日本語の基本構文型(6)名詞文の「述語律と「判定詞」
再掲 【日本語基本構文型1】 選択演算式応答文形式
【 T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③]. 】
注:( ):要否選択、/ :択一選択(または両選択)、[ - ]/[ - ]:選択範囲整理と
択一/(両選択)、… :先行文終わり・後続文始め。
(択一選択を優先するが、言い回しで両選択も許される場合もある)
・主部要素-体言:T①連用形/T②連体形/T③終止形、
・述部要素-用言:Y①連用形/Y②連体形/Y③終止形、
・主部補語-体言:S①連用形/S②連体形/S③終止形で記号化。_
(10)名詞文の「述語律」=名詞・名容詞の「述語律」
主部補語が内包する「述語律」は、活用形が”S③終止形”のときに発揮される。
前回に記述したように”自立語[#]構文相の活用膠着”で
・”補語も「述語律」を持ち”、構文相:[#]判定詞=[+]de[×]ar[-]u=で・ある=にて・ある=[+]ni[i/-]te[×]ar[-]u には「述語律」を見込まない。
(用言も自立語に「述語律」を割当て、構文相には「述語律」を見込まない)
名詞・名容詞が持つ各個別の意味は辞書が教えてくれます。
それらの意味/用途を区分化して、文章中で果たす役割「述語律」を明示する文法的整理をしておきます。
大まかに3種:指定律・措定律・推量伝聞律に区分した。
・「述語律「律記号 (語例用途)」を並べて一覧しましょう。
1)「指定律(名付け律)「=| (固有名詞/役職名詞/分類名詞/呼称名詞…)」など、
「=| (固有名詞 [富士山/信濃川/個人名/…])、
「=| (役職名詞 [社長/理事/部長/幹事/…])、
「=| (分類名詞 [脊椎動物/トマト/肉類/…])、など名詞用途が分かりやすい。
(名前付けで関係付けする名称名詞なのであり、”主=補”同一の意味ではない)
2)「措定律(当てはめ律)「:| (事由名詞)/ :| (概念化名詞)/ :| (普通名詞)」の3用途。
「:| (事由名詞 [はず/わけ/つもり/ため/…])、(分かりやすい)
「:| (概念化名詞 [の/なの/こと/もの/…])、(日本人には形式名詞も分かりやすい)
「:| (普通名詞 [当てはめ措定名詞/連体底名詞/…])、(普通名詞は帰納結語の用途で使われ、
文脈依存性が高いので分かりにくいことがある)
詳細は「判定詞の意味解析」の(11)節立てをして解釈の注意点・文法援用法を新規に提起します。
3)「推量伝聞律「;| (推量名詞)/ ;| (推量接辞)/ ;| (伝聞名詞)/ 」3用途。
「;| (推量名詞 [よう/そう/…])、
「;| (推量接辞 [らしい/べき/…])、
「;| (伝聞名詞 [そう/こう/どう/…])、(どれも用途は分かりやすい)
名詞(補語)③終止形には、上記名詞単語に「判定詞」が連結する形態を想定します。
補語「述語律 =|/, :|, / ;|, 」のうち、「:| (普通名詞 [措定語])」の場合は、(名詞の意味用途が文脈依存することが多いので、
修飾句などが省略されると)一気に分かりにくくなります。これを解決するのも補語文の文法的責務です。
(11) 判定詞:で・ある=にて・ある=に(し)て・ある
補語文のうち、「:|(普通名詞 [措定語/連体底/…])[+]判定詞」の形態は何気なく使っているが、文法的な説明には深慮の工夫が必要である。
・判定詞=[+]de[×]ar[-]u=で・ある=にて・ある=に(し)て・ある、これが”補語と判定詞”の根本的意味につながる形態なのだろう。
・”にて”ある=[+]ni[i/-]te[+]ar[-]u=[+]ni[×]s[i/-]te[+]ar[-]u=に(し)て・ある、先史、古代では、にて=に(し)て=で、が混在して使われる時期があったのではないか?
