カテゴリー「日本語文法」の383件の記事

2025/05/11

「体言の述語律」再入門

「体言の述語律」再入門

 新日本語述語文法−再入門(3)に対する補追記事を書き足します。
(再入門(-7/-8)にも関連します)

なぜ、【述語律】の解明が必要なのかを明らかにしていきたい。

・【体言(名詞/名容詞)の述語律】とはどんな機能なのか…用言述語の類推で言うと、
=膠着方式や形態は名詞であるが、機能は:【名詞=動詞的】、:名容詞=【形容詞的】な働きをする。
(述語としての名詞=名(動)詞的、名容詞=名(形)容詞的と呼ぶのが機能に適合する)
文末名詞文:補語/述語文の【述語律】を正確に文法化したい。再入門しましょう。

・名詞補語の【述語律】を新たに4種類に区分します。
新たに報告相を提起するにあたり、4種類=指定律/措定律/推定律/伝聞律としましょう。
(3種類=指定律/措定律/推量・伝聞律との定義でしたが、推量を推定律に独立化します)

 いくつか簡単な例文(「主部1「主部2「主部3…「【補語体言述語」+判定詞】で示す)を掲げると、
1)「こちら/「課長の/「【固有名詞」+です】。:【指定律】固有名詞/役職名など、+判定詞:である/だ/です/…([+]d(e[×])a(r[-]u) /[+]de([×]ar[i/-]ma)s[-]u /…
2)「親切は…「結局/「君自身の「【ため」(なの)+です】。:【措定律】事由/形式/回答名詞/はず/わけ/こと/もの/…など、+判定詞:n(i[×])a(r[-]u)[+]の+です。
2’)「僕は…「【ウナギ」+です】。:【措定律】鰻屋での注文回答名詞、+判定詞。
2”)「太郎は(「何で?/「大阪に【行く】)…「【予定」+です】。:【措定律】理由回答名詞など、+判定詞。(会話では問答文/応答文が基本ですから、回答語のやり取りに対して敏感になるはすです)
2”’)「桜並木は「格段に「【にぎやか/きれい」+です】。:【措定律】名容詞で情景形容+判定詞。
3)「太郎は「大阪に」【行く】…「【よう/らしい」+です】。:【推定律】事態の推定形式名詞/らしい形容詞/など…+判定詞。
3’)「太郎は「大阪に【行き:ik[i]-】…「【そう」+です】。:【推定律】態様の推測形式名詞、+判定詞。
4)「太郎は「大阪に」【行く】…「【そう」+です】。:【伝聞律】事象伝聞の形式名詞、+判定詞。
…以上のように、先行文節に対しての【補語体言述語+判定詞】形態で【述語律」を発揮します。

 【補語体言】の形態と意味を調べてみよう。
・指定律:固有名詞/役職名/所属名/分類名/…呼称名詞を使う。(主【補呼称】文)
・措定律:事由:はず/ため/わけ/つもり/、形式:の/なの/こと/もの/、回答:普通名詞/動名詞/…即答的名詞を使う。
 (主(【補事由】/【補形式】/【補回答】)文)
・推定律:推測・推定:よう/らしい/そう/…(主【補推定】文)
・伝聞律:事象の伝聞:そう/…(主【補伝聞】文)

 【補語体言が述語に変身する】のはどんな方法なのか。
・補語体言+判定詞の膠着で補語述語になるわけだから、この両者の述語性について検証してみよう。
 【体言の述語律】は名詞の形式=固有・呼称/事由・形式・普通名詞/推定・伝聞の名詞・接辞/…で大体の意味の識別ができそうです。
 しかし、措定律の(主【補回答】文)には、言語学者から黄色カードが出されました。
・「太郎は(「大阪に【行く】)…「【予定」+です】。==「太郎は「【予定」+です】は「人間+「【?」】構文であり半人半魚の「人魚構文」だと主張して世界の言語と比較調査したようです。結果は東(南)アジアなどで20言語程度に同様構文が常用されると報告された。
 多くの日本語学者が考察を続けていますが、回答語の【補回答】文にたどり着いていないのです。(普通名詞の用途分けなどの研究が進捗してるから、まもなく気づくかもしれません)

・まだ言語学者が気づいていないことは、日本語構文の基本=「問答文」だということ。
問答の場で「問いかけ文」が共通文脈に定着潜在したら、「回答だけの「即答文=【補回答】文」で応答するのは普通のことです。
・最初に文章提示する場合なら、先行文+即答文の形式で開示するから、「太郎は「大阪に【行く】…「【予定」+です】を読むことになります。(この構文では=【行く+「予定」】だと安直に解釈してしまう。即答文の「【予定」の意義は少し異なり【行く】の修飾がなくて成立する「予定に(決め)てある」という意味なのです)

【補語+判定詞】の【述語律】:【「予定」+です】を詳細に考察する。
・補語の位置付け:問答文と即答文とでの違いについて、
1)【「先行直接修飾ありの+補語」+判定詞】=【先行文を補語が包括】+判定詞と感じる。判定詞には述語性を感じない。(しかし、「です」は繋辞ぢゃない)
=【行く】「【予定=大阪に行く」+です】。

2)【「孤立の+補語」+判定詞】=【補語の述語性/動作性】+【判定詞の潜在的述語性】を求められる。
(先行文脈が潜在していれば、補語の述語性で聞き手は共通に理解できる)
=…「【予定=を立てて」+である=に(決め)てある】=「【予定」+に(決め)てある】という解釈が【即答文=補回答文】に適合するものです。
つまり、即答文の予定=名(動)詞的に理解すべきであり、判定詞=で=にて=に(し=汎用動詞する)て、のように動詞述語的に理解すべきなのです。判定詞は繋辞ぢゃないです。
・このように【「予定」を立て+決めてある=予め定めてある】と解釈すれば、【主補受容な述語律】が立派に出来上がるのです。
・基本構文型の文末述語文節は…[S① -S③=予定です]/[S①=予定に -Y③=決めてある]の選択演算だから、「急に思いついたのではなく、前々から決めていたことだ」と主張したい意図が分かります。

(補追記事終わります)

2025/05/06

「用言の述語律」再入門

「用言の述語律」再入門

 新日本語述語文法−再入門(3)に対する補追記事を書き足します。
(再入門(-7/-8)にも関連します)
なぜ、【述語律】の解明が必要なのかを明らかにしていきたい。

