳細に考察する。
・補語の位置付け:問答文と即答文とでの違いについて、
1)【「先行直接修飾ありの+補語」+判定詞】=【先行文を補語が包括】+判定詞と感じる。判定詞には述語性を感じない。(しかし、「です」は繋辞ぢゃない)
=【行く】「【予定=大阪に行く」+です】。

2)【「孤立の+補語」+判定詞】=【補語の述語性/動作性】+【判定詞の潜在的述語性】を求められる。
(先行文脈が潜在していれば、補語の述語性で聞き手は共通に理解できる)
=…「【予定=を立てて」+である=に(決め)てある】=「【予定」+に(決め)てある】という解釈が【即答文=補回答文】に適合するものです。
つまり、即答文の予定=名(動)詞的に理解すべきであり、判定詞=で=にて=に(し=汎用動詞する)て、のように動詞述語的に理解すべきなのです。判定詞は繋辞ぢゃないです。
・このように【「予定」を立て+決めてある=予め定めてある】と解釈すれば、【主補受容な述語律】が立派に出来上がるのです。
・基本構文型の文末述語文節は…[S① -S③=予定です]/[S①=予定に -Y③=決めてある]の選択演算だから、「急に思いついたのではなく、前々から決めていたことだ」と主張したい意図が分かります。

(補追記事終わります)

2025/05/06

「用言の述語律」再入門

「用言の述語律」再入門

 新日本語述語文法−再入門(3)に対する補追記事を書き足します。
(再入門(-7/-8)にも関連します)
なぜ、【述語律】の解明が必要なのかを明らかにしていきたい。

 日本語の【述語律は独特な規律力】を発揮します。
・【用言(動詞/形容詞)の述語律】と【体言(名詞/名容詞)の述語律】に区分して、前者から考察開始します。
いくつか簡単な例文(「主部1「主部2「主部3「…」+【述語要素】で示す)を掲げると、
1)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれた】。(【受動態】:直接/間接の受身が共存可能)
2)「私は/「彼から/「本が/を」【贈られた】。(【受動態】:直接/間接の受身が共存可能)
:上例の【盗まれた】/【贈られた】は「主部の「どの要素」とでも組み合って、主述関係(文章構造)を表現できます。
・間接受身:「私は」+【盗まれた/贈られた】…迷惑の受身形などとも呼ばれるが…、もっと精密に考察すべき研究課題です。

『新手法』の探求原点はここから始まっています。
間接受身の表現を受容する「文法」が存在する言語はとても珍しく、日本語の本質性でもある。
(西欧語:主体が主語であり述語と結合するのだと主張する「主語律文法」に対抗して…
日本語の文法は「主部律:(「主部1/「主部2/「主部3/…)」+【主客受容な述語律】で運用される言語です)
自動詞/他動詞どちらの間接受動態も主客受容する【述語律】は古代から定着しています。
この融通無碍なる態動詞の【述語力】を【述語律】と名付けたのです。

・動作継続・完遂の【状態】を表現する場合でも、主客受容な述語律に感じやすい。
 同様に、用言:動詞/形容詞の述語形式:③終止形の【述語律】には主客受容のしくみが存在します。
・動詞:態三系四態の【述語律】=(能動/強制/使役)[自律/受律、互律、結果状態、結果互律]の12種類がすべて【主客受容な述語律】を果たします。

 上2例のように態接辞(-ar-,-as-,-e-,)付きの動詞は述語律が明確ですから、その他の動作状態を考えてみよう。
3)「直売所で「いちごが/を」【売っている】。(【潜在自律/顕在受律】共存状態の表現:能動態)
4)「いちごが」【売れる/売れている】。(【売れる:互律/可能態、売れている:結果態に近い】状態の表現)
5)「いちごが「(売るのに)」【適している】。(いちごの受律:売る/売る②連体のに①連用:【適している】)
=「いちごが」…【適している】(いちごの【受律/性状】状態の表現)
5')「売るには/「【いちごが」+適している】。(いちごが主部要素と述語要素とに共存する状態)
5")「売るには/「【いちご」+ですよ】。(いちごが主部要素と述語要素に重複共存して名詞文:体言述語律を発揮する形式です)

・形容詞はそれぞれの語幹が【述語律】=主客間での属性律/感情律/感情律+属性律の3種類のどれか/どれもを内包しています。
(主客受容な述語律:主への感情律+客の属性律が共鳴し合うために、形容詞の場合は主客並立構文が望ましい)
6)「源さんは/「【まんじゅうが」+こわい】のです。(こわい:まんじゅうの属性律/源さんへの感情律)
(「源さんは【こわい】。:こわいには感情属性律も共存するが、直接源さんだけに【こわい】が付属すると、こわい②源さんを想像させる。【こわがる】んです、と言い換えるといいかも…)
6’)「源さんは「【何が」+こわい】+のか打ち明けた。:こわい属性文として源さんの感情律に結びつく報告相を付加すると、主客受容な述語律が安定する。
7)「象は/「【鼻が」+長い】+です。(【鼻が長い】属性律の文構造述語、+報告相:のです/です)
(形容詞文節では一括「【何が」+形容詞属性】で属性文と認識するのが第一で、報告相が後続して主客構文が完結するように発話するとよい)

 用言の述語報告相には、動詞なら+ます/+のですの2種がある。
1’)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれ・】+[i/-]mas[i/-]ta.:+動詞文。
1”)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれた】+の[+]des[-]u.:+名詞文。
(態動詞は【主客受容な述語律】であることが分かります)

形容詞報告相には、用言文の工夫、判定詞文が使えるのです。
6’)「源さんは「【何が」+こわい】+のか 打ち明けた。:+動詞文。
7)「象は/「【鼻が」+長い】+です。:+判定詞文、+回答文。
(形容詞の属性律は個体属性述語の傾向が強くて、感情誘導の規律力が弱いので、主客受容の述語律が成立しにくい。
主客並立化の工夫が必要です)

つづく。次回は「体言の述語律」再入門を予定(です/にします)。

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