カテゴリー「態文法」の176件の記事

2024/09/15

「またく心」とは「待ち焦がれる心」のこと


「またく心」とは「待ち焦がれる心」のこと

 日常的に閲覧しているネット上のBLOG:mycontentslabo.comの記事で気になる内容がありました。
そのブログで『丁寧に読む古典』小松英雄の書籍が紹介されています。
『古今和歌集』の中の一句についての解釈方法を考察し解説した部分に目が留まりました。
BLOG:Laboの取り上げ方に従い要点を絞り込み引用すると、

 その一句が「いつしかと またく心を脛(ハギ、フクラハギ)に上げて 天の河原を今日や渡らむ」です。
解説の焦点は「またく心」の意味についてです。書籍では解釈先例と、小松の解釈例を上げています。
・小西甚一:織姫が牽牛のいる方向にまっしぐらに馳せる心情、(抽象概念として世に広まった)
・小松英雄:「またく」の具体的解釈:またぐ=跨ぐ、で天の川を跨ぐにつなぐ意味、に解釈した。
どちらの解釈もしっくりしない。
「まっしぐらに馳せる」が「またく」の意味の真芯を捉えておらず、抽象的なのが多くの俗説も生み出したと言う。
しかし「またぐ:跨ぐ」と解釈するのは、俗説の流れに加担することになるだろうと、閲覧後に感じました。

 『古今和歌集』に触れたことが全くないのだが、新文法を提唱する立場からこの句を解釈すると、
「いつしか(いつか、まだか、いつか)と またく(待[-]ak[-]u=mat[-]ak[-]u=待ち焦がれる) 心を(駆動力=エンジンとして)脛(ハギ、スネ)に上げて(装着して)、天の河原を今日や(自力で会いに馳せ)渡りたい」と解釈するのが自然だと考えます。

 つまり、またく=待つ+ak-(-ak-:古語ク語法の接辞)=待ち焦がれること、これを自分の駆動力にして天空を駆け渡りたいこと、の2点がこの句の思い入れ、ダイナミックな心情吐露ではないか、と思います。

 奈良時代、平安初期には、-ak- 接辞が大流行したようですし、現代でもときに登場します。
古代当時には、見ることmi[r]ak[-]u, することsu[r]ak[-]u, 言うことiw[-]ak[-]u, など大流行の片鱗が岩波古語辞典に残っています。遊ばかすasob[-]ak[-]as[-]u, 脅かすobiy[-]ak[-]as[-]u, 散らかすtir[-]ak[-]as[-]u, 散らかるtir[-]ak[-]ar[-]u, など本格的な態接辞としての使い方が次第に定着してきた様子も分かります。
一句の「またく:待つ[-]ak-」が当時から「待ち焦がれる」を限定して意味したのか不明ですが、前ふりに「いつしかと」があるので「待ちぼうけ」ではなく「待ち焦がれる」状態であるのが分かります。
特に「またく心を脛に上げて」(駆動力にしよう)というからには、「待ちぼうけ」や「待ちわびる」の受律的な意味ではないでしょう。

追記:2024/9/16
 簡単に古今和歌集の「またく心」をネット検索してわかったことを追記します。
・この和歌集は平安時代中期の勅撰和歌集であり、藤原兼輔の詠んだ歌だという。
・七夕の前夜に牽牛がハヤる気持ちを俳諧調子で詠みくだしたものらしい。
・そうすると、またく=mat[-]ak[-]u==「待ち焦がれる」または「待ちきれない」という心情を強調しての和歌でありそうです。

 ネット上では「ク語法」に着目した説明が見当たらないようで残念です。
膠着語である日本語をローマ字つづりで書き起こし、語幹と接辞の膠着方法を解き明かす方法をとることで、かな文字頼りで解釈する国語学を乗り越えて発展できるはずです…

:2024/9/18
 さらにgoogle「またく心」検索結果を見渡すと、令和和歌所wakadokoro.com/blog/見えるか?天の川に、俳諧調子で解釈するなかで「待ちわびちゃって、裾をまくって…」と、待つを見る解釈も見えた。ただ「またく心を脛の駆動力にする論理関係」が見えない。脛をあらわにする滑稽さを駆動論理で言い繕う図が解釈されていないのが残念。今日の検索で分かったこと:当ブログページが検索第一ページ内に現れました。…そして消えました…
:…
 …そしてまた現れました。ありがとう…

2024/08/29

「新手法」の用語(4):活用節=(体言/用言)[連用/連体/終止]


「新手法」の用語(4):活用節=(体言/用言)[連用/連体/終止]
 新著『日本語の述語文法 〜「新手法」で学び取れる〜』で解説した「新用語」をなじみやすく解説しています。第4回目です。

 初回に示した「新著「新用語の用語例−1」を再掲します。
用語例ー1(解説回目)ーー(出現回数)
・(1回目) 二段活用連体接辞:-u[r]u-(38回):-ur-(1回否定文脈)
・(2回目) 主部(325回):主部律(58回):主語律(8回否定文脈)
・述(896回):述部(84回):述語(603回)
 (3回目) :述語律(349回):述部律(2回否定文脈)
・文の構成(11回):文節(168回):文節の構造(0回)
 :文節の細部(3回):自立語節+活用節(3回)
・(4回目) 活用節(103回):活用語尾(11回否定文脈)
 :活用節=(22回)
 :体言(の)活用節(5回):用言(の)活用節(4回)
 :補語活用節(3回):述語活用(18回)
・(各回で使用) 膠着(183回):膠着強度(22回)
 :膠着種別(6回)〜種類(0回)
 :膠着記号:派生[/](85回)、複合[+](346回)、縮約[×](180回)

(1)文の構成=文節+文節+文節+文節+…。
・文節の構造=自立語節[#]活用節[#]活用節[#]…。

  1. 文節の役割を各種に変化させる目的で、自立語に各種の活用節を[#]選択演算して膠着することで活用形を構成します。
  2. 自立語節[#]活用節の構造は、自立語の単語/または語幹に[#]付属活用語の助詞/または助動詞の語幹を[#]膠着連結する形式です。
    (自立語と付属語のつなぎ目は[#]膠着演算子が置かれるだけで、「?活用語尾」などではありません。発話や記述の際に、[#]付属語に何を使おうかと選択演算する経験が誰にもあるはずです)
    ・用言(動詞、形容詞)の活用膠着は「語幹と接辞語幹の」密結合形式です。
    ・体言(名詞、名容詞)の活用は「単語+単語、単語+助詞の」疎結合形式が基本です。
  3. 体言の[#]活用節=主に動作格を示す格助詞、いわゆる[+](が/に/を/て/で/…:連用助詞):連用形の他、
    [+](係り助詞:は/や/も:連用助詞…):連用形、
    [+](の/な:連体助詞…)を膠着させて:連体形の活用形とします。
    ・体言の終止形:補語名詞・名容詞[+](である/だ/です/であります/…:判定詞)の形態で述語に相当する働きをします。
    ・付属判定詞=[+]d(e[×])a(r[-]u)=[+]da=[+]de([×]ar[i/-]ma)s[-]u…)のように[×]縮約膠着により多様な判定詞を生み出します。
    (判定詞内では[+]助詞[×]接辞語幹[/]接辞語幹…など膠着全種が使われます)

  4. 体言の膠着記号[#]は、[+]複合を使い、自立語単語と助詞を並べ置くのが通例です。例外的には、
    ・単語と単語の[+]複合膠着で、音便法則も働きます。
    :小雨ko[+s]ame=kosame、酒屋sake[+0a]ya=sakaya、
    :日本niti[+00i=P]h[+0P]on=ni[+p]pon,/日本niti[+00i=-]hon=ni[-]hon、など。
    (複合[+]の音便表記法を試めしてみました)
  5. 用言の[#]活用節=動詞語幹/形容詞語幹に[#]膠着音素で助動詞:接辞語幹を膠着連結して活用形を作ります。
    ・動詞語幹Dに挿入音素[ / ]を介在させて接辞語幹をつなぎます。
    (連用/連体/終止:D[0i=IQN/-]te/de/D[-/r]u/D[-/r]u)…
    ・形容詞語幹Kに挿入音素[-/k]=[k]を介在させて接辞語幹をつなぎます。
    (連用/連体/終止:K[k]u([-]te)/K[k]0i/K[k]0i)…
    :D:渡すwatas[i/-]te/watas[-]u/watas[-]u…
    :K:楽しいtanosi[k]u[-]te/tanosi[k]0i/tanosi[k]0i…