 日本語の【述語律は独特な規律力】を発揮します。
・【用言(動詞/形容詞)の述語律】と【体言(名詞/名容詞)の述語律】に区分して、前者から考察開始します。
いくつか簡単な例文(「主部1「主部2「主部3「…」+【述語要素】で示す)を掲げると、
1)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれた】。(【受動態】:直接/間接の受身が共存可能)
2)「私は/「彼から/「本が/を」【贈られた】。(【受動態】:直接/間接の受身が共存可能)
:上例の【盗まれた】/【贈られた】は「主部の「どの要素」とでも組み合って、主述関係(文章構造)を表現できます。
・間接受身:「私は」+【盗まれた/贈られた】…迷惑の受身形などとも呼ばれるが…、もっと精密に考察すべき研究課題です。

『新手法』の探求原点はここから始まっています。
間接受身の表現を受容する「文法」が存在する言語はとても珍しく、日本語の本質性でもある。
(西欧語:主体が主語であり述語と結合するのだと主張する「主語律文法」に対抗して…
日本語の文法は「主部律:(「主部1/「主部2/「主部3/…)」+【主客受容な述語律】で運用される言語です)
自動詞/他動詞どちらの間接受動態も主客受容する【述語律】は古代から定着しています。
この融通無碍なる態動詞の【述語力】を【述語律】と名付けたのです。

・動作継続・完遂の【状態】を表現する場合でも、主客受容な述語律に感じやすい。
 同様に、用言:動詞/形容詞の述語形式:③終止形の【述語律】には主客受容のしくみが存在します。
・動詞:態三系四態の【述語律】=(能動/強制/使役)[自律/受律、互律、結果状態、結果互律]の12種類がすべて【主客受容な述語律】を果たします。

 上2例のように態接辞(-ar-,-as-,-e-,)付きの動詞は述語律が明確ですから、その他の動作状態を考えてみよう。
3)「直売所で「いちごが/を」【売っている】。(【潜在自律/顕在受律】共存状態の表現:能動態)
4)「いちごが」【売れる/売れている】。(【売れる:互律/可能態、売れている:結果態に近い】状態の表現)
5)「いちごが「(売るのに)」【適している】。(いちごの受律:売る/売る②連体のに①連用:【適している】)
=「いちごが」…【適している】(いちごの【受律/性状】状態の表現)
5')「売るには/「【いちごが」+適している】。(いちごが主部要素と述語要素とに共存する状態)
5")「売るには/「【いちご」+ですよ】。(いちごが主部要素と述語要素に重複共存して名詞文:体言述語律を発揮する形式です)

・形容詞はそれぞれの語幹が【述語律】=主客間での属性律/感情律/感情律+属性律の3種類のどれか/どれもを内包しています。
(主客受容な述語律:主への感情律+客の属性律が共鳴し合うために、形容詞の場合は主客並立構文が望ましい)
6)「源さんは/「【まんじゅうが」+こわい】のです。(こわい:まんじゅうの属性律/源さんへの感情律)
(「源さんは【こわい】。:こわいには感情属性律も共存するが、直接源さんだけに【こわい】が付属すると、こわい②源さんを想像させる。【こわがる】んです、と言い換えるといいかも…)
6’)「源さんは「【何が」+こわい】+のか打ち明けた。:こわい属性文として源さんの感情律に結びつく報告相を付加すると、主客受容な述語律が安定する。
7)「象は/「【鼻が」+長い】+です。(【鼻が長い】属性律の文構造述語、+報告相:のです/です)
(形容詞文節では一括「【何が」+形容詞属性】で属性文と認識するのが第一で、報告相が後続して主客構文が完結するように発話するとよい)

 用言の述語報告相には、動詞なら+ます/+のですの2種がある。
1’)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれ・】+[i/-]mas[i/-]ta.:+動詞文。
1”)「私は/「財布が/「誰かに/」【盗まれた】+の[+]des[-]u.:+名詞文。
(態動詞は【主客受容な述語律】であることが分かります)

形容詞報告相には、用言文の工夫、判定詞文が使えるのです。
6’)「源さんは「【何が」+こわい】+のか 打ち明けた。:+動詞文。
7)「象は/「【鼻が」+長い】+です。:+判定詞文、+回答文。
(形容詞の属性律は個体属性述語の傾向が強くて、感情誘導の規律力が弱いので、主客受容の述語律が成立しにくい。
主客並立化の工夫が必要です)

つづく。次回は「体言の述語律」再入門を予定(です/にします)。

2025/04/24

「だまくらかす」に騙されるな!

「だまくらかす」に騙されるな!

 先週半ばに、特殊詐欺メールを受け取った。

・東京ガスを名乗る発信で、「電力料金未納あり、緊急支払いを」という表題です。 内容は、それらしく「特定供給支店番号、契約プラン、¥3830-、48時間超えたら電気の供給をとめる。詳しくは「よくある質問ページ」への誘導」であった。

・メール内容の各項目にも不審な表現だらけだが、第一に電力料金を東京ガスには任せていない。いわゆる特殊詐欺の手口である。
東京ガスのHPにはこの手のメールが横行しているので注意喚起の記事が載っている。

 この詐欺メールで「だまかされないように」と思考するうちに、
【だまくらかす】の意味、言葉の成り立ちを明示できると、詐欺に引っかからないように身構えられるだろうと思った。

「だまくらかす」の辞典での扱いは、方言とか俗語とかで片付けられ、「だます/だまかす」ぐらいまでの解釈がせいぜいです。

 頼りになるのは『岩波古語辞典 補訂版』です。
・騙し①damas[i]-,③damas[-]u:四段:あざむく。いつわりたぶらかす。
・騙り①damar[i]-,③damar[-]u:四段:そ知らぬ振りをする。表面を偽る。
しかし・だまかし①/だまかす③:まだ派生していなかったらしく、見出し語なし。

一方・たぶれ①tabure,③tabur[-]u:下二:気が変になる。気が狂う。
・たぶらかし/たぶろかし/たぼろかし①tabur[-]ak[-]as[i]:四段:狂わせる。惑わす。
などは見出し語にあり平安時代から用例がある。

