« 「だまくらかす」に騙されるな! | トップページ | 「体言の述語律」再入門 »

2025/05/06

「用言の述語律」再入門

「用言の述語律」再入門

 新日本語述語文法−再入門(3)に対する補追記事を書き足します。
(再入門(-7/-8)にも関連します)
なぜ、【述語律】の解明が必要なのかを明らかにしていきたい。

 日本語の【述語律は独特な規律力】を発揮します。
・【用言(動詞/形容詞)の述語律】と【体言(名詞/名容詞)の述語律】に区分して、前者から考察開始します。
いくつか簡単な例文(「主部1「主部2「主部3「…」+【述語要素】で示す)を掲げると、
1)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれた】。(【受動態】:直接/間接の受身が共存可能)
2)「私は/「彼から/「本が/を」【贈られた】。(【受動態】:直接/間接の受身が共存可能)
:上例の【盗まれた】/【贈られた】は「主部の「どの要素」とでも組み合って、主述関係(文章構造)を表現できます。
・間接受身:「私は」+【盗まれた/贈られた】…迷惑の受身形などとも呼ばれるが…、もっと精密に考察すべき研究課題です。

『新手法』の探求原点はここから始まっています。
間接受身の表現を受容する「文法」が存在する言語はとても珍しく、日本語の本質性でもある。
(西欧語:主体が主語であり述語と結合するのだと主張する「主語律文法」に対抗して…
日本語の文法は「主部律:(「主部1/「主部2/「主部3/…)」+【主客受容な述語律】で運用される言語です)
自動詞/他動詞どちらの間接受動態も主客受容する【述語律】は古代から定着しています。
この融通無碍なる態動詞の【述語力】を【述語律】と名付けたのです。

・動作継続・完遂の【状態】を表現する場合でも、主客受容な述語律に感じやすい。
 同様に、用言:動詞/形容詞の述語形式:③終止形の【述語律】には主客受容のしくみが存在します。
・動詞:態三系四態の【述語律】=(能動/強制/使役)[自律/受律、互律、結果状態、結果互律]の12種類がすべて【主客受容な述語律】を果たします。

 上2例のように態接辞(-ar-,-as-,-e-,)付きの動詞は述語律が明確ですから、その他の動作状態を考えてみよう。
3)「直売所で「いちごが/を」【売っている】。(【潜在自律/顕在受律】共存状態の表現:能動態)
4)「いちごが」【売れる/売れている】。(【売れる:互律/可能態、売れている:結果態に近い】状態の表現)
5)「いちごが「(売るのに)」【適している】。(いちごの受律:売る/売る②連体のに①連用:【適している】)
=「いちごが」…【適している】(いちごの【受律/性状】状態の表現)
5')「売るには/「【いちごが」+適している】。(いちごが主部要素と述語要素とに共存する状態)
5")「売るには/「【いちご」+ですよ】。(いちごが主部要素と述語要素に重複共存して名詞文:体言述語律を発揮する形式です)

・形容詞はそれぞれの語幹が【述語律】=主客間での属性律/感情律/感情律+属性律の3種類のどれか/どれもを内包しています。
(主客受容な述語律:主への感情律+客の属性律が共鳴し合うために、形容詞の場合は主客並立構文が望ましい)
6)「源さんは/「【まんじゅうが」+こわい】のです。(こわい:まんじゅうの属性律/源さんへの感情律)
(「源さんは【こわい】。:こわいには感情属性律も共存するが、直接源さんだけに【こわい】が付属すると、こわい②源さんを想像させる。【こわがる】んです、と言い換えるといいかも…)
6’)「源さんは「【何が」+こわい】+のか打ち明けた。:こわい属性文として源さんの感情律に結びつく報告相を付加すると、主客受容な述語律が安定する。
7)「象は/「【鼻が」+長い】+です。(【鼻が長い】属性律の文構造述語、+報告相:のです/です)
(形容詞文節では一括「【何が」+形容詞属性】で属性文と認識するのが第一で、報告相が後続して主客構文が完結するように発話するとよい)

 用言の述語報告相には、動詞なら+ます/+のですの2種がある。
1’)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれ・】+[i/-]mas[i/-]ta.:+動詞文。
1”)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれた】+の[+]des[-]u.:+名詞文。
(態動詞は【主客受容な述語律】であることが分かります)

形容詞報告相には、用言文の工夫、判定詞文が使えるのです。
6’)「源さんは「【何が」+こわい】+のか 打ち明けた。:+動詞文。
7)「象は/「【鼻が」+長い】+です。:+判定詞文、+回答文。
(形容詞の属性律は個体属性述語の傾向が強くて、感情誘導の規律力が弱いので、主客受容の述語律が成立しにくい。
主客並立化の工夫が必要です)

つづく。次回は「体言の述語律」再入門を予定(です/にします)。

« 「だまくらかす」に騙されるな! | トップページ | 「体言の述語律」再入門 »

日本語文法」カテゴリの記事

態文法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 「だまくらかす」に騙されるな! | トップページ | 「体言の述語律」再入門 »