(2)文の構成=構文内での活用文節の役割に注目して分析すると、
日本語の汎用的な基本構文型を一行表記できるのではないだろうか。
簡易的に表記すると、
・基本構文型=(連用/連体)文節+(連体/連用)文節…+(連用/連体)文節+(体言/用言)終止文節…。
(選択演算式に文節を取捨する前提なら、冗長度が高い文型ではあるが、作文指導には有効かもしれない)
これが『新文法』構文型提起の着眼点に発展する萌芽です。

  1. 今、冷静に分析すると、国語学の連用/連体/終止の概念を援用するだけでは不十分であることがわかります。
  2. 体言にも連用/連体/終止を適用する工夫をしたが、
    体言の終止形が述語役も果たすので、連用も連体も体言終止:述語に照応連結するとき、連述形である場合も連体形である場合も混在することになる。
     つまり修飾文節が連用なのか連体なのか不明確になる。発話者が明確な意思を持って「連述形で「体言終止」を修飾するとの思い入れがほしいが、文法的な保証がない。
  3. 体言も述語規律を持ち、用言の述語と立場が同じになるという概念を明確にする文法の共有が必要条件になる。
  4. 構文構造に関する文法規則が整備されていないので、基本を会話の場での「応答文形式」を考察するのが手っ取り早い。
    ・応答文=即答文/回答文/叙述文、の3種類の構文形式です。(例:うなぎ屋で「何?」を注文するか、の場面で)
    :即答文「僕は…「:|ウナギ」+です。
    :回答文1「僕は(「注文を」)…「:|ウナギ」+に-し-ます。
    :回答文2「僕の「注文は…「:|ウナギ」+です。
    :叙述文「僕は「:|ウナギを」→注文します。
    ・体言補語は「場の疑問:何?」に答える「:|ウナギ」であり、
    (注文を省略してでも)「:|ウナギ」は必須です。
    また、会話の場に居合わせた人は疑問事項:何?を共有しているので即答文でも十分理解し合える。

(3)名詞・名容詞=体言は「主部にも「述語=補語+判定詞、にも」なります。
 補語[+]判定詞の「述語律」は補語の性質により3種類に分類します。

  1. ①指定律 =|:補語が「(=|)(固有名詞/分類名詞/役職名詞/…)」などの場合であり、呼称づけ・名前付け・分類分けを明示するのに使う。(補語名詞の用途を理解しやすいでしょう)
     しかし、いわゆる「主=補語」のbe動詞:コプラ・繋辞+補語に相当すると早合点してはいけません。補語が「何?」に応答する述語要素ですが、主部とは所属/役職/所有/名付け/…の関係性を明示する役目を果たします。(主=補語の「等価関係や同一関係」を想定する必要はない。並立関係である)
  2. ②措定律 :|:補語が「(:|)(事由名詞/形式名詞/普通名詞/…)」などの場合であり、「疑問の何?/何故?」に答えるほとんどの名詞が補語述語として使われます。(事由/形式は定形的で用途は分かりやすいが、普通名詞がどう「何?」と対向するか…)
    ・特に普通名詞による補語名詞には、動作名詞/選択肢名詞/状態名詞/思索名詞/時候名詞/…など疑問回答のために措定化:言い換え・当てはめの名詞であり定形語ではありません。
  3. ③伝聞・推量律 ;|:補語が「(;|)(様態名詞:よう,そう/推量接辞:らしい,べき,でしょう,だろう/…)」などの曖昧回答のための名詞や接辞を定形的に使う。補語述語の用途は分かりやすいでしょう。

(4)補語[+]判定詞の意味、補語の述語性を補強する方法
 自立語の補語が名詞述語文節を先導します。判定詞部分は付属語要素ですから独立要素と見ないので、補語が「述語律」を果たします。
・3種類の「述語律」を生み出すそれぞれの補語名詞が、用途を表す定形的な名詞や接辞を使うことが多いので、解釈上の明確性が保証されます。
・ただし、補語文が 「:|普通名詞」により「疑問の「何?」に答える場合、文脈の「何?」を共有する聞き手でないと誤解する可能性がある。

  1. a:「次の停車駅は「:|石神井公園駅」+です。(判定詞)
    a’:「次の停車駅は「:|石神井公園駅」+に-停車し-ます。(叙述文)
  2. b:「太郎は「:|予定」+です。(判定詞)
    b’:「太郎は「:|予定」+に-決め-てあります。(叙述文) 
  3. c:「日本人は「:|習慣」+です。(判定詞)
    c’:「日本人は「:|習慣」+に-し-てます。(叙述文)
  4. 判定詞:で・あるは、助詞「で=にて」・ある、の膠着でできている。意味は、にて・ある[+]ni[-]te[×]ar[-]u=[+]ni[×]s[i/-]te[+]ar[-]u=に(し)て・ある、のように動作状態の表現を内包する。
    ・にて:に-於い-て/に-つい-て/に-関し-て/に-調べ-て/に-よっ-て/に-対し-て/に-従っ-て/に-則っ-て/に-し-て/に-なっ-て/に-あたっ-て/…に-深め-て/に-図っ-て/に-早め-て/…など叙述文に変身しうる意味を内包しています。

  5. 判定詞は付属語節ですから、補語に「述語律」を託します。
    汎用的な判定詞形態には=[+]n(i[×])a(r[-]u)[+]no[+]des[-]u=…
    =補語(+連体なの)です/用言連体(+の)です。…が使えそうです。
    これも日本語の工夫の一つなのでしょう。
  6. a:「次の停車駅は「:|石神井公園駅」+なのです。(汎用判定詞)
    b:「太郎は「:|予定」+なのです。(汎用判定詞)
    c:「日本人は「:|習慣」+なのです。(汎用判定詞)
  7. a”:「次は「:|公園駅に→停車(する「:|の」)+です。(汎用判定詞)
    b”:「太郎は「:|予定で→行く+「:|の」+です。(汎用判定詞)
    c”:「日本人は「:|習慣で→祝う+「:|の」+です。(汎用判定詞)

・にて・ある:は、に・ある=なる、よりも、=に-する動詞−て・ある、を連想させる。ちょうど名容詞:元気な、の「な」:連体助詞のような変化する一瞬の有様、状態を描写するのに好都合な助詞です。
(:に-する動詞-て・ある=に-する-状態にある=連体助詞「な」、と解釈できるのだろう…)
:(補語)+なの-は/なの-が/なの-を/なの-に/なの-で/…などの汎用的な使い方ができて、補語事象の/発生経緯/事由経緯を説明する事由説明詞の用法として構文解釈してみるのもよいだろう。
・:|補語+なのです:の形態で補語の:|措定律の働きを明示できます。
・:|補語+です:の形態では、補語の=|指定律と同一形態なので混同される。
これを具体的な方法で避ける文法則に採用できるのです。

ー完ー

2024/08/28

「新手法」の用語(3):-e[r]と-ar[-]uを分かる知恵


「新手法」の用語(3):-e[r]uと-ar[-]uを分かる知恵
新著『日本語の述語文法 〜「新手法」で学び取れる〜』で解説した「新用語」をなじみやすく解説しています。第3回目です。
(用例、説明の一部を加除修正しました)

(1)状態互律と態進行の関係性
・正然連用形[+]いる:置いて[+]いる…置くの連用形、
・正然連用形[+]ある:置いて[+]ある=ok[0i=I/-]te[+]ar[-]u.
(ある-ar[-]u=-e[r]-e[r]uに相当する)=置けれるok[-]e[r]e[r]u?
古語では已然-e-までで、-e[r]uの使い方がなかった!
・動作相が進んだ已然連用形[+]いる:置けて[+]いるok[-]e[-]te[+]i[r]u、
の状態表現もなく、態の「置かるok[-]ar[-]u」が使われたろうか。
・已然連用形[+]ある:置けて[+]ある…の状態表現も動作を継続観察した報告なのか、やや違和感がある。だから、態表現が優先される。
=置かる:結果態(古語の受動態)ok[-]ar[-]u、置かれる:(現代は)受動態ok[-]ar[-]e[r]uが常用されている。(受動は-e[r]-の三重連結に相当?する)

・態の進行・四態に区分けして解釈すると、
:置くok[-]u自律(能動原態)…他動詞、
…置けるok[-]e[r]u互律(可能態)…完遂に向け折り合って努力する(e[r]u)、

…置かるok[-]ar[-]u果律(結果態)…完遂が実現した状態(e[r]e[r]u)、
…置かれるok[-]ar[-]e[r]u果互律(受動態)…完遂結果に反応する(e[r]e[r]e[r]u)