残念ながらこれらの見出し語に、-ak-接辞による派生であること、つまり古代ク語法の用法であるとの指摘はない。


 ここからは「新手法」として推測を交えた考察を述べる。

・だます:damas[-]u:あざむく。ないをあると相手に思わせる。
推測・dam[-]as[-]u/dam[-]ar[-]u:の勘違いが近世に起きて、だまかす:dam[-]ak[-]as[-]u:が始まる状況になったか?
推測・だまく:dam[-]ak[-]u:虚偽の事象を本当だと誘導する。
推測・だまくる:dam[-]ak[-]u[r]u:虚偽を事実と受け取る状態にする。
(ク語法の再燃期、u[r]u:二段活用の終焉の頃、近世の産物)
推測・だまくらかす:dam[-]ak[-]u[-/r]ak[-]as[-]u:相手の驚愕を誘い、理性・判断力を奪ってしまう。
(-ak-が二重に使われ、あくにん側が悪巧みな虚偽を言い募る姿が目に浮かびます)
 ク語法+as:-ak[-]as[-]u:は強制態の客体服従的自律行動を中止させ、悪人の自律他動詞にする文法機能なのです。
だから、被害者にならないように、盲目的な服従自律行動をしなくてよいのです。
被害者にならないように虚偽の独演から身を引いて冷静に客観的に虚偽の再検証に踏みとどまるとよい。
虚偽話の先へ先へ誘導されないように、とどまるのが一番です。

 ク語法の例:
・おびゆ:obiy[-]u:おびえる(本人の自律)、が原動詞なら=
=おびやす:obiy[-]as[-]u:主が命じ客(自律おびえ):(強制態)消滅表現。
==おびやかす:obiy[-]ak[-]as[-]u:主が客をおびえさす。怯え強度は客ではなく主の裁量で決める。
:この忖度がはたらく表現が平安期から流通している。

・あまゆ:amay[-]u:あまえる(本人の自律)、が原動詞なら=
=あまやかす:amay[-]ak[-]as[-]u:主が相手の甘えをゆるす。甘え程度は相手でなく主の裁量で決める
:この忖度が働く表現が流通する。

・散る:tir[-]u:ちる、バラバラに離れる(主自律)、が原動詞なら=
=散らかす:tir[-]ak[-]as[-]u:断片を乱雑に散敷く。
=散らかる:tir[-]ak[-]ar[-]u:乱雑に散敷かれる。近世での流通か。

・ずる:zuru:zuru[k]0i:こすい、ずるい、なら= (近世での流通か)
=ずらかる:zur[-]ak[-]ar[-]u:こっそり逃げ出す、高飛びする。

・寝る:ne[r]u:(本人の自律)寝る、から= (近世での流通か)
=寝かす:ne[k]as[-]u:(無情物を横にする)赤児を/ワインを寝かす。
(無律化するため-ak-接辞を挿入音素[-/k],[k]として活用する技)

などの活用例があります。

2025/04/17

新日本語述語文法−再入門(8)

新日本語述語文法−再入門(8)

 報告相−3(作表割愛)
残りの報告相付属語(命令/禁止、当然/否定推測、など)については、作表・説明を割愛します。
代わりに前回の後段で考察した『基本構文型』の側面から、構文相/報告相について再検討してみます。


 【日本語基本構文型】=問+答文=先行文…+後続文=
=T①(T②/Y②)T①-Y①/Y②…S①(S②/Y②)[S①-S③/S①-Y③]。これを『新手法』(2024/06)として提案しました。

・先行文のしくみ:T体言要素(主部) - Y用言要素(述語)…
・後続文のしくみ:S体言要素(主部/補語) [ - S③(補語述語) /S①補語 - Y③用言述語]。
・基本構造:主部と述部の組み合わせをT① - Y③で明示するつもりで、
後続文の -述語も:T①/S① [ - S③ / S① - Y③]、述語は - 記号つきで表記しました。
[-S③名詞文/S① -Y③用言文]のどちらか述語選択ができる構造です。

 つまり、補語終止形 -S③は体言文節でありながら述語機能を果たす文節であることを明示しています。
体言用言複合形態なのです。だから、「T①連用形 -S③終止形(述語機能を発揮)」=
「僕は① - ウナギだ③(補語述語:判断補語:回答語)」がT①連用形と照応し合って述語終結機能を果たせるのです。
・これが、S③に対し「報告相の判断補語機能」を提起する理由です。
(後続文「僕は① ウナギにS① - (し)Y③ます」の言い換えに相当する意味をS③が持っている。
「-S③ウナギ[+]で・ある=[+]にて・ある=[+]に(し)てY①・ある③=[+]にS①(決め)てY①・あるY③、
のような言い換えに相当する。
 S③=体言文節でありながら回答述語機能を内包した複合形態なのです)

・現代の国語学が「は/が」問題や「人魚構文」問題に十分な解釈ができないでいる要因の一つを、
この報告相の捉え方の採用で解決できるかもしれません。


 「新手法」で代表的な報告相の表記記号を設定すると、
動作報告:㋐:D[i/-]mas㋐[-]u. 、
状況報告:㋑:Y③[+]の㋑(+です/だ/…判定詞)、
判断補語:㋛,㋞,㋜,㋢:指定律㋛/措定律㋞/推定律㋜/伝聞律㋢と細分し、
 (指定判断:M固有/呼称㋛+判定詞 )、
 (措定判断:M/My事由/形式/回答㋞+判定詞 )、
 (推定判断:Y③/M/My[+]rasi[k]0i㋜+(判定詞) )、
(推測判断:D①/K/My[+]sou㋜+判定詞、Y③/Mの/Myな[+]you㋜+判定詞 )
 (伝聞判断:Y③/M③/My③[+]sou㋢+判定詞 )、
注:D/K/M/My:動詞語幹/形容詞語幹/名詞/名容詞、Y=D/K の簡略表現。
:①/②/③:構文相①連用形/②連体形/③終止形、の簡略表現。

のような記号試案を開示しておきます。

ひとくぎりで ひとやすみ。

2025/04/11

新日本語述語文法-再入門(7)

新日本語述語文法−再入門(7)
 報告相−2


新文法:付属語活用(報告相-2)


表5-2:発話意図の表出表現-2

 

自立語


[#]付属語


文節例


打消し

:[a/-]na[k]0i.


:[+]na[k]0i.


D


D①


[a/-]na[k]0i.