・現代でも、にて=[に-おい-て/に-対し-て/に-決め-て/に-なっ-て/に-関し-て/に-従っ-て/]…=汎用化:に(し)て=で、の形態で使い馴染んでいる。
・補語文=補語(帰結)+に(し)て・ある=帰結語-に(事象完結し)-て・ある(状態)…これを意味するだろうと分析しました。
・学校に:場所の明示、学校で/学校にて:学校に-おい-ての行動を示唆
することが多い。
つまり、「事象が完結し/定着し”補語”が示す状態・状況・結果」にあるのだ、と言明するのが ”補語文”のねらいなのだろう。
・「これは「:|お湯」+[で・ある/に-し-て・ある/に-沸かし-て・ある]。
(「水を→沸かして…「:|お湯」にして・ある)
・「太郎は…「:|予定」+[で・ある/に-し-て・ある/に-決め-て・ある]。
(「相手へ」→行くと決めて…「:|予定」にして・ある)
・「日本人は…「:|習慣」+[で・ある/に-し-て・ある/に-なっ-て・ある]。
(「正月を→祝うようになって…「:|習慣」にして・ある)
上例で判るように、補語[:|お湯 /:|予定 /:|習慣]の単語としての用途分析をすると、
補語=「動作の「帰結状態を→明示する「:|名詞」+である。
つまり、”完遂行動+帰結語補語+結果状態”の意味内容が”帰結語・補語”に内包されている。
例文の応答文を(回答文+)即答文で確認すると、
・「太郎は(「大阪に→行く)…「:|予定」+です。ではなく、
「太郎は…(「大阪に←行く)「:|予定」+です。と、行くを不定詞扱いに、
・「日本人は(「正月を→祝う)…「:|習慣」+です。ではなく、
「日本人は…(「正月を←祝う)「:|習慣」+です。と、祝うを不定詞扱いにする感覚でよいだろう。
・「太郎は「(:|)予定で(「大阪に→/←行く…「:|の」+で)す。
・「日本人は「(:|)習慣で(「正月を→/←祝う…「:|の」+で)す。
(日本人は「動詞を自律→/受律←:不定詞的にどちらも」→使います)
(「人魚構文」と騒ぐより、「受律/不定詞」の文法化の提唱のほうが、はるかに日本人にも世界人にも役立つのではないか)
もう一つの形式にも通じる即答文の解釈ができます。
補語=「疑問詞に対し「:|解答語を→明示する「:|名詞」+である。の用途もある。
疑問文脈が相互理解できていると”端折り”即答文が通用します。
・「僕は(「何?を→注文?)…「:|うなぎ」+で/(に-し-ま)す。
・「姉は(どこ?に→居る?)…「:|台所」+で(に-居-ま)す。
・「日本人は(「なぜ?正月を→祝う?)…「:|習慣」+で(に-なっ-てま)す。
・「太郎は(「なぜ?大阪に→行く?)…「:|予定」+で(に-決め-てま)す。
・「次の停車駅は(「どこ?に)…「:|石神井公園駅」+で(に-停まり-ま)す。
(帰結説明/経緯説明の疑問文脈に解答する場合に成立する形態です)
命題文・包摂文の概念は「固有名/種類名/役名/…」を補語にした構文で、
「=| 指定律:名付け律」範囲の「述語律」構文に留まる。
・問答文・解答文の概念は「帰結語/経緯語/解答語/理由語/事由語/誘導語/…」などの普通名詞を補語にした構文で、
応答用途の「:| 措定律:当てはめ/言いくるめ/解決説明」で解答する規律を発揮します。
発話の場での「端折り解答文」は相互理解にまったく支障がないでしょう。
←(3/25:最終段へ書き加えます。この段落は飛び越えても構いません)
普通名詞+判定詞の形式では、構文上の名詞用途が ”に-し-て・ある”に隠れてしまうが、
普通名詞の根源が動作事象名詞であるとまず解釈することが必須条件なのかもしれません。
(予定にする/習慣にする=予定する/習慣するよりも目標結果を明確に定めての動作完遂した
状態を表現できる方法のようだ)「人魚構文/人ウナギ文」と思う前に関連付随動作を思うとよい。
(”にしてある”を普通名詞が飲み込んでいるのだから、動作名詞の体言止めも一理ありか。
ar[-]=e[r]e[r]-の自律完遂力を内包してあるし、普通名詞部分が動作名詞の「述語律」を持ち、
汎用化した判定詞:”にしてある”には特定の述語律を想定しないのです)
→(飛び越えて、シン・最終段:2024/3/25)
人魚構文の不都合な解釈の側面を再確認しておくと、
・名詞文(の判定詞)を西欧語流のコプラ機能(=|指定律)と解釈するだけで
・:|措定律、;|推量・伝聞律の解釈は、専用の名詞類「はず/つもり/わけ/そう/よう/らしい」
により辛うじて助けられる。心細い状況です。
(新文法としては、以下のように解釈する)
・補語文=普通名詞+判定詞が即答文形式で使われるとき、
普通名詞=即答名詞・解答名詞が選択されており、:|措定律を発揮する。
(従って、即答名詞・解答名詞は=時/場所/誰/何/事由/どう/量/比況/…
つまり5W・3Hの疑問に対する回答名詞を選択して的確に答える)
例:「僕は「:|うなぎ」+で(に-し-ま)す。
・「太郎は(「大阪に→行く)「:|予定」+で(に-決めて-ありま)す。
・「日本人は(正月を→祝う)「:|習慣」+で(に-し-てま)す。
・「姉は(子供が)「:|二人」+です。
・「姉は(今は)「:|台所」+で(に-い-ま)す。
なお、5W3H疑問の解答語は連体修飾の被修飾語:底です。
内/外の関係については外・内の両方にしても成り立ちます。
・「太郎は「:|予定」に_より_「大阪に」→行きます。
・「日本人は「:|習慣で「正月を→祝う「:|の」+です。
・当時の「首相は「:|(;|)見込みで→言うと、「米の輸入を」→容認する
「:|打開策なの」かも…?
・「姉は「:|二人「子供が」→います。
主部要素の間の主部律関係=主部要素/補語要素の関係と、
述語要素の間の述語律関係=用言要素/補語要素(解答権利の述語律あり)の関係を
明確に感得できると、人魚構文の誤解から脱却できるでしょう。
つづく。 つぎは、動詞の已然が構文相に登場へ…