・自他交替動詞を派生する接辞の組合わせは、この-e[r]u/-ar[-]uの対向が一番多い。典型的な動詞には、
:上げるag[-]e[r]u(他:自律)/上がるag[-]ar[-]u(自:自律)、
:休めるyasum[-]e[r]u(他:自律)/休まるyasum[-]ar[-]u(自:自律)、
:掴めるtukam[-]e[r]u(他:自律)/掴まるtukam[-]ar[-]u(自:自律)、
:求めるmotom[-]e[r]u(他:自律)/求まるmotom[-]ar[-]u(自:?自律!受律)、などがある。
 これらの元になる能動原態は「あぐag[-]u,休むyasum[-]u,掴むtukam[-]u,求むmotom[-]u」であり、原態に-e[r]uを膠着させて他動詞化もしくは可能態に交替させている。また、原態に-ar[-]uを膠着させて自動詞化・結果態(自発動詞)のような印象の態動詞にしている。

(2)自他交替すると、新動詞の態・述語律も変化するはず
 自他交替したそれぞれの動詞が「述語律:自受律」を持つのではないか?と推測できますが、考えてみましょう。

  1. 「態の四態」が万能方式であるなら、原態に→自受律、の述語律を与え、順次-e[r]uに↔互律、-ar[-]uに↑果律、-ar[-]e[r]uに↕果互律を与えるという態動詞の派生方法が通用するはずです。
  2. 当然ながら大部分の「自他交替は「態の四態を」成立させます。
    :上げるag[-]e[r]u:他動詞→自律、上がるag[-]ar[-]u:自動詞→自律と感じる動詞です。それぞれ「態の四態」を派生できます。
    ・自他交替で派生した自動詞/他動詞がどちらも→自律動詞であることが多いので「態の四態」を両方の動詞に適用できます。
  3. :ところが、休めるyasum[-]e[r]u:他動詞→自律と、自動詞↔(可能)互律、の二重の意味を持ちます。
    ・他動詞:手を休める→自律なら「四態OK」と判断します。
    一方、可能動詞:明日は休める↔互律(周囲条件と折り合いが取れる必要がある)では「四態NG」とみなすのが安全無難でしょう。
    つまり可能態では「四態の頂点:原動詞」にはなれないのです。

    ・自他交替したもう一方の自動詞:心身が休まるyasum[-]ar[-]u:→自律よりも複雑で
    「休めた効果の結果状態になる=yasum[-]e[r]-e[r]u」という意味の休まるyasum[-]ar[-]uなのでしょう。
     つまり休むyasum[-]uを完遂状態-e[r]uにする/なる+その効果を現実状態-e[r]uになる/する、の意味であり、-ar[-]uは積極的な自律動詞の側面があるのです。(-e[r]-e[r]u=-ar[-]uに相当します)
  4. 古代では已然-e-までしか使えず、-e[r]uに届かなかったので、休めれるyasum[-]e[r]e[r]uの派生は考慮の圏外、論外なのであった。
    その代わりが、休まるyasum[-]ar[-]uであったろう。
    ・現代で、休めれるyasum[-]e[r]e[r]uを、休めるyasum[-]e[r]uと同じ意味でしか使わないようでは混乱状態を招くことになる。
    :可能の休めるyasum[-]e[r]u↔互律は、状態の互律でもあり、自律動作の側面が弱いと感じる。
    自他交替の休まるyasum[-]ar[-]u→自律(積極結果出し)が主産物で、意図的に休める工夫の行動をとることを意味する。(上がる/休まる/掴まる/求まる:自律動作感を引き出す程度に強弱あり)

(3)二重可能態-e[r]e[r]u は正しい用法か?
 では、二重可能態は成立する使い方がないのだろうか?

  1. 現代において、可能態動詞を「四態頂点に置く」ことが認められているのは、「使役態四態」だけです。
  2. :休ませるyasum[-]as[-]e[r]u ;→命互従律(前回態四態説明)、
    …休ませれるyasum[-]as[-]e[r]e[r]u ;↔(使役互律)命互互律、
    …休ませらるyasum[-]as[-]e[r]ar[-]u ;↑(使役果律)命互果律、
    …休ませられるyasum[-]as[-]e[r]ar[-]e[r]u ;↕(使役果互律)命互果互律、が使われます。
  3. 非難されずに二重可能「休ませれる」が認められるのは、使役系可能態だけです。(主/客双方の互律を重視)
  4. …強制可能休ませるyasum[-]as[-]e[r]u ・↔命従互律(主命/客従互律)、(命ずるだけで客に従互律を課すのは実態に合わないが…)使役原態休ませるyasum[-]as[-]e[r]u ;→命互従律(主命互律/客従律)、(命じ補助して客に従律を課すこと…)
    …使役可能休ませれるyasum[-]as[-]e[r]e[r]u ;↔使役互律(主命互/客従互律)、(主命客従律を相互で完遂する…)
    これらの「述語律」の違いに対して、登場人物の動作意図を忖度して考えてみてください。

(4)二重結果態-ar[-]ar[-]u は正しい用法か?

  1. 上がる/休まる/掴まる/(求まる)=D[-]ar[-]u は、自律自動詞と解釈される場合が多い。
    (「求まる」は果律結果態とみなされることも多く、辞典の見出し語にないようだ)
  2. 自律動詞なら、「態の四態頂点に置く」ことができます。
  3. :掴まるtukam[-]ar[-]u も能動原動詞→自律と解釈されて、「四態頂点動詞」の位置づけで使われる。
    ・列車内放送で「安全のため、吊り革などに→おつかまりくださいo-tukam[-]ar[i/-]-kudas[-]ar[0i=I](mas[-]e)- !」とアナウンスする。
    (掴める状態で身体安定を確保する動作を促す放送です)
  4. :掴まる/掴まれる/捕まらる/掴まられるtukam[-]ar[-]ar[-]e[r]u、
    の「四態」は正しく理解されてほしい用法です。
    ・掴む/…/…/掴まれるtukam[-]ar[-]e[r]u の四態との違いを忖度して理解できることが大切です。
    ・原態掴むtukam[-]u:客体を動かさないために保持する意味で、
    ・原態掴まるtukam[-]ar[-]u:客体を掴み、自身を安定保持する、という積極的動作の意図を表現します。
  5. この「双方の四態」の掴まるtukam[-]ar[-]u は同一形態ですが、一方は能動原態で解釈されて使用され、片方は掴むの結果態と解釈されて使われる。(しかし、辞典や学者の理解ある解説はありません)
  6. 通論では、-ar-が人為を超えた結果現象の表現だとする「不作為論」が多いのだが、それが-ar-の意味の真芯ではない。
  7. 実際は人為の尽力意図があっての-ar-が大部分なのです。
    なにしろ、-e[r]u, -e[r]e[-]u=-ar[-]u, -e[r]e[r]e[r]u=-ar[-]e[r]u, のように已然実現意欲が山盛りの接辞膠着による表現なのですから。
  8. 現代までの通論では、四態の概念や態の二重化などが正確に考慮・考察されてこなかったからでしょう。
  9. 受動-(ar[-])e[r]u の-ar- (結果)を抜くと、可能-e[r]u (完遂実現)に相当する。当たり前の実績受動態と尽力可能態の関係であり、「ら抜き」言葉だなどと毛嫌いするのは大いなる筋違いです。
  10. 本来は、-e[r]u 已然可能が先行して存在し、次に結果-ar[-]u, 受動-ar[-]e[r]u, が登場すると好都合だった。現代なら、時間を遡って態接辞の全部を見渡せる。時代順に左右されずに整理できるはずです。

 今回の解説で動詞述語の動作相の状態と態の表現描写を考察した。
「態の四態」が教えてくれることを開示すると、
・態原動詞:→自律/←受律を持つ、(主/客に関与し規律する)
・可能態 互律↔、/結果態 果律↑、/受動態 果互律↕:どれも-e[r]-接辞を含む(潜在)ので、ともに主/客に関与し規律する。
・つまり、(どんな態動詞であっても)述語は一つであっても主部全体に規律を発揮する、ということが重要な結論です。第三者が受動態を使って主体の動作を敬語表現することもできるわけです。

つづく:次回は「新手法の活用節」=(体言/用言)[連用/連体/終止] 

 

