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2025年11月

2025/11/29

新日本語述語文法ー再始動3

新日本語述語文法ー再始動3


・「再始動方針3」と先行研究との簡易的な比較:

 抽象的な「再始動方針3=態相/構文相/報告相の区分」に対して、直接的な先行研究との比較は簡単ではないが、参考図書を読み返した範囲で、部分的にでも「新手法」と合致する文法解釈をしている図書を挙げたい。
論点1:【名詞文/名容詞文/形容詞文/動詞文=述語文節】である:
・中島文雄『日本語の構造ー英語との対比ー』岩波書店(1987/5)
・金谷武洋『日本語に主語はいらない 百年の誤謬を正す』講談社選書メチエ(2002/1)
この2冊のどちらも「名詞文/名容詞文が述語文節である」(動詞文/形容詞文の述語文節と同様である)ことを提起している。心強い提案内容であり、確実な一歩ですが、残念ながら普及段階になっていない。

・中島本では、日本語の構文を生成文法の精密な記号法により助動詞の使用法全般にわたり表現しようと試みている。
巻末付録の助動詞の多くが報告相的な用途である、と察知されていた様子だが「構文相/報告相」の階層分けまでに達していない。

・金谷本では、日本語に主語はいらない/述語文節が優先だという明快な論点で、題(主)述構文などを推奨した。分かりやすく人気の文法だが、助動詞の使用法全般にわたる記述配分は少ない。「自動詞/他動詞の派生、識別法」の範囲を詳細解説したが、立つ/立てる、割る/割れるの-u/-e[r]u対向での-e[r]u-接辞の捉え方を自動詞/他動詞、他動詞/自動詞・交替機能で考察するのは的外れであろう。(動作完遂が起きて態相が交替することの考察が不明確です)

・「新手法」では、動詞の「述語律」を自/他では区別しない。
【自律/受律=主体の自律/客体の受律】と捉えるだけです。
【-e[r]u-接辞は「動作を自律完遂する、動作が受律完遂する、両者の条件が整合してやり遂げる=自律完遂+受律完遂=互律=可能態=-e[r]u-】、
【-e[r]e[r]u=互律完遂=結果実現=(結)果律=結果態=-ar[-]u-】、
【-e[r]e[r]e[r]u=結果浸透=果互律=受動態=-ar[-]e[r]u-】、
と解釈することで、態相概念の確立につながりました。
・述語律:互律-e[r]u-と果律-ar[-]u-/果互律-ar[-]e[r]u-の中で自律動作の要素が生きているので、実績可能性や敬語自律表現につながるのです。
・形容詞/名容詞/名詞それぞれの「述語律」を前回シリーズ:再入門/立ち戻るシリーズで提示しました。

 先行研究では「論点1:4品詞の述語文節」を発見・提案がなされたが、「述語律」へつづく発展が見られなかった。
つまり、先行研究では「論点2:述語構文論の掘り下げ」が絞り込みに進まず拡散してしまった。
「主述構文、題述構文、は/が構文、物語文/品定め文」など構文形式についての議論は多いが、確定的な結論が広く定着する状態になっていない。
【構文論】再始動の考察には、検討範囲を広げ過ぎては失敗する。
・「論点2:4品詞の述語構文相を明確にする」こと。
【構文構造に関与する文節活用形=①連用形/②連体形/③終止形であり、これを構文相と名付ける】として検討範囲を絞り込む。
・江戸期の本居春庭学派の研究による活用形名称から、上の3種類が構文構造に関与する活用形だと判断して選抜した。

具体例で説明します。

【動詞の構文相:①連用形、②連体形、③終止形】(述部要素)
例①連用形:D[i/-]θ-:書きkak[i]θ-、起きoki[-]θ-、食べtabe[-]θ-、
(θ:後続接辞なし、後続に報告相接辞を連用形で付加する場合が多い)
(可能態動詞の連用形:D[/r]e[-]θ-:書けkak[-]e[-]θ、起きれoki[r]e[-]θ-、
食べれtabe[r]e[-]θ-、已然連用形に相当する)
例②連体形=③終止形:可能態D[-/r]e[r]u:書けるkak[-]e[r]u、起きれるoki[r]e[r]u、食べれるtabe[r]e[r]u、可能態動詞にも正しく注目しよう。
(ら抜きの心配は不要で、一重可能態はすべて成立します。それよりも書けれる×kak[-]e[r]e[r]は二重可能態で疑似結果態になるから、書かるkak[-]ar[-]uとすべきです。三重可能の食べれれれる×tabe[r]e[r]e[r]e[r]u=食べられるtabe[r]ar[-]e[r]u=受動態に表現を交替させればOKなのです)