[-]na[k]0i.


kak[a]na[k]0i:書かない.

tabe[-]na[k]0i:食べない.

ko[-]na[k]0i:来ない,si[-]na[k]0i:しない.
kak[0i=I]te[-]na[k]0i:書いてない.


K①


[-]na[k]0i.


samu[k]u[-]na[k]0i:寒くない.
samu([k]u[-]na)[k]ar[0i=Q]ta:寒(くな)かった.


M①
My①


[+]na[k]0i.


watasi[+]de[×]wa[+]na[k]0i:私ではない.

uso[+]de[×0yθ]wa[+]na[k]0i:うそぢゃない.
(uso[+]dya[+]nak]0i.)


動作報告
:[i/-]mas[-]u.
:[i/-]mas[-]e[-]n.


D


D


[i/-]mas[-]u.

[i/-]mas[-]e[-]n.


kak[i]mas[-]u:書きます.
tabe[-]mas[i]ta:食べました.

tabe[-]mas[-]e[-]n:食べません.
tabe[-]te+i[-]mas[-]en:食べていません.


状況報告
D:のです
(の:包括助詞)

K:の-です


D②/③
[+]の


[+]des[-]u.
[+]da.


kak[-]u[+]no[+]des[-]u:書くのです.
kak[0i=I]ta[+]no[+]da:書いたのだ.


K①/③
([+]の)


[+]des[-]u.
[+]da.


kowa[k]ar[0i=Q]ta([+]no)[+]des[-]u:
こわかった(の)です.


判断補語

(指定律)
M/My:呼称/性状
:です


指定律
:呼称
(固有/)
M/My
:(なの)



[+]des[-]u.
[+]da.


syotyou[+]des[-]u:所長です.

Huzisan[+]d(e[×])a(r[-]u):富士山だ.

katukazan[+]n(i[×])a(r-[+])no[+]da:
活火山なのだ.


判断補語
(措定律)
M/My:事由/回答
:です


措定律
:(はず/わけ/
回答)



[+]des[-]u.
[+]da.


ik[-]u②[+]hazu/yotei/tame[+]des[-]u.
:行く②はず/予定/ため(事由)です.
Bokuwa①unagi[+]da:ぼくは、うなぎ(回答語)だ.


判断補語
(推定伝聞律)
:D③K③M/My先行節


推定律
伝聞律
:(よう/そう)


[+]rasi[k]0i

[+]des[-]u.
[+]da.


ut①/②[+]sou[+]des[-]u:打ち①/打つ②そうだ.
(①推測 /②伝聞)
atu[k]0i③[+]rasi[k]0i[+]des[-]u:暑い③らしい+です.
(③推定)
rusu[+]no②[+]you[+]da:留守の②よう+だ。(:推測)
(=留守+らしい:推定)

注:D/K/M/My:動詞語幹 /形容詞語幹 /名詞 /名容詞、の簡略表現。
:①/②/③:構文相①連用形 /②連体形 /③終止形、の簡略表現。

 

 表5-2(報告相-2)の用語:
・動作報告=D-接辞:[i/-]mas[-]u:-ます、

・状況報告=の+判定詞:[+]des[-]u /[+]d(e[×])a(r[-]u) /[+]da :です/である/だ…
(形式名詞+判定詞:+の/こと/もの/とき/…+です/だ/…などは、次の判断補語と同形ですが、
意味の弱い形式名詞なので状況報告としました)

・判断補語=補語+判定詞:(3種類に大別:指定律/措定律/推定律伝聞律)
(判断補語は、構文相③(体言補語の終止形③)と同一形態ですが、
報告相としての解釈:判断表出機能を優先的に思い浮かべてほしいのです)

 『新手法』では、日本語の【基本構文型】の原型を
「応答文:自問自答の形式:先行文=自問、後続文=自答」であると提案しました。
(発話の場では、先行文潜在して=衆問、後続文=各自答、もあり、
または、先行潜在:彼問、後続:我答、などの多様構文になります。
総称して「問答文=質問文+回答文」論理形式の基本台紙を下敷きにして文章をやり取りする。
これが日本語の暗黙法則になっていると理解するのがよいでしょう)

例:僕は①ウナギ③だ。:彼問=注文は何に?、我答=僕(に)は、:|ウナギだ。
または、自問=僕は①(何を?)…、自答=:|ウナギ③だ。 :|ウナギ=判断補語の回答語に相当する。
だから当然、僕とウナギが同一物だと主張しているわけではありません。

つづく。

2025/04/01

新日本語述語文法-再入門(6)

新日本語述語文法-再入門(6)
 報告相−1


新文法:付属語活用(報告相)


表5-1:発話意図の表出表現-1

 

自立語


[#]付属語


文節例


発意
:[-/y]ou.


D


[-/y]ou.


kak[-]ou,:書こう.(発意/勧奨)
hazime[y]ou:始めよう.
si[y]ou:しよう.


希求
:[i/-]ta[k]0i.
:-[+]gar[-]u.


D
D


[i/-]ta[k]0i.
[i/-]ta[+]gar[-]u.


kak[i]ta[k]0i:書きたい.(内心描写)
tabe[-]tagar[-]u:食べたがる.(外面描写)
([i/-]ta[+]g(e[×])ar[-]u=[i/-]tagar[-]u)


K


[+]gar[-]u.


uresi[+]gar[-]u:嬉しがる.(外面描写)


完了
:[i/-]te,

(構文相①)


D-s,z/-e,i
D-k/g
D-t,r,w
D-n,b,m
(語幹末


[i/-]te,
[0i=I]te/de,
[0i=Q]te,
[0i=N]de,
で音便)


sirabe[-]te,watas-[i]te:調べて,渡して,
kak[0i=I]te,oyog[0i=I]de:書いて,泳いで
mat[0i=Q]te,tomar[0i=Q]te:待って,止まって,(maTte/tomaTte)
yom[0i=N]de,manab[0i=N]de:読んで,学んで,(yoNde/manaNde)


過去
:[i/-]ta.