2024/08/27

「新手法」の用語(2):主部律と述語律

「新手法」の用語(2):主部律と述語律
新著『日本語の述語文法 〜「新手法」で学び取れる〜』で解説した「新用語」をなじみやすく解説しています。第2回目です。

 前回に示した「新用語の用語例−1」を再掲します。
用語例ー1(解説回目)ーー(出現回数)
・(1回目) 二段活用連体接辞:-u[r]u-(38回):-ur-(1回否定文脈)
・(2回目) 主部(325回):主部律(58回):主語律(8回否定文脈)
・述(896回):述部(84回):述語(603回)
 (3回目) :述語律(349回):述部律(2回否定文脈)
・文の構成(11回):文節(168回):文節の構造(0回)
 :文節の細部(3回):自立語節+活用節(3回)
・(4回目) 活用節(103回):活用語尾(11回否定文脈)
 :活用節=(22回)
 :体言(の)活用節(5回):用言(の)活用節(4回)
 :補語活用節(3回):述語活用(18回)
・(各回で使用) 膠着(183回):膠着強度(22回)
 :膠着種別(6回)〜種類(0回)
 :膠着記号:派生[/](85回)、複合[+](346回)、縮約[×](180回)

(1)新手法の「主部律と「述語律」の詳細分析
 前回は、二段活用の連体形接辞:-u[r]u-と:-ur-(否定文脈)の比較をしつつ、-u[r]u-:終止形二重化の表現と解釈することの利点を述べた。
今回は、文章の主部要素と述部要素に対する常識的概念をこの際一新してほしいので、主部律/述語律について分析したい。
新著の用語出現回数・主部(325回)/述語(603回)
:主部律(58回):主語律(8回否定文脈)
:述語律(349回):述部律(2回否定文脈)
日本語の述語は「文章の「主語の人称に」応じた形態変化をしません。

  1. つまり、述語概念は人称とは独立した不定詞(述語事象概念だけで)運用ができます。
  2. 西欧語のように「主語が「述語を」規律することを「主語律」と名付けるなら、日本語は「主語律の「言語」ではありません。
  3. 日本語は「主部律の「言語」であり、「主/客/対象物の「主部要素」がそれぞれ連用形となり「一つの「述語」と「対向照応」して「規律」を完結します。
  4. また、述語要素は「単独の述語が」規律を発揮して「主部律との「規律関係」を完結します。「述語律」であり「述部律」ではありません。一つの述語が「主/客/対象物」を規律します。
  5. 例文:主部変化に述語は柔軟に対応の「述語律」を持つ。
    例文:(イチゴは売る、イチゴが?売る、イチゴを売る、と主部連用形を変化させて述語に連結して読んでみてください。
    ・a:イチゴ[+は/+が?/+を] 売る。ur[-]u.(売る自律・受律)
    ・b:イチゴ[+は/+が/+を] 売っている。ur[0i=Q]te[+]i[r]u.
    (売って[+]いる:売る自律・受律[+]いる=状態互律)
    ・c:イチゴ[+は/+が/+を] 売れている。ur[-]e[-]te[+]i[r]u.
    (売れて[+]いる:売れて(人と物の)互律[+]いる=状態互律)
  6. 売る:動作主の自律、対象物の受律(受けるだけの動作)
    [+]いる:連用形事象が主部要素のすべてに「及んでいる状態を」表現するので、「イチゴが売っている」で受律「状態の場に」あると理解できます。(受律状態にある:受動態状態の受律表現)
  7. 売れる:自律/受律が完遂(人・物が相互条件すり合わせ互律)する。
    売れて:已然連用形[+]いる:実現互律+状態互律の表現。
  8. 日本語の「述語律」が特徴的なのは、
    ・a:自律/受律が並立していること。(自受律と呼べる)
    (人には、有情有意のものとして、「自律」を解釈する)
    (物には、無情無意のものとして、「受律」を解釈する)
    ・b:正然連用形([+]いる/[+]ある)の形態で「動作の経過状態/結果状態」として描写すると、文脈の「主部要素すべてを」状態の場に収め得ること。(状態互律と呼べる)
    ・c:已然連用形([+]いる/[+]ある)の形態で「動作の完遂状態」として描写すると、文脈の「主部要素を「完遂互律」の対象範囲:主部律に収め得ること。(完遂互律+状態互律と呼べる)

  9. 上記の「述語律」を整理すると、
    ・a例:自受律…単純形動詞でも「主部要素:主/客/対象物」に対する規律力を発揮する。互律よりも緩やかな規律力である。
    (見す/着す/乗す:自受律…見せる/着せる/乗せる:主/客が隣接するなら自受律に介添え動作を含む互律性の表現が優勢)
    ・b例:自受律+いる状態互律…事象進行の状態を叙述するので、主部要素全体に述語律が行き渡るように配慮されやすくなる。
    (イチゴが売っている:潜在する人間の販売行為も容易に想像できる。売られている、だと逆に人間の行為が遠くなる)
    ・c例:已然連用形互律+いる状態互律…事象実現の状態を叙述するので、結果状態に関与する主部要素が注目される。
    (イチゴが売れている:売り手・買い手の行為思い、イチゴの品質・量などがよかったのか?と思いが向かう)
     

(2)「態が「動詞の述語律」を決める:では、状態互律は?

 「新文法」では、態:三系四態(3×4=12種類)に「動詞の述語律」を割当てています。
・能動態系=動詞語幹[/]態接辞[/]態接辞=D[-/r]( [0]-, e-, ar-, ar[-]e-)[-/r]u
 :能動態「自受律」可能態「互律」結果態「果律」受動態「果互律」
・強制態系=D[-/s]as[-]( [0]-, e-, ar-, ar[-]e-)[-/r]u
 :強制態「命従律」可能態「命従互律」結果態「命従果律」受動態「命従果互律」…(命従律=主命じ・客服従的自律)
・使役態系=D[-/s]as[-]e[r]( [0]-, e-, ar-, ar[-]e-)[-/r]u
 :使役態「命互従律」可能態「使役互律」結果態「使役果律」受動態「使役果互律」…(使役=主命じ互助し・客服従的自律)

動詞述語律を簡潔・簡単に解説しました。
態動詞が発話されるとき、「主/客/対象物」が如何なる意識・意図を内包して行動しているのかを感得できるように言語化したものです。
・三系四態の態動詞は、[自受/命従/命互従](1/互/果/果互)律…で選択した述語律によって文章中の「登場人・物」に役割を割り当てる働きをする。
会話の際では、何度も「主/客/…」を言わなくても、述語律が構文構造を支える機能に頼ることが多い。

 では、状態互律はどこにあるのか?

(3)前回の「二段活用連体形-u[r]u-に」ヒントがあります。

  1. 終止形-uに終止形-[r]u-の二重化:事象遂行した状態を表現する。「主/客/物」すべてに終了状態の状況が関与し規律する。
    ・a:稲[+は/+が/+を] 育つる:sodat[-]u[r]u(遂行の状態互律)
    (自他両用動詞に感じることも状態互律と解釈しやすい) 
  2. 正然連用形[+]いる/ある=事象遂行/結果状態の互律:全主部が関与し得る描写ができる。(対象物の自受律、状態で互律化)
    ・b:自販機[+は/+が/+を] 置いている:ok[0i=I/-]te[+]i[r]u。
    ・b’:自販機[+は/+が/+を] 置いてある:ok[0i=I/-]te[+]ar[-]u。
    (いる:遂行中、ある:実現結果の状態を表現する)
  3. 已然連用形[+]いる/ある=事象完遂/実績状態の互律:全主部が関与し得る描写ができる。(已然連用形:互律、状態でも互律)
    ・c:報告書[+は/+が/+を] 書けている:kak[-]e[i/-]te[+]i[r]u。
    ・c’:報告書[+は/+が/+を] 書けてある:kak[-]e[i/-]te[+]ar[-]u。
    (已然:相手の条件とすり合わせ、完遂に尽力する「互律」、
    その実現状態での関与状況を述べるための「互律」です)