【形容詞の構文相:①連用形、②連体形、③終止形】(述部要素)
例①連用形:K[k]u:長くnaga[k]u、楽しくtanosi[k]u、こわくkowa[k]u、
(て形化報告相完了連用形:K[k]u[i/-]te:長くてnaga[k]u[-]te、
楽しくてtanosi[k]u[-]te、こわくてkowa[k]u[-]te、)
例②連体形=終止形:K[k]0i=K[-]i:長いnaga[k]0i、楽しいtanosi[k]0i、
こわいkowa[k]0i、
(た形化報告相完了連体形=終止形:K[k]ar[0i=Q]ta、イ音便促音便:
長かったnaga[k]ar[0i=Q]ta、楽しかったtanosi[k]ar[0i=Q]ta、こわかったkowa[k]ar[0i=Q]ta、)

【名詞/名容詞の構文相:①連用形、②連体形、③終止形】
例①連用形:名詞M/名容詞My M/My[+]係助詞/格助詞:
名詞[+]は/も…/が/を/に/(で)…、名容詞[+]に/(で)…、(主部要素)
例②連体形:M[+]の/なの…、My[+]な/の…、(主部要素)
例③終止形:M/My[+]である/です/だ/でございます/…、(述部要素)
(名詞述語文節の述語律は、報告相【叙述よりも発話者の判断/意向の表出】を目論んだ表現です。用言でも構文相②連体形から文末の名詞③終止述語に係り修飾することで報告相③終止形で結ぶことも多い)

【名詞述語文節の述語律:指定律/措定律/推定律/伝聞律、】(報告相)
・名詞/名容詞の③終止形は、報告相③終止形と同一であり、名詞の種別を使い分けて、述語律の意味付けを表現することができる。
例①指定律:固有名詞/職能名詞/分類名詞[+]de([×]ar[i]ma)s[-]u=des[-]u、
例②措定律:普通名詞(回答語)/事由名詞(わけ/はず)/形式名詞(の/なの)[+]des[-]u、/[+]de[+0yθ]wa[+]ar[i]mas[-]e[-]n=[+]dya[+]ar[i]mas[-]e[-]n、
例③推定律:推定名詞/用言②/③[+]you/rasi[k]0i[+]des[-]u、
例④伝聞律:事象名詞/用言③[+]sou[+]des[-]u/[+]sou[+]d(e[×])a(r[-]u)、

つづく。 次回は【報告相】残りと、【基本構文型】についてです。

2025/11/21

新日本語述語文法ー再始動2

新日本語述語文法ー再始動2

・再始動の方針:(2025/8/〜/11/ ) つづき
 前回の「新手法の再始動1」で方針1、2を長考の末に解説しました。方針3は、さらに「抽象度が高い」考察になるでしょう。
 通常とは逆さまに「辞典巻末付録に載る助動詞一覧表:附属語」を俯瞰しながら構想しています。
・助動詞一覧表の助動詞は、第一義として「述語文節を生成する」接辞群であり、述語文節とは何かを腑に落とし込む必要があります。
・述語文節とは、「主張する事象/出来事/実体が、どうする/どうなる、どんな状態か/安全か、断定か/否定か/推定か/伝聞か、完了か/過去か、肯定意向か/否定意向か」という意識・心理判断を聞き手に向けて表出・報告する文節です。

・再始動の方針3:
3)助動詞の使い方には:3つの階層があります。
 まず、付録の助動詞一覧表を検証します。
通常より深く意識的に機能階層を明確にしておきます。
・態相、構文相、報告相、の3つに区分します。
(報告相は文字通り報告表明する機能であり、報告/連絡/相談の合成語:報連相ではありません)