(構文相③)


D-s,z/-e,i
D-k/g
D-t,r,w
D-n,b,m
(語幹末


[i/-]ta.
[0i=I]ta/da.
[0i=Q]ta.
[0i=N]da.
で音便)


sirabe[-]ta.watas-[i]ta:調べた.渡した.
kak[0i=I]ta.oyog[0i=I]da:書いた.泳いだ
mat[0i=Q]ta.tomar[0i=Q]ta:待った.止まった.(maTta/tomaTta)
yom[0i=N]da,manab[0i=N]da:読んだ.学んだ.(yoNda/manaNda)


仮定
:[+]nar[a],

(已然を仮定に使わない)


D(①/③)
前提


[+]nar[a],
条件


kak[-]u[+]n(i[×])ar[a]:書く[+]nar[a]、
su[r]u[+]nar[a],:する+なら、
(nar[a][+bθ]ha:なら、ばを回避)


K(①/③)
前提


[+]nar[a],
条件


tanosi[k]0i[+]nar[a]:楽しい+なら、
(K[k]e[r]e[+bθ]ha:K+ければを回避)


M
My
前提


[+]nar[a],
[+]nar[a],
条件


manten[+]nar[a]:満点+なら、
sizuka[+]nar[a]:静か+なら、
([+]nar[-]e[+bθ]ha:なればを回避する)

注:D/K/M/My:動詞語幹/形容詞語幹/名詞/名容詞、の簡略表現。
:①/②/③:構文相①連用形/②連体形/③終止形、の簡略表現。

:[i]音便略号=[0i=IQ/N]te/de,①、[0i=IQ/N]ta/da.③、で簡略表記すると
 便利です。([i]音消音便:[0i=I]te、促音便:[0i=Q]te、
 撥音便:[0i=N]de、)
・消音便の唯一例外:行く:ik[0i=I]te:i[I]te:イイテでなくて、習慣的に
 =行って:ik[0i=Q]te=i[T]te:の促音便を選択する。
:’0’記号=前音無音化の記号:sum[0i/-]mas[-]e[-]n=su[I]masen.
:’θ’記号=後音無音化の記号:[+]wo[+bθ]ha=[+]wo[b]a.(+をば)。
・表5-1の「完了①・過去③の項目」は報告相でなく、表4【構文相】に分類するほうが適している。(別途可能なら適正化する)


 【仮定】の設定には、歴史的に失敗例が続いている。
『新手法』では、[+]ni[×]ar[a]=[+]nar[a]:+なら、を仮定形としました。
+ならば、としない。「ならば/なれば」対句になるのを回避するため。
・なれば=已然形+ば、の形態を認めると、D[-/r]eba?/D[-/r]e[+]ba?の差異を明確にする責任があります。
現在の学校文法では、可能態:D[-/r]e[r]uを半分しか認めません。つまり、D[-]e[r]u:だけを可能動詞と認め、D[r]e[r]uを認めないという苦肉の策を続けています。(已然接辞-e-:動作を完遂し:の意味を理解しているなら、D[-/r]e[r]u=kak[-]e[r]u/tabe[r]e[r]u:両者共にOKなのです)
・D[-/r]e[r]e[r]u=kak[-]e[r]e[r]u:完遂し実現状態=二重可能状態の際には=kak[-]ar[-]u:と表現するのが古代からの法則です。受動態と同形態ですが、受動態は多義なのですから、よく吟味すべきです。
一方、食べるの場合=tebe[r]e[r]u=食べれる:一次可能状態であり正常です。これを tabe[r]-ar[-]u:食べらるに矯正すると、二次可能態のtabe[r]-e[r]e[r]uになり結果態になってしまいます。
・tabe[r]-e[r]u:単純可能態と、 tabe[r]ar[-]u:悠々食べていける可能態、との差は大違いですが、それぞれ可能態を感じれるので併存できます。
(回避すべきは、書けるのほうなのです。二重可能:-e[r]e[r]u=-ar[-]u は常に多義の意味が成立しますし、受動だけでなく自律的な「動作完遂し状態を保持できる」という自動詞としての意味も内包します:例:tukam[-]ar[-]u-=tukam[-]e[r]e[r]u==tukam-ar[-]u:掴まって身の安定を確保する/…またがる/ふさがる/求まる/決まる/始まる/上がる/下がる/…などの-ar-接辞は受動よりも、-e[r]e[r]u=の意味を持つ自律自動詞の側面が強いのです)

 以下、表5-2につづく。

2025/03/22

新日本語述語文法−再入門(5)

新日本語述語文法−再入門(5)

文節活用(構文相)を一覧表で提示する。


新文法:文節の役割(構文相)


表4 自立語の構文活用


役割


自立
語節


挿入
音素


接辞1


挿入
音素


接続2



簡潔な注釈









動詞:D
D-s,z/-i,e
D-k/g
D-t,r,w
D-n,b,m


動詞:D


[i/-]
[i/-]
[0i=I]
[0i=Q]
[0i=N]


-,
te,
te/de
te,
de,


←接辞なし
←接辞付き
[i]音便
[i]音促音便
[i]音撥音便


中断:oyog[i],yom[i],tabe[-],
音便なし:正然連用形
例:kak[0i=I]te,oyog[0i=I]de,
tat[0i=Q]te,waraw[0i=Q]te,
tob[0i=N]de,yom[0i=N]de,


[-/r]


e


[i/-]


te,


oyog[-]e[-]te:已然連用形


形容詞
:K


[k]


u


[i/-]


te,


形容詞語幹:K(母音末)
例:samu[k]u[-]te,


名詞
:M


[+]


が/を/に/…
は/も/

   

名詞M・名容詞My:単語
格助詞:が/を/に/で/…

係助詞:は/も/や/…









動詞:D


[-/r]


u

   

近世:連体/終止は同形。
例:oyog[-]u,tabe[r]u,


形容詞
:K


[k]


0i


←’0’ゼロ:前音消音便


・連体/終止は同形。
例:haya[k]0i,samu[k]0i,


名詞:M
名容:My


[+]
  
[+]


の/…
な/…
de




[×]ar




[-]u


例:元気[+]の源、元気[+]な声、
元気[+]である証拠







動詞:D


[-/r]


u

   

例:yom[-]u,tutom[-]e[r]u.


形容詞:K


[k]


0i

   

例:tanosi[k]0i,kowa[k]0i.


補語:
M/My


[+]


de


[×]ar


[-]u


例:d(e[×])a(r[-]u)=da.
de([×]ar[i]ma)s[-]u=des[-]u.