  4. 「状態の互律」の動作相と態との関係
    置くok[-]uを使って「状態互律と「態の四態」を比べてみよう。
    …状態:置いているok[0i=I/-]te[+]i[r]u、
    =動態:置けるok[-/r]e[r]u:可能態に転換OK。
    …状態:置いてあるok[0i=I/-]te[+]ar[-]u、
    =動態:置かるok[-]ar[-]u:結果態(古語の受動態)に転換OK。
    (二重可能態:置けれ?るok[-]e[r]e[r]u:冗長ダメ表現)
    #置けるok[-]e[r]uは状態互律では使えるが、態変化には注意。
    …状態:置けているok[-]e[-]te[+]i[r]u、
    =動態:置かるok[-]ar[-]u:結果態に転換:OK。
    …状態:置けてあるok[-]e[-]te[+]ar[-]u、
    =動態:置かれるok[-]ar[-]e[r]u:受動態に転換:OK。
    (三重可能態:置けれ?れ?るok[-]e[r]e[r]e[r]u:冗長ダメ表現)
    …状態:置かれている/あるok[-]ar[-]e[-]te[+]いる/ある:OK。
    =動態:置かれる:受動態以上には進展しない。
    (強制態/使役態に追加転換できる意味状態であるなら「置かれさせられ」などと転換可能ではあるが…)

  5. 正然・已然の連用形+状態表現は動作相の進行と態の進行が混合する感覚へ誘導するので、自制的で迷わない心構えでの判断力が必要です。

つづく:次回「自制的で迷わない心構えの判断力」について記述予定。

2024/08/26

「新手法」の用語(1):膠着方式

「新手法」の用語(1):膠着方式

 新著『日本語の述語文法 〜「新手法」で学び取れる〜』で解説した概念構造は、学校文法での文節単位までの文法用語で説明しても矛盾しない用語は流用し、文節の下部:細部を解析する「自立語/付属語の膠着」に対する正確な分析概念を記述するために、「新手法」ごとに新用語を適用している。

『述語文法』の「まえがきから「参考図書」までの全254頁を全文検索して、新手法にまつわる用語の出現回数を調べてみました。
用語例ー1(解説回目)ーー(出現回数)
・(1回目) 二段活用連体接辞:-u[r]u-(38回):-ur-(1回否定文脈)
・(2回目) 主部(325回):主部律(58回):主語律(8回否定文脈)
・述(896回):述部(84回):述語(603回)
 (3回目) :述語律(349回):述部律(2回否定文脈)
・文の構成(11回):文節(168回):文節の構造(0回)
 :文節の細部(3回):自立語節+活用節(3回)
・(4回目) 活用節(103回):活用語尾(11回否定文脈)
 :活用節=(22回)
 :体言(の)活用節(5回):用言(の)活用節(4回)
 :補語活用節(3回):述語活用(18回)
・(各回で使用) 膠着(183回):膠着強度(22回)
 :膠着種別(6回)〜種類(0回)
 :膠着記号:派生[/](85回)、複合[+](346回)、縮約[×](180回)

用語例−1(新手法での詳細分析)
 上掲の用語例で示すように、「新手法」として新定義した用語例に対向して現文法の用語を否定文脈で使用した回数を表示してある。

  1. 新定義語と否定用語の対向を抜き出してみよう。
  2. ・二段活用連体接辞:-u[r]u-(38回):-ur-(1回否定文脈)
    ・主部(325回):主部律(58回):主語律(8回否定文脈) 
    ・述語(603回):述語律(349回):述部律(2回否定文脈)
    ・活用節(103回 / 活用節=(22回)):活用語尾(11回否定文脈)
  3. 日本語の原理には「膠着語方式の応用」が必須である、という方向に用語検索を誘導しています。
    ・今回は、「二段活用連体形の接辞」からはじめ、「膠着種別」に到達するまでを区切りとした。

 この区切り2項目は新文法の基点として大事な視点です。
しかし、現代文法では膠着語方式に立脚した視点からの解析がほとんど定着していません。
そこで「新文法」の視点を補足的に解説していきたい。

(1)膠着語の視点で「二段活用連体形-uru」を分析する
 古語時代では、終止形の-u接辞へのこだわりが強かったので、
・砕く/砕くる:kudak-u/kudak-uru:古語二段活用動詞
・過ぐ/過ぐる:sug-u/sug-uru:古語二段活用動詞
終止形kudak-u, sug-u, の形態(自/他共有)が優勢であっただろう。
しかし連体形-ur-uの-ur-接辞には固有の意義が認められない。

「新手法」では膠着種別の視点に立って
:二段活用連体形は-u[r]uの形態、つまり終止形-u-に追加の-[r]u-を付加した二重終止形-u[r]uだろう、と推測するのが特徴です。
これは事象動作が終止し「完了した事態を」描写することに相当する。
(-ur-という意味をなす接辞が存在したのではない、との意味です。無意味の-ur-を接辞として膠着させることは先史時代でも有り得ないことでしょう)

 事象終了-u-になった「状態」を描写するため、さらに-[r]u-(自律・受律)を付加したのだと推測する。事象完遂状態になった事態を-e[r]u-で表現する現代風可能態の視点と共通するのです。
つまり動作終了-u-の状態を、さらに-[r]u-で補強すると、自律・受律が働くので、動作主体、客体、対象のどれが主部連用形に立っても述語連結できるようになります。
(自他交替が起こり、自律・受律が混合したような「態動詞」が出現したように感じるのです)

 古語時代は、終止形に統語接辞-u-を必須としたので、-u[r]u-とみなす人が少なかった?のは理解できます。
さらに、何世紀も経過し近世に出現した-e[r]-に対しても、已然-e-に-[r]u-(自律・受律)が必然の登場なのだ、と見る言語学者は現代でも少ないのです。(接辞-ur-の意味構造を探求する人がもっと居てもよかろうに?)
 幸いにも一般世論は五段/一段どちらの活用でも已然-e-に-[r]u-を付加して可能態を毎日発話しています。膠着原理に立ち、-e[-/r]u-=-e[r]u-と解析するほうが確実な言語運用です。
文法のほうがむやみの禁則状態なのです。
つまり、二段活用連体形が-uru-の膠着で構成される、と解釈しても成果は出ない。これは歴史的な世紀をまたぐ負の教訓遺産なのでしょう。
だから-u[r]u-の派生膠着である、と解釈するほうが文法的な収穫が遥かに多くなるのです。
・二段活用動詞は、語幹末尾に連用形の母音:+i/+eを組み込んだ形態で
動詞語幹に見立てることにより、連用形+[r]uの形態で終止形-[-/r]uを表現できるようになった。
これが一段活用動詞への転換のはじまりです。
(砕ける:kudak;e-[r]u, 過ぎる:sug;i-[r]u,など母音末語幹が登場)
近世での日本語の大転換期です。同時期にはじまるのが、已然形-e-に-[r]u-を膠着連結する「可能態、完遂態」の試みでしょう。

(2)膠着の初歩段階を考える(初歩の演習)
 日本語の膠着方式[#]=派生[/],複合[+],縮約[×],の3種類の膠着結合があります。単純な複合膠着でも音便表現には工夫が必要です。

  1. 例1:日本語=日[+]本[+]語=niti[+]hon[+]go==
    ==niti[+0i=P](h)on[+]go==ni[t+P](h)on[+]go==
    ==ni[PP]on[+]go==nippongo.=にっぽんご。
  2. 例2:日本語=日[+]本[+]語=niti[+0i=00]hon[+]go==
    ==ni[ti=00]hon[+]go==ni[-]hon[+]go==nihongo.=にほんご。
  3. 例3:1.5=iti[+]ten[+]go==iti[+0i=Q]ten[+]go==i[t+T]ten[+]go==
    ==i[T]tengo.=いってんご。
  4. 例4:8×8=hati[+0i=Q]ha=ha[t+P](h)a=ha[PP]a=はっぱ。
    8×9=hati[+0i=Q]ku=ha[t=K]ku=ha[K]ku.=はっく。

注:‘0’i はイ音便のはじまりを示し、前音i を消音し、i=Q,T,P,Kで前音後音との発音器官の兼ね合いが取れる音素に変換する。

(3)膠着の全3種を確認(開示のみ説明省略)

  1. 派生[/]:読める:yom[-/r]e[-/r]u==yom[-]e[r]u.=よめる。可能態
    :食べれる:tabe[-/r]e[-/r]u==tabe[r]e[r]u.=たべれる。可能態
  2. 派生[/]:読みたい:yom[i/-]ta[k]0i==yom[i]ta[-]i.=よみたい。
  3. +複合[+]、縮約[×]:読みたがる:yom[i]ta[+]g(e[×])ar[-/r]u==
    ==yom[i]ta[+]gar[-]u.=よみたがる。
  4. 読みたかった:yom[i/-]ta[k]ar[0i=Q]ta==yom[i]ta[k]a[T]ta==
    ==yom[i]ta[k]a[t]ta.=よみたかった。
  5. 吾輩は猫である:wagahai[+]wa neko[+]de[×]ar[-/r]u==
    …wagahai[+]wa:名詞連用形。
    …neko[+]d(e[×])a(r[-]u)==[+]da,…[+]de([×]ar[i/-]ma)s[-/r]u==
    ==[+]des[-]u,…[+]de[×]gozar[0i=N](ma)s[-]u.…=猫である
    /猫だ/猫であります/猫です/猫でござんす。名詞(猫)終止形。