①第1階層は、態相(動詞の態語幹を生成する接辞群):-e-、-ar-、-as-、の3つの接辞が動詞と連結します。(態相は動作やり取りの対向関係の明示に寄与するので、基本的には動詞活用だけに関与します)
・態相:態の三系四態(能動系D[-/r]u:能動態/可能態/結果態/受動態)、
(強制系D[-/s]as[-]u:強制態/強制可能態/強制結果態/強制受動態)、
(使役系D[-/s]as[-]e[r]u:使役態/使役可能態/使役結果態/使役受動態)、
態動詞システムは整然たる構造なのだと、新手法で提案してきました。
(古語時代には、-ay-:自然可能、-ak-:無律化、の態接辞も使われた:iw-ay-u[r]u;いわゆる、iw-ak-u:いわく。この接辞は[-/y],[-/k],の連結子音として[-/r],[-/s],と共に現代語の中でも潜在して活用されています )

②第2階層は、構文相:構文生成の順序を文節自体に目印を付ける役割の活用形で、①連用形/②連体形/③終止形の3種の活用群にしぼることを提案します。(それ以外の未然形/将然形/…/命令形は報告相階層です)
・主要4品詞:名詞/名容詞/形容詞/動詞、が構文相の文節活用形を作ります。(特に名詞は①連用形/②連体形では主部要素の機能ですが、名詞の③終止形になると述語文節:報告相として機能します)
・構文の基本構造を見つけ出すには、3つの構文相文節の並びを認識するのが早道です。

③第3階層は、報告相:文意判断を受け手に明示する述語文節群であり、この概念的区分を新たに設定することを提案してきました。(未完成でしたが)
・繰り返しになりますが、「述語文節とは何か」を腑に落とし込む必要があります。(述語文節とは、「主張する事象/出来事/実体が、どうする/どうなる、どんな状態か/安全か、その断定か/否定か/推定か/伝聞か、完了か/過去か、肯定意向か/否定意向か」という意識・心理判断を聞き手に表出・報告する文節です。構文の文章主体が表出する心理判断の場合もあるし、別人格:文章の記述者/発話者が唐突に自身の心理判断を表出してしまう場合もありえます。細心の注意が必要になります)

・再始動方針と「新手法」現状の到達成果の比較:
 「態相/構文相/報告相の「3つの階層」概念はどれだけの成果をあげたのか?各階層の現状を見ておこう。

【態相】:態の三系四態を提起した=現状の「五段/一段両方とも可能動詞を派生OKとの「世論動向を支持する根拠」を提示できた。

【構文相】:文章生成に関与する文節活用を①連用形/②連体形/③終止形の3つに絞って注目することを提起した=現状の「日本語口語での基本構文型を「一つの共通文型にして」提起できた。(対話の場の基本構文型=先行質問文−後続回答文=自問−自答文の形式が基本と想定できる)

【報告相】:報告相の接辞・助動詞も構文相活用形を持ちうるが、終止形しかない接辞もある。文末心情吐露の報告接辞なので終止形が似合います。報告相の概念は構文の読み手/聞き手に判断心情を報告することであり、構文構造にどんな関与をするかは、報告接辞の使い方(構文相活用)による=現状の「助動詞「3階層」の概念を提起するのは全くの少数派でしかありません。

つづく。
 次回は「助動詞を3階層に分けて分析する」先行研究を参考図書で調べた結果を記述します。

2025/11/18

新日本語述語文法ー再始動1

新日本語述語文法ー再始動1

 このブログで連載してきた「新述語文法「新基本構文型」の再入門シリーズ、立ち戻るシリーズの後を受けて、今回は再始動シリーズに挑戦したい。

・再始動の方針:(2025/8/〜/11/ )
 新手法を標榜する本稿なので、通常とは逆さまに「辞典巻末付録に載る助動詞一覧表:附属語」の使い方から学習を開始するつもりで、現在の学習知識をもとに「助動詞から遡上する方式」で「自立語とのつながりの文法規則:文節機能の規則」に迫ってみようと考えました。