 本表は、『新手法』(2024/6)での6章6-2.2表を元にした上で要約した内容です。(已然①連用形を追加してある)
・この表4は【構文相】の基本形式に絞り込んだ解説なので、文法的には簡単に覚えられそうに感じるはずです。

 しかし、これまでの再入門での表1〜表4を応用するだけでは、欠落した部分があります。

・表1:膠着方式を再確認、表2:文節の主部律/述語律を再確認、
 表3:態動詞の述語律を再確認、表4:自立語の構文相を再確認、
これらの再確認で日本語の構文に対する基礎概念に触れてきました。
再確認した範囲は、態接辞の活用/述語律に対してまでです。これは

国語辞書の巻末付録に掲載される【基本助動詞活用一覧表】の最初の部分(使役・受動+態三系四態)までの解説に相当します。
残りの助動詞類が、まさに未完成の報告相の範囲に相当するものです。
(ただし、表2の補語文節の述語律部分:らしい/ようだ/そうだ、などは【報告相】に相当します)


・【報告相】の概念は何か、基本構文の検証から説明しよう。
『新手法』(2024/6)での日本語の基本文型:(応答文/問答文形式)
 =先行文(主部要素+述部要素)、後続文(補語要素+述部要素)でしたが、
改めて=先行文(主部要素+述語要素+報告相)、後続文(補語要素+述部要素+報告相)とする。
・先行文や後続文の最後に置かれる文節で、文章の聞き手/読み手に報告するような意味合い/心情吐露を表現します。
(注意すべきことは、報告相は発話者/記述者の判断による心理描写が入り込む余地があり、文章中の登場人物の発意でないかもしれません)

・多くの口語辞書は、【報告相】の概念化をしていませんし、「自立語+付属語で=文節【報告相】を作る」という基本原則を省いて、付属語中心の解説にとどまっています。

・「新手法」としては、報告相=自立語+付属語の形式で例示すべきだと、ようやく方向性を見つけました。しばらく試行錯誤してみます。

つづく…

2025/03/14

新日本語述語文法−再入門(4)

新日本語述語文法−再入門(4)

 念のため、動詞の態相・動詞の述語律を一覧表にしました。


 新文法:動詞の態派生の視点から


 表3:態動詞の述語律


.


 自立語節


[#]-接辞1[#]-接辞2


 述語律


 律記号/注釈


 能動系


原態:D
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

一行表記:D-


[-/r]-u.
[-/r]-e[r]-u.
[-/r]-ar[-]-u.
[-/r]-ar[-]-e[r]-u.

[-/r]([0]/e/ar/are)[-/r]u


自律/受律
互律
果律
果互律

 能動四態=


主→客/対←
主↔客/対
主↑客/対象
主↕客/対象

主✜客/対象


 強制系


原態:D+[-/s]as
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

 一行:D[-/s]as-


[-]-u.
[-]-e[r]-u.
[-]-ar[-]-u.
[-]-ar[-]-e[r]-u.

[-]([0]/e/ar/are)[-/r]u.


強制律
強制互律
強制果律
強制果互律

 強制四態=


主・客→
主;客→
主・客↑
主・客↕

主・✜客


 使役系


原態:D[-/s]ase
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

一行:D[-/s]ase


[r]-u.
[r]-e[r]-u.
[r]-ar[-]-u.
[r]-ar[-]-e[r]-u.

[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.


使役律
使役互律
使役果律
使役果互律

 使役四態=


主;客→
主;客↔
主;客↑
主;客↕

主;✜客


注:態接辞は、-e-,-ar-,-as-,の3種です。(古語時代には、-ay-,-ak-,も使われました。近世これも[-/y],[-/k],の挿入音素に用いられ残っていると、推測します)
・動詞語幹:Dに「書く:kak-、食べる:tabe-」を代入して四態を派生させてみよう。(各態動詞を③終止形で示します)
・能動態:D[-/r][0][-/r]u=kak[-]u=書く/tabe[r]u=食べる、
・可能:D[-/r]e[r]u=kak[-]e[r]u=書ける/tabe[r]e[r]u=食べれる、
・結果:D[-/r]ar[-]u=kak[-]ar[-]u=書かる/tabe[r]ar[-]u=食べらる、
・受動:D[-/r]ar[-]e[r]u=kak[-]ar[-]e[r]u=書かれる/tabe[r]ar[-]e[r]u=食べられる。
・強制態:D[-/s]as[-][0][-/r]u=D[-/s]as[-]u=
 =kak[-]as[-]u=書かす/tabe[s]as[-]u=食べさす、
・可能:D[-/s]as[-]e[r]u=(使役原態と同形同義に相当する)
 =kak[-]as[-]e[r]u=書かせる/tabe[s]as[-]e[r]u=食べさせる、
・結果:D[-/s]as[-]ar[-]u=
 =kak[-]as[-]ar[-]u=書かさる/tabe[s]as[-]ar[-]u=食べささる、
・受動:D[-/s]as[-]ar[-]e[r]u=
 =kak[-]as[-]ar[-]e[r]u=書かされる/tabe[s]as[-]ar[-]e[r]u=食べさされる。

 使役の演習を割愛して、
不規則動詞:来る/するの四態を見ておこう。
・来る:到着点での動作が態に直接関係する。
(到着点語幹は ko- であろう。ko[r]u, ko[a/-]na[k]0i, ko[-/y]ou,…)
・来るの能動一行四態:ko[r]([0]0u/e/ar/are)[-/r]u,
(原態k[-]u[r]uに修正するために:ko[r]([0]0u)[-/r]uと表記した)
・来るの使役一行四態:ko[s]ase[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.

・する:語幹は s-だが、 s[i]/s[e]正然・已然連用が混用される。
・するの能動一行四態:s[-](u/e/ar/are)[-/r]u,
・するの使役一行四態:s[-]as[-]e[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.