(注:[+]de[×]ar[-/r]u…[+]de[×]ar[i/-]mas[-]u,など名詞終止形:肯定を意味します。付属語だけの活用節なので「どれも判定詞」と命名しますが、述語律はありません。自立語(猫)が述語としての述語律も果たします)

つづく:次回は「主部律と「述語律」についてを記述します。_

2024/06/19

新著を上梓しました

新著を上梓しました  2024/6/19

 本ブログで長らく考察を重ねてきた述語文法をようやく一冊にまとめ、新著(出版社広報頁に→飛びます)
『日本語の述語文法〜「新手法」で学び取れる〜』、を上梓しました。
また、”日本語の述語文法 「新手法」”の単語でグーグル検索すると、ネット販売拠点が多数検出・表示される
ので、流通側の情報網には乗ったようです。

 この先の問題は本の内容にかかります。
じっくり机上で例文などを自習的に選択演算しながら読んでいただきたいので、本のページの見開きが180度
開いて保持できるような製本形式:つまり、手帳形式の綴り方による製本オプションを見積もり設定していただ
き、ネットからの自費出版でも製本依頼ができました。
(すばらしいです)
 著者には語学の学歴や学籍がありませんので、「新手法」を実際に試してもらい、体感していただくのが
頼りのツナです。「可能・完遂:-e[r]u」の態接辞をじっくりと感得・納得できるなら、全体把握が容易になります。
(態の三系四態の理解・共感が力になります)

 

2024/02/07

日本語の基本構文型(7)已然が構文相に登場する

日本語の基本構文型(7)已然が構文相に登場する

再掲 【日本語基本構文型1】 選択演算式応答文形式

【 T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③]. 】

注:(   ):要否選択、/ :択一選択(または両選択)、[ - ]/[ - ]:選択範囲整理と

択一/(両選択)、… :先行文終わり・後続文始め。

(択一選択を優先するが、言い回しで両選択も許される場合もある)

・主部要素-体言:T①連用形/T②連体形/T③終止形、

・述部要素-用言:Y①連用形/Y②連体形/Y③終止形、

・主部補語-体言:S①連用形/S②連体形/S③終止形で記号化。_

 

(12)動詞の活用で重要な”完了状態”の表現に相当する”已然”が、構文相①連用/②連体/③終止の範囲外になってしまっては、基本構文型に手落ちがあるかと心配になる。
幸い近世になって、可能動詞の概念が発達したおかげで、可能動詞の①連用/②連体/③終止を繰り入れできるので、構文相でも”完了”状態を表現できることになりました。
 この結果、等価的に①連用/②連体/③終止/④完了(已然)の広い表現範囲が基本構文型1でも無理なく想定できるようになりました。
素晴らしいことです。

 

 とは言っても、全面的な安心完了をしないでください。

・日本語の正式文法は、この已然接辞-e-の意味を正しく説明しきれずに世紀を超えて混沌のままに対応策を立てられずいます。

・(4)回目の(7)態の三系四態で簡略的に述べたように、-e-は”已然の接辞”でもあり、動作完遂を表わす”態の接辞”でもあり、自動詞/他動詞交替接辞でもあります。見かけの役割が多く見えても、意味の真芯は一つであり、-e[r]uは”動作が/を完遂する”ことです。

 

 まず、自動詞/他動詞交替接辞について考察しよう。

・交替接辞には、-as-,  -ar-, -e-の接辞:態の接辞が機能を果たします。

例1:自他両用原動詞に-e[r]u…-ar[-]uの接辞対向(最多の対向形式)
決む:kim-e[r]u:他→自律…kim-ar[-]u;自→自律(結果を得る)
求む:motom-e[r]u:他→自律…motom-ar[-]u:自→自律(結果を得る)
あぐ:ag-e[r]u:他→自律…ag-ar[-]u:自→自律(結果を得る)
やすむ:yasum-e[r]u:他→自律…yasum-ar[-]u:自→自律(結果を得る)

例2:自他交替 -e[r]uを付けて交替させる両用?対向。
立つ:tat-u:自→自律…tat-e[r]u:(自↔互律可能/他→自律)
割る:war-u:他→自律…war-e[r]u:(他↔互律可能/自→自発)

 

(13)已然形を仮定法に使用するのは”無謀すぎる”

 現状の公式文法では、-e[r]uの用法に確定的な意味付けをできないでいます。
(にも関わらず、已然-e-を仮定法にも使い多重役割を暗黙理に与えています)

 まず、例2の-e[r]uは、交替せずに可能を表現し、また交替役なら自動詞から他動詞へ、他動詞から自動詞へ交差交替するのです。
交差的に働く接辞と分析すると沼から抜け出せません。抜け出せないまま可能と交差交替の三役を果たす接辞に対して、さらに仮定法を与え四役にしています。

・已然-e-は動作に取り掛かり、-e[r]e-なら動作完遂し実現できる描写相になります。-e[r]e[+]ba-:動作実現の仮定形は勢いがついて、-e[r]e[r]uと二重可能を誘発します。(意図がなくても態が進んでしまう危険があります)

㋐tat-e[r]u:(他→自律)…tate[r]-e[r]u:(他↔互律可能)OK。
(他動詞:建てるの可能態として現代では建てれる:OK派生です)

㋑自動詞tat-e[r]u:(自↔互律可能)…tat-e[r]-e[r]u:(立つの↑果律結果態)?
(自動詞:立てればが実現すると、論理的には「立てれる/立てれた」だが、
通常は「立つ/立った:tat[-]u/tat[0i=Q]ta=ta[Q]ta=ta[t]taの継続動詞の活用で済ませることが多い。
もし論理を貫くなら、立てれる/立てれた=立たる/立たった:tat[-]ar[-]u/tat[-]ar[0i=Q]ta=tata[t]taと表現することになるでしょう。
しかし立つは継続動詞なので、先史時代でも態変化を重ねないで、立つの結果態↑果律で表現したのです)

・つまり↔↔二重互律・二重可能態:-e[r]-e[r]uは、先史時代なら=-ar[-]u:↑果律・結果態で表わすことが正論になります。

・建てる、食べる→自律・動詞として最初から已然事象を含んでいる動詞に可能-e[r]uをつけるのは一重可能ですから正常派生として問題ありません。(建てれる、食べれる、見れる、来れる=正常可能派生です)

 

・ところが、書けれる、行けれる、読めれる、食べれれる=D[-/r]-e[r]-

e[r]u:は可能-e[r]-に可能-e[r]uが二重盛りされる現代形態であり、
先史時代には-e[r]の用法がまだまだ存在しなかったから、考えられもしなかった。

先史古語時代では、-e[r]e[r]uが描写する事象には、-ar[-]u:↑果律結果態で表現する通用文法があったのです。
つまり、D[-/r]ar[-]u=kak[-]ar,ik[-]ar-,yom[-]ar-,tabe[r]ar-を規則としたのです。(書かる、行かる、読まる、食べらる…)

 

(14)ある:-ar-は、やり遂げて:-e[r]-, 実現する:-e[r]-事象/状態のこと

 自他交替の例1に上げた”-e[r]-/-ar-”交替をよく見ると、この交替機序の認識方法が「ある=完遂して実現する事象/状態=動作結果」を端的に表現しているのだと感得できます。

(態の四態:原態ー可能態-e[r]ー結果態-ar-(-e[r]e[r])ー受動態:ar[-]e[r]u)

・決むー決める:kim[-]e[r]uー(決めれる:kim[-]e[r]e[r]u)=決まる:kim[-]ar

[-]uー決まれる:kim[-]ar[-]e[r]u。

・休むー休める:yasum[-]e[r]uー(休めれる:yasum[-]e[r]e[r]u)=休まる:yasum[-]ar[-]uー休まれる:yasum[-]ar[-]e[r]u。

・上ぐー上げる:ag[-]e[r]uー(上げれる:ag[-]e[r]e[r]u)=上がる:ag[-]ar[-]uー上がれる:ag[-]ar[-]e[r]u。

・つかむーつかめる:tukam[-]e[r]uー(つかめれる:tukam[-]e[r]e[r]u)=つかまる:tukam[-]ar[-]uーつかまれる:tukam[-]ar[-]e[r]u。