 「再始動の方針の骨格」には、次に示す新手法の基本要件を既得知識として採用します。
この「再始動」から読み始める方に対しても歓迎したいので、骨格に幾分の肉付けをして解説します。

1)日本語の基本構文の構成要素が:
文=文節+文節+文節+文節+…という文節の集合体が構文構造であり、
これら文節とは、文節=自立語(主に次の4品詞:名詞/名容詞/形容詞/動詞/…)+附属語(助詞/助動詞…)の膠着(3種:複合/縮約/派生屈折)という連結作用によって生成されます。
 つまり構文とは役割を与えられた文節が連続して文章の意味を作り出す構造なのです。
構文内の文節が相互に果たす文法的規律(主部/述部/…の関係力)など:附属語の意味に従うことも多いが、どんな自立語と附属語を連結・膠着させて文節を作り出すのかが重要な言語活動になります。

2)日本語の膠着方法は:3種類の膠着を使い分けます。
①第1膠着は、名詞の活用などに使う=複合[+]の形式です。
例:文法=文[+]法、小雨=小[+s]雨=ko[+s]ame、居酒屋=居[+zθ]酒[+0a]屋=i[+zθ]-sake-[+0a]+ya=いざかや、太郎[+](は/が/に/を/…)など連声・連濁を含めての、主として単語[+]単語、単語[+]助詞の複合[+]機能で連結し文節化します。
②第2膠着は、主に名詞の終止形文節などで多用する=縮約[×]の形式で、(カッコ内範囲)を縮約する。

例:asa[+]d(e[×])a(r[-]u)=朝だ/朝である、asa[+]de([×]ar[i]ma)s[-]u=asa[+]des[-]u=朝です…
(名詞述語形では、[+]de[×]goz(a)ar[0ii=I]mas[i/-]ta(r[-]u).=でございました、など膠着3種を全活用する)
③第3膠着は、主に動詞/形容詞の活用に使う=屈折派生[ / ]の形式です。
自立語語幹[ / ]助動詞接辞との接続点で、子音/子音、母音/母音の衝突を回避するため、[挿入音素:6種類]を選択肢として配置します。
・動詞の例:書く/起きる/食べる=kak[-/r]u=kak[-]u、oki[-/r]u=oki[r]u、tabe[-/r]u=tabe[r]u、(一般形式:D[-/r]u)
のように[挿入音素:[無音/子音]または[母音/無音]]を選択演算する方式です。
挿入音素=[a/-]、[i/-]:2種と、[-/r]、[-/s]、[-/y]、[-/k]:4種の6種類が活用意味に応じて使い分けられます。

例:打ち消し助動詞[a/-]na[k]0i:kak[a]na[k]0i=書かない、oki[-]na[k]0i=起きない、tabe[-]na[k]0i=食べない、
例:意向・勧奨の助動詞:[-/y]ou:kak[-]ou=書こう、oki[y]ou=起きよう、tabe[y]ou=食べよう、
(選択演算式の[挿入音素]記号により、一般形式:打ち消し=D[a/-]na[k]0i、勧奨=D[-/y]ou、と表現できる)

・形容詞の例:形容詞語幹(K)は母音終わりなので、常に[-/k]=[k]であり、重い/楽しい=omo[k]0i/tanosi[k]]0i=(一般式:K[k]0i 表記、0:前音消音)、

打ち消し例:重くない/楽しくない=K[k]u[-]na[k]0i、意向・推量の例:重かろう/楽しかろう=K[k]ar[-]ou、と一般表記から、発話の  omo[k]u[-]na[k]0i、omo[k]ar[-]ou / tanosi[k]u[-]na[k]0i、tanosi[k]ar[-]ou を引き出せる。

 以上、新手法での文節の生成方法の基本考察を記述しました。
・要点は、名詞、名容詞、形容詞、動詞の自立語を文節活用させるには附属語との連結(3種の膠着法)が必要であること。
・3種の膠着法:[膠着記号]=複合[+]、縮約[×]、屈折派生[ / ]で明示する学習法を提起しました。(イ音便、ウ音便、などの表記方法:別途解説予定です)

 つづく。
 次回は再始動の方針3番目:助動詞の使い方(3つの階層)について考察します。

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