 以上、不規則動詞の態派生についても、ほぼ規則動詞に類似する一行四態形式で表記できることを見定めてください。

 態の三系四態(3×4=12種類)に対して
動詞の「述語律、律記号」を各個規定します。
・【述語律】とは、文章に「登場する人・物」の(態)動作関係を規律する文法力を明示することです。
つまり、主部要素の相互関係が格助詞/係助詞の使用によって明確になること、これを態動詞の【述語律】が規律・要請するのだという概念です。(どんな述語律の動詞を使うのか、が分かるなら必要な主部要素の数・関係性が推測できる)
・【律記号】とは、(自動詞/他動詞に区別を設けません)
・能動態動作:動作が「主→」から発し「客/対象←」に向かい、(自律/受律)
「主↔客/対象」が相互の可能条件を探って完遂やり遂げる(互律)、と
「主↑客・対象」に結果が実現の状態になり(果律)、
その結果を受けて「主↕客/対象」が関与する影響を述べる(果互律)。
という一連の事象進展を表現する規律記号です。
・強制態動作:「主・」命じ「客→」に服従的自律(従律)動作をやらす。
・使役態動作:「主;」命じ必要なら助言・互助し、「客→」に(従律)動作を(完遂まで)やらせる。
(以下、四態の続き説明を割愛します)


 かな文字国語学では、-e[r]u- 可能態接辞:已然接辞を正しく解釈できない状況が続いています。
-e- 已然接辞の原意は「動作を完遂する」です。自他交替/他自交替の両用接辞なのかと勘違いしてはいけません。あくまでも動作完遂(描写)を示す接辞です。(自他の変化より、完遂描写です)
・それが自他交替/他自交替に解釈されるのは「完遂の結果」で、(態が変化しています)日本語の動詞の述語律(動きの局面描写)の特徴です。
(已然形を仮定形に別役定義したことは、誤用誘発の危険:大なのです)
・可能 D[-/r]-e[r]u /受動 D[-/r]-ar[-]-e[r]u の違いを正しく「-ar- 抜き」とも見抜けず、闇雲に「ら抜き回避の誤対応を」続けています。
(四態の意味の真芯:D[-/r]u=動作する、D[-/r]e[r]u=やり遂げる、
D[-/r]e[r]-e[r]u(完遂が実現状態にある)==D[-/r]ar[-]u(実現結果がある)、
D[-/r]e[r]e[r]e[r]u(実現結果の影響が現れる)==D[-/r]ar[-]e[r]u(動作結果の影響受ける状態)、
という一連の動作循環の表現なのだと解釈したい)
・さらに、国文法では態接辞の形態や膠着法を明示しないので、「さ入れ言葉・れ足す言葉」など「態の多重派生の問題」に正解答を示せていません。

 新文法では、[-/r], [-/s], [#],など 選択演算式の[挿入音素]を明示して確認する演習方法によって、接辞の実態を正しく目視・発見できます。

つづく。

2025/03/11

新日本語述語文法−再入門(3)

新日本語述語文法−再入門(3)
 まず「主部律/述語律」の全体を鳥瞰してみよう。


新文法:主部律と述語律の視点から


表2:文節の規律力


文節・膠着種別


活用(構文相)


相互規律力


例:自立語の役割


主部要素


・体言文節
名詞/名容詞体言:[+]格助詞/係助詞…
を膠着。
(主部体言が主部律を果たす。補語は述語律を持つ)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:
[+]判定詞(である)で連体文機能を果たす.


・主部律
①主/
②客/
③対象/
④提題…
登場人物の格指定。


①主:主/排他格[+]が…
②客:与/奪格[+]に/から/…

③対象:対格[+]を/…
④掲題:係格/掲格[+]は/も/…:[+]は/は/には/では/…何格でも掲格化し構文を作れる。(述語律関連)




述部要 素


・動詞文節

動詞語幹:[/]態接辞[/]接辞…
を膠着。
(態動詞文節が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①能動系
四態:✜
②強制系
四態:・✜
③使役系
四態:;✜


①能動態:可能態/結果態/受動態:

②強制態/強制(可能態/結果態/受動態):

③使役態/使役(可能態/結果態/受動態):の3×4=12律。


・形容詞文節
形容詞語幹:[k]接辞[/]接辞…を膠着。

(自立語が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①属性律:
 性質/属性
②感情律:
 感覚反応
③感属律:
 感情反応


①属性形容詞:
 :> 重い/軽い/細い/…

②感情形容詞:
 :< 楽しい/つらい/痛い/

③感属性形容詞:
 :<> 望ましい/懐かしい/
 冷たい/怖い/…


・補語文節
補語:[+]de[×]接辞[/]接辞…
を膠着。
(補語文節の体言が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①指定律:
②措定律:
③推量伝聞律:


①指定律体言:
 =| 呼称/固有/役職/分類

②措定律体言:
 :| 事由/形式/回答語/…

③推量伝聞(体言):
 ;| らしい/そう/よう/…

 ここに述べる「主部律「述語律」は重要な概念であり、広く啓発していきたい文法法則です。
しかし初耳の主部律/述語律だと思いますから、全体の鳥瞰表示を一見して納得できないのは、普通でしょう。

・「主部律」であり主部要素間の格関係を規律します。
「主語律」ではありません。(述語は主語だけに限定従属するのではなく、主部(主/客/対象)を格関係として規律し、矛盾せず整合することが条件です。主部要素の一部しか顕在せずとも矛盾しないなら文章は成り立ちます)
・「述語律」であり、「述部律」ではありません。単一の述語が主部要素:主/客/対象を均等に規律する。
(同類の述語を重ねる場合もありますが、矛盾せず整合することが条件です。重ねて指摘すると、述語は主語とだけ規律し合うのではなく主/客/対象を均等に規律します)

 

例文を解説して説明を深めます。(言葉足らずながら、自立語に注目してその役割区分を記述しました)

 例1:「春雨ぢゃ(から)、濡れて参ろう」:春雨ぢゃ=補語文節②措定律(回答語)①連用形、:濡れて=①連用形・参ろう=意向③終止形。
 例2:「女は殴られた男に復讐した」:女は=④掲格・主①連用形、:殴られた=受動(③終止形/②連体形)、:男に=奪/与格①連用形、:復讐した=(女④係格が係る・自律)③終止形。
 例3:「女は殴られた男が赦せなかった」:女は=④掲格・主①連用形、:殴られた=受動(③叙述修飾/②限定修飾)、:男が=①根源格①連用形、:赦せなかった=(女④掲格・主も係る、男も①排他根源格として係る・已然)不可能③終止形。
 例4:「僕はウナギだ」:僕は=④掲題①連用形、:ウナギだ=補語②措定律(回答語)③終止形。(鰻屋での注文の場面)
 例5:「源さんはマンジュウがこわい」:源さんは=④掲格(感情体)①連用形、:マンジュウが=①排他根源格(属性体)①連用形、
 :こわい③感属律(源さん感情体・マンジュウ属性体ともに係る)③終止形。
 例6:「象は鼻が長い」:象は=④掲題(所有体)①連用形、:鼻が①排他根源格(属性体)①連用形、:長い①属性律③終止形。