 可能態から結果態への態の進み方は、事象の遂行と連動しています。

また、結果態から受動態への態の進み方も事象結果の周囲への関与反応の広がりという受動状態に連動しています。

・休まる/上がる/つかまる:これらは単に自動詞交替した結果というより、自律・場合により受律の意図的な動作遂行を表わす動詞でもあります。自他交替で態も入れ替わります。ある:-ar-が内包する多様な意味はこういう機序によるのでしょう。
(残念ながら、-e[r]uの理解が不十分である現状では、-ar[-]uの理解にも届かない懸念があります。”ある”は人為の及ばぬ結果ではなく、尽力の結果で生まれる描写でもあるのです)

 

 以上、-e-/[-/r]e[-]ba,/-e[r]e[-]ba,/-e[r]-e[r]u, 仮定形を安易に使い回すと、態が進んでしまいます。だから、意識的に仮定形を変えます。

・仮定法=[+]なら、を使い、D[-/r]u[+]なら、K[k]0i[+]なら、M/My[+]なら、とすることを提案します。(なら、ばをつけない)

 

・流る/離るー流れる/離れるのように-e[r]uをつけると動態感覚が増してきます。

・書かす/読ます/任すー書かせる/読ませる/任せるなど強制態から強制可能態にすると、使役態とみなせます。
使役態は相手に”やらす”だけでなく、完遂できるように助言、手助けしての”やらせる動作”を想定しています。
現代では、任せれる:makas[-]e[r]-e[r]uは使役可能態の意図モードとして通用するし、
もちろん任せられる:makase[r]ar[-]e[r]u,と実績報告モードで表現することも並行してできます。

・書かせれる/任せれるは律他互律+互律(=律他互互律=使役互律=使役可能態)として通用し、
書かせらる/任せらるは律他互果律=使役果律として”態が進行”した状態も並行して通用する。

(先史時代は書かさる/任さる:強制果律(kak/mak)[-]as[-]ar[-]uのみで、as[-]e[r]-e[r]u表現が存在しなかった)

二重可能に相当する使役系の律他互互律の主客複合行動に対してだけ、二重可能が許容される現代の特例なのでしょう。

(→書かせる/→任せる=使役の→自律原動詞の語幹”D[-/s]as[-]e[r]”と見立てるから、これに可能をつけても二重可能ではありません)

 

 動詞が果たす「述語律」は態動詞としての規律力に対応した呼称ですから、まず態の変化や進行を敏感に感じとれるように学習する必要があります。-e[r]uは、すでに動作をしている/完遂することを目指した動詞です。完遂し完了した状態は態が進行したことになるのです。

 

 基本構文型の提案・概略説明はここで一区切りで(に-し-ま)す。

(「新文法「新手法」として原稿査読を進めます)



2024/02/06

日本語の基本文型型(6)名詞文の「述語律と「判定詞」

日本語の基本構文型(6)名詞文の「述語律と「判定詞」

再掲 【日本語基本構文型1】 選択演算式応答文形式

【 T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③]. 】

注:(   ):要否選択、/ :択一選択(または両選択)、[ - ]/[ - ]:選択範囲整理と

択一/(両選択)、… :先行文終わり・後続文始め。

(択一選択を優先するが、言い回しで両選択も許される場合もある)

・主部要素-体言:T①連用形/T②連体形/T③終止形、

・述部要素-用言:Y①連用形/Y②連体形/Y③終止形、

・主部補語-体言:S①連用形/S②連体形/S③終止形で記号化。_

 

(10)名詞文の「述語律」=名詞・名容詞の「述語律」

 主部補語が内包する「述語律」は、活用形が”S③終止形”のときに発揮される。

前回に記述したように”自立語[#]構文相の活用膠着”で

・”補語も「述語律」を持ち”、構文相:[#]判定詞=[+]de[×]ar[-]u=で・ある=にて・ある=[+]ni[i/-]te[×]ar[-]u には「述語律」を見込まない。

(用言も自立語に「述語律」を割当て、構文相には「述語律」を見込まない)

 

 名詞・名容詞が持つ各個別の意味は辞書が教えてくれます。
それらの意味/用途を区分化して、文章中で果たす役割「述語律」を明示する文法的整理をしておきます。
大まかに3種:指定律・措定律・推量伝聞律に区分した。

・「述語律「律記号 (語例用途)」を並べて一覧しましょう。

1)「指定律(名付け律)「=| (固有名詞/役職名詞/分類名詞/呼称名詞…)」など、

「=| (固有名詞 [富士山/信濃川/個人名/…])、

「=| (役職名詞 [社長/理事/部長/幹事/…])、

「=| (分類名詞 [脊椎動物/トマト/肉類/…])、など名詞用途が分かりやすい。
(名前付けで関係付けする名称名詞なのであり、”主=補”同一の意味ではない)

 

2)「措定律(当てはめ律)「:| (事由名詞)/ :| (概念化名詞)/ :| (普通名詞)」の3用途。

「:| (事由名詞 [はず/わけ/つもり/ため/…])、(分かりやすい)

「:| (概念化名詞 [の/なの/こと/もの/…])、(日本人には形式名詞も分かりやすい)

「:| (普通名詞 [当てはめ措定名詞/連体底名詞/…])、(普通名詞は帰納結語の用途で使われ、
文脈依存性が高いので分かりにくいことがある)

 詳細は「判定詞の意味解析」の(11)節立てをして解釈の注意点・文法援用法を新規に提起します。

 

3)「推量伝聞律「;| (推量名詞)/ ;| (推量接辞)/ ;| (伝聞名詞)/ 」3用途。

「;| (推量名詞 [よう/そう/…])、

「;| (推量接辞 [らしい/べき/…])、

「;| (伝聞名詞 [そう/こう/どう/…])、(どれも用途は分かりやすい)

 

 名詞(補語)③終止形には、上記名詞単語に「判定詞」が連結する形態を想定します。
補語「述語律 =|/, :|, / ;|, 」のうち、「:| (普通名詞 [措定語])」の場合は、(名詞の意味用途が文脈依存することが多いので、
修飾句などが省略されると)一気に分かりにくくなります。これを解決するのも補語文の文法的責務です。

(11) 判定詞:で・ある=にて・ある=に(し)て・ある

 補語文のうち、「:|(普通名詞 [措定語/連体底/…])[+]判定詞」の形態は何気なく使っているが、文法的な説明には深慮の工夫が必要である。

・判定詞=[+]de[×]ar[-]u=で・ある=にて・ある=に(し)て・ある、これが”補語と判定詞”の根本的意味につながる形態なのだろう。

・”にて”ある=[+]ni[i/-]te[+]ar[-]u=[+]ni[×]s[i/-]te[+]ar[-]u=に(し)て・ある、先史、古代では、にて=に(し)て=で、が混在して使われる時期があったのではないか?

・現代でも、にて=[に-おい-て/に-対し-て/に-決め-て/に-なっ-て/に-関し-て/に-従っ-て/]…=汎用化:に(し)て=で、の形態で使い馴染んでいる。

・補語文=補語(帰結)+に(し)て・ある=帰結語-に(事象完結し)-て・ある(状態)…これを意味するだろうと分析しました。

・学校に:場所の明示、学校で/学校にて:学校に-おい-ての行動を示唆

することが多い。

つまり、「事象が完結し/定着し”補語”が示す状態・状況・結果」にあるのだ、と言明するのが ”補語文”のねらいなのだろう。

・「これは「:|お湯」+[で・ある/に-し-て・ある/に-沸かし-て・ある]。

(「水を→沸かして…「:|お湯」にして・ある)

・「太郎は…「:|予定」+[で・ある/に-し-て・ある/に-決め-て・ある]。

(「相手へ」→行くと決めて…「:|予定」にして・ある)

・「日本人は…「:|習慣」+[で・ある/に-し-て・ある/に-なっ-て・ある]。

(「正月を→祝うようになって…「:|習慣」にして・ある)

 

 上例で判るように、補語[:|お湯 /:|予定 /:|習慣]の単語としての用途分析をすると、
補語=「動作の「帰結状態を→明示する「:|名詞」+である。

つまり、”完遂行動+帰結語補語+結果状態”の意味内容が”帰結語・補語”に内包されている。
例文の応答文を(回答文+)即答文で確認すると、

・「太郎は(「大阪に→行く)…「:|予定」+です。ではなく、

「太郎は…(「大阪に←行く)「:|予定」+です。と、行くを不定詞扱いに、

・「日本人は(「正月を→祝う)…「:|習慣」+です。ではなく、

「日本人は…(「正月を←祝う)「:|習慣」+です。と、祝うを不定詞扱いにする感覚でよいだろう。

・「太郎は「(:|)予定で(「大阪に→/←行く…「:|の」+で)す。

・「日本人は「(:|)習慣で(「正月を→/←祝う…「:|の」+で)す。

(日本人は「動詞を自律→/受律←:不定詞的にどちらも」→使います)

