新日本語述語文法ー再始動3
新日本語述語文法ー再始動3
・「再始動方針3」と先行研究との簡易的な比較:
抽象的な「再始動方針3=態相/構文相/報告相の区分」に対して、直接的な先行研究との比較は簡単ではないが、参考図書を読み返した範囲で、部分的にでも「新手法」と合致する文法解釈をしている図書を挙げたい。
論点1:【名詞文/名容詞文/形容詞文/動詞文=述語文節】である:
・中島文雄『日本語の構造ー英語との対比ー』岩波書店(1987/5)
・金谷武洋『日本語に主語はいらない 百年の誤謬を正す』講談社選書メチエ(2002/1)
この2冊のどちらも「名詞文/名容詞文が述語文節である」(動詞文/形容詞文の述語文節と同様である)ことを提起している。心強い提案内容であり、確実な一歩ですが、残念ながら普及段階になっていない。
・中島本では、日本語の構文を生成文法の精密な記号法により助動詞の使用法全般にわたり表現しようと試みている。
巻末付録の助動詞の多くが報告相的な用途である、と察知されていた様子だが「構文相/報告相」の階層分けまでに達していない。
・金谷本では、日本語に主語はいらない/述語文節が優先だという明快な論点で、題(主)述構文などを推奨した。分かりやすく人気の文法だが、助動詞の使用法全般にわたる記述配分は少ない。「自動詞/他動詞の派生、識別法」の範囲を詳細解説したが、立つ/立てる、割る/割れるの-u/-e[r]u対向での-e[r]u-接辞の捉え方を自動詞/他動詞、他動詞/自動詞・交替機能で考察するのは的外れであろう。(動作完遂が起きて態相が交替することの考察が不明確です)
・「新手法」では、動詞の「述語律」を自/他では区別しない。
【自律/受律=主体の自律/客体の受律】と捉えるだけです。
【-e[r]u-接辞は「動作を自律完遂する、動作が受律完遂する、両者の条件が整合してやり遂げる=自律完遂+受律完遂=互律=可能態=-e[r]u-】、
【-e[r]e[r]u=互律完遂=結果実現=(結)果律=結果態=-ar[-]u-】、
【-e[r]e[r]e[r]u=結果浸透=果互律=受動態=-ar[-]e[r]u-】、
と解釈することで、態相概念の確立につながりました。
・述語律:互律-e[r]u-と果律-ar[-]u-/果互律-ar[-]e[r]u-の中で自律動作の要素が生きているので、実績可能性や敬語自律表現につながるのです。
・形容詞/名容詞/名詞それぞれの「述語律」を前回シリーズ:再入門/立ち戻るシリーズで提示しました。
先行研究では「論点1:4品詞の述語文節」を発見・提案がなされたが、「述語律」へつづく発展が見られなかった。
つまり、先行研究では「論点2:述語構文論の掘り下げ」が絞り込みに進まず拡散してしまった。
「主述構文、題述構文、は/が構文、物語文/品定め文」など構文形式についての議論は多いが、確定的な結論が広く定着する状態になっていない。
【構文論】再始動の考察には、検討範囲を広げ過ぎては失敗する。
・「論点2:4品詞の述語構文相を明確にする」こと。
【構文構造に関与する文節活用形=①連用形/②連体形/③終止形であり、これを構文相と名付ける】として検討範囲を絞り込む。
・江戸期の本居春庭学派の研究による活用形名称から、上の3種類が構文構造に関与する活用形だと判断して選抜した。
具体例で説明します。
【動詞の構文相:①連用形、②連体形、③終止形】(述部要素)
例①連用形:D[i/-]θ-:書きkak[i]θ-、起きoki[-]θ-、食べtabe[-]θ-、
(θ:後続接辞なし、後続に報告相接辞を連用形で付加する場合が多い)
(可能態動詞の連用形:D[/r]e[-]θ-:書けkak[-]e[-]θ、起きれoki[r]e[-]θ-、
食べれtabe[r]e[-]θ-、已然連用形に相当する)
例②連体形=③終止形:可能態D[-/r]e[r]u:書けるkak[-]e[r]u、起きれるoki[r]e[r]u、食べれるtabe[r]e[r]u、可能態動詞にも正しく注目しよう。
(ら抜きの心配は不要で、一重可能態はすべて成立します。それよりも書けれる×kak[-]e[r]e[r]は二重可能態で疑似結果態になるから、書かるkak[-]ar[-]uとすべきです。三重可能の食べれれれる×tabe[r]e[r]e[r]e[r]u=食べられるtabe[r]ar[-]e[r]u=受動態に表現を交替させればOKなのです)
【形容詞の構文相:①連用形、②連体形、③終止形】(述部要素)
例①連用形:K[k]u:長くnaga[k]u、楽しくtanosi[k]u、こわくkowa[k]u、
(て形化報告相完了連用形:K[k]u[i/-]te:長くてnaga[k]u[-]te、
楽しくてtanosi[k]u[-]te、こわくてkowa[k]u[-]te、)
例②連体形=終止形:K[k]0i=K[-]i:長いnaga[k]0i、楽しいtanosi[k]0i、
こわいkowa[k]0i、
(た形化報告相完了連体形=終止形:K[k]ar[0i=Q]ta、イ音便促音便:
長かったnaga[k]ar[0i=Q]ta、楽しかったtanosi[k]ar[0i=Q]ta、こわかったkowa[k]ar[0i=Q]ta、)
【名詞/名容詞の構文相:①連用形、②連体形、③終止形】
例①連用形:名詞M/名容詞My M/My[+]係助詞/格助詞:
名詞[+]は/も…/が/を/に/(で)…、名容詞[+]に/(で)…、(主部要素)
例②連体形:M[+]の/なの…、My[+]な/の…、(主部要素)
例③終止形:M/My[+]である/です/だ/でございます/…、(述部要素)
(名詞述語文節の述語律は、報告相【叙述よりも発話者の判断/意向の表出】を目論んだ表現です。用言でも構文相②連体形から文末の名詞③終止述語に係り修飾することで報告相③終止形で結ぶことも多い)
【名詞述語文節の述語律:指定律/措定律/推定律/伝聞律、】(報告相)
・名詞/名容詞の③終止形は、報告相③終止形と同一であり、名詞の種別を使い分けて、述語律の意味付けを表現することができる。
例①指定律:固有名詞/職能名詞/分類名詞[+]de([×]ar[i]ma)s[-]u=des[-]u、
例②措定律:普通名詞(回答語)/事由名詞(わけ/はず)/形式名詞(の/なの)[+]des[-]u、/[+]de[+0yθ]wa[+]ar[i]mas[-]e[-]n=[+]dya[+]ar[i]mas[-]e[-]n、
例③推定律:推定名詞/用言②/③[+]you/rasi[k]0i[+]des[-]u、
例④伝聞律:事象名詞/用言③[+]sou[+]des[-]u/[+]sou[+]d(e[×])a(r[-]u)、
つづく。 次回は【報告相】残りと、【基本構文型】についてです。