 日本語の構文形式は多くの場合、応答文形式=問答文に当てはまる。
例4「僕は(何を注文しようか?)、ウナギ(回答語)だな」、
例5「源さんは(なにがこわい?)、マンジュウが(回答語)こわい(源さん感情体/マンジュウ属性体を規律する)」という論理的な思考形式に基づいた構文なのです。

例2、3「女は殴られた(ので)…」先行文:叙述修飾文・前提条件文と解釈する。同時に先行文が限定修飾機能で「男に/が…」に係る。殴られた③終止形は②連体形と同形なので限定修飾と紛らわしい。が、一列順番に発話表現する文章制約を勘案すると、殴られた:叙述修飾文(ので付き)・①連用形だと解釈するのが合理的でしょう。(関係詞が潜在して後続文につながると考えてもよい)

 ・形容詞の述語律:3種類は文章中での配置に関係なくほぼ固定的に決まるので、習得しやすいでしょう。(形容詞が主部要素の格関係:所有体/感情体/属性体の配置を要請し規律するとみなす)

・名詞の述語律:大別3種類だが、役割が細分化されるので十分に習熟度を上げておきたい。(名詞の補語要素は主部要素でもあるが、述語要素の働きが100%です。特に普通名詞の補語は②措定律:回答語であることが多い)

・動詞の述語律:態三系四態12種類だが、態接辞に固定的な述語律であり、3種×四態(ほぼ共通)なので修練方法は明確です。

つづく。

2025/03/08

新日本語述語文法−再入門(2)

日本語述語文法−再入門(2)


 さて再入門の目的を改めて確認しておきましょう。
・昨年発行の『新手法(2024/6)』で未完成状態である部分:述語活用の「報告相」についての「新手法」を発見したいということです。

・述語活用に関わる「付属語:助詞/助動詞…」の機能をすっきりと整理することが必須条件です。すでに「新手法」で解決してある「態相接辞、構文相(連用形/連体形/終止形)接辞」を除外して、「肯定/否定、意向/希求、完了/過去、仮定/命令、指定/措定、推量/伝聞、…」などの助動詞類を「報告相」の対象とします。


 まず「膠着強度の3種類」を簡単に明示します。
膠着強度の3区分


新文法:述語の膠着方法の視点から


表1:膠着法3種類


膠着①:[+]複合例
・夜行列車
  yakou[+]ressya
・春[+]は/が…
膠着①’:[+]複合変種
:連濁/連声など含む
・居酒屋
 i[+zθ]sake[+0a]ya
・反応han[+n]ou
注:’θ’=後音消し記号
 ’0’=前音消し記号
(zθs=zを表現する)


膠着②:[×]縮約例
・である=だ…
[+]d(e[×])a(r[-]u)=da…
・であります=です…
[+]de([×]ar[i]ma)s[-]u=des[-]u…

注:縮約の範囲は( )で示す。
恣意的な縮約だがすでに定着している。
実際は[+],[×],[/]が混在します。



膠着③:[/]派生例
・読みます/食べます
 yom[i/-]mas[-/r]u==yom[i]mas[-]u ,  
 tabe[i/-]mas[-/r]u==tabe[-]mas[-]u…

注:
 [a/-].[i/-]=[連結母音/無音],2種類。
 [-/r],[-/s],[-/y],[-/k]=[無音/連結子音],
 4種類。

注:膠着①:緩やかな連結、単語[+]単語/助詞などの連結。
膠着②:慣用的な省略を含む結合。助詞[×]接辞[/]接辞…など体言の活用向き用途。
膠着③:密結合。動詞/形容詞など語幹[/]接辞[/]接辞…用言の活用向き用途。

 新手法の膠着三区分を基礎にするなら、体言も用言も必要な付属語と連結させることで、文節の役割を担って構文要素を作成できるのです。体言も用言も上手に活用して日本語文を作り上げるのだと言える。

日本語の文章形式
 日本語の基本的な文章構造は「登場人物:主部要素」+「情景描写:述部要素」で構成されるのが基本的な構文形式です。
(修飾説明のための「述部要素が「主部要素に」先行する場合もありますが、文章を最終的にまとめる述語が文末に必要なのです)


・主部要素の構造は
「文章中に「登場人・物」:名詞:自立語に[+]付属語・助詞「は/が/を/に/で/…の/な/…」などを連結して「主/客/対象/目的:主部律」の役割を明示します。 (これを「主部文節」といいます。複数の主部文節を想定できます)
・述語要素の構造も同様に、文章中の
「人物・事象の動き」:動詞:自立語D語幹[/]接辞語幹[/]…、や
「表情・状態・属性の感じ」:形容詞:自立語K語幹[k]接辞語幹[/]接辞…
「質問への返答・名前・事由」:名詞・名容詞:自立語[+]助詞[×]接辞[/]接辞…、
などに「特有の膠着方法で付属語・助動詞/助詞」と連結させて活用させることで情景を描写します。
(これを「述語文節」といいます。文末の述語文節は複数でなく単独であるほうが簡明な文章です)

 『新手法(2024/6)』では「主部文節「述語文節」について新しい考え方を展開しました。

・主部文節=主部要素:主に体言・名詞/名容詞の文節で、文章中の「主部律」(登場人物の役割づけ:主/客/対象/などの格付け規律)を果たす。

なお、文末で体言的な述語役を果たす「名詞文:補語文節」の機能は、主部文節と同形態ながら「体言的な述語律:3種類」を発揮するのだと強調した。(名詞文を述語要素として徹底して位置づける)
・述部文節=述部要素:動詞/形容詞/名詞・名容詞(補語)の活用で動作や事象/状態/評価などを記述する。(述語律:動詞文=態三系四態:3×4=12種、形容詞文=属性/感情/感情属性の3種、名詞(補語)文=指定/措定/推量伝聞の3種)と解説した。


 『新手法』の「主部律/述語律」を次回に詳細に解説します。

つづく。

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