(「人魚構文」と騒ぐより、「受律/不定詞」の文法化の提唱のほうが、はるかに日本人にも世界人にも役立つのではないか)

 

 もう一つの形式にも通じる即答文の解釈ができます。

補語=「疑問詞に対し「:|解答語を→明示する「:|名詞」+である。の用途もある。
疑問文脈が相互理解できていると”端折り”即答文が通用します。

・「僕は(「何?を→注文?)…「:|うなぎ」+で/(に-し-ま)す。

・「姉は(どこ?に→居る?)…「:|台所」+で(に-居-ま)す。

・「日本人は(「なぜ?正月を→祝う?)…「:|習慣」+で(に-なっ-てま)す。

・「太郎は(「なぜ?大阪に→行く?)…「:|予定」+で(に-決め-てま)す。

・「次の停車駅は(「どこ?に)…「:|石神井公園駅」+で(に-停まり-ま)す。

(帰結説明/経緯説明の疑問文脈に解答する場合に成立する形態です)

 

 命題文・包摂文の概念は「固有名/種類名/役名/…」を補語にした構文で、
「=| 指定律:名付け律」範囲の「述語律」構文に留まる。

・問答文・解答文の概念は「帰結語/経緯語/解答語/理由語/事由語/誘導語/…」などの普通名詞を補語にした構文で、
応答用途の「:| 措定律:当てはめ/言いくるめ/解決説明」で解答する規律を発揮します。

発話の場での「端折り解答文」は相互理解にまったく支障がないでしょう。

←(3/25:最終段へ書き加えます。この段落は飛び越えても構いません)
 普通名詞+判定詞の形式では、構文上の名詞用途が ”に-し-て・ある”に隠れてしまうが、
普通名詞の根源が動作事象名詞であるとまず解釈することが必須条件なのかもしれません。
(予定にする/習慣にする=予定する/習慣するよりも目標結果を明確に定めての動作完遂した
状態を表現できる方法のようだ)
「人魚構文/人ウナギ文」と思う前に関連付随動作を思うとよい。
(”にしてある”を普通名詞が飲み込んでいるのだから、動作名詞の体言止めも一理ありか。
ar[-]=e[r]e[r]-の自律完遂力を内包してあるし、普通名詞部分が動作名詞の「述語律」を持ち、
汎用化した判定詞:”にしてある”には特定の述語律を想定しないのです)

→(飛び越えて、シン・最終段:2024/3/25)
 人魚構文の不都合な解釈の側面を再確認しておくと、
・名詞文(の判定詞)を西欧語流のコプラ機能(=|指定律)と解釈するだけで
・:|措定律、;|推量・伝聞律の解釈は、専用の名詞類「はず/つもり/わけ/そう/よう/らしい」
により辛うじて助けられる。心細い状況です。

(新文法としては、以下のように解釈する)
・補語文=普通名詞+判定詞が即答文形式で使われるとき、
普通名詞=即答名詞・解答名詞が選択されており、:|措定律を発揮する。
(従って、即答名詞・解答名詞は=時/場所/誰/何/事由/どう/量/比況/…
つまり5W・3Hの疑問に対する回答名詞を選択して的確に答える)

例:「僕は「:|うなぎ」+で(に-し-ま)す。
・「太郎は(「大阪に→行く)「:|予定」+で(に-決めて-ありま)す。
・「日本人は(正月を→祝う)「:|習慣」+で(に-し-てま)す。
・「姉は(子供が)「:|二人」+です。
・「姉は(今は)「:|台所」+で(に-い-ま)す。

なお、5W3H疑問の解答語は連体修飾の被修飾語:底です。
内/外の関係については外・内の両方にしても成り立ちます。

・「太郎は「:|予定」に_より_「大阪に」→行きます。
・「日本人は「:|習慣で「正月を→祝う「:|の」+です。
・当時の「首相は「:|(;|)見込みで→言うと、「米の輸入を」→容認する
「:|打開策なの」かも…?
・「姉は「:|二人「子供が」→います。

 主部要素の間の主部律関係=主部要素/補語要素の関係と、
述語要素の間の述語律関係=用言要素/補語要素(解答権利の述語律あり)の関係を
明確に感得できると、人魚構文の誤解から脱却できるでしょう。

つづく。 つぎは、動詞の已然が構文相に登場へ…




2024/02/05

日本語の基本構文型(5)品定め文・物語り文

日本語の基本構文型(5)品定め文・物語り文

再掲 【日本語基本構文型1】 選択演算式応答文形式

【 T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③]. 】

注:(   ):要否選択、/ :択一選択(または両選択)、[ - ]/[ - ]:選択範囲整理と

択一/(両選択)、… :先行文終わり・後続文始め。

(択一選択を優先するが、言い回しで両選択も許される場合もある)

・主部要素-体言:T①連用形/T②連体形/T③終止形、

・述部要素-用言:Y①連用形/Y②連体形/Y③終止形、

・主部補語-体言:S①連用形/S②連体形/S③終止形で記号化。_

 

(8)品定め文/物語り文を識別する条件:

 構文が言わんとする真意を解釈するには何を手掛かりに判別したらよいのか。

基本的には少量の文章から「品定め文」なのか、「物語り文」なのか、を判別していくことからはじまるので、識別の全容を解説することはできないが、「手掛かりの「発見法」については、示唆しておきたい。

・「手掛かり」は単文の「主部+述部」、基本構文型の「先行文…後続文」のなかに探し出すことができます。

 原則的な識別には、述部の③終止形が用言か/体言かで見分けられる。

・述部要素:用言Y(動詞/形容詞)が③終止形で構文をしめくくる、と

 「物語り文」である可能性が高いのです。(…[S①-Y③].)

・主部要素:体言T/S(名詞/名容詞)が③終止形で構文をしめくくる、と

 「品定め文」である可能性が高いのです。(…[S①-S③].)

(主部要素が補語になって③終止形になると述語役も果たします)

・「物語り文の「末尾」に「補語要素③終止形」を連結して「状況説明文=品定め文」に転換させることもあります。

…[S①-Y③/②/①]+[S①-S③] =

:「大阪にS①→行くY②「:|のS③」+です。

:または…「予定でS①:>忙しいY②「:|はずS③」+だ。

 このように、述部③終止形が構文の意味に果たす役割は大きいです。

 

 もう一つ原則的な識別には、主部要素のT/S①連用形の「助詞の使い方」を見分けることで判断できます。

・主部要素:①連用形に、

 [+]は:(関)係助詞を使う構文は、「品定め文」である確率が高いです。

・主部要素:①連用形に、

  [+]が:格助詞を使う構文は、「物語り文」である確率が高いのです。

 

・主部要素:①連用形に、[+]は、[+]が、の両方が使われる場合、

 「品定め文①連用+「物語り文②連体+(品定め文③終止)」のように「入れ子型」になることが多いでしょう。

【基本構文型1】になぞらえながら分析してみましょう。

 T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③].

=T①…S①-Y②-S③

:「象はT①…「鼻がS①:>長いY②「:|動物S③」+だ。

:「彼はT①…「財布がS①」↕盗まれたY②③「;|そうS③」+です。

=T①…S①-Y③

:「花子はT①…「ピアノがS①」↔弾けるY③。

 [+]は、[+]が:両方とも原意として、主語・主体を示す専用の助詞ではありません。

・[+]は:彼は/財布は/盗まれたのは/のように、主部要素のどれに注目して説明するのかを示す(関)係助詞です。

説明文に登場する人/物のどれに焦点光を当てるかを示す役割です。

動作主体ではなく、説明の前提条件に焦点光を当てて話し始める場合もあります。

 

・[+]が:(連体助詞、格助詞、接続助詞)のうち、[+]が①連用形:格助詞としての働きです。

:彼が/財布が/盗まれたのが/というと、焦点光を当てると同時に述語との結びつきを強調して”~[+]が”に引き当てるような効果でしょう。

:僕や君でなく”彼が”/カバンでなく”財布が”/失くしたのでなく”盗まれたのが”/…焦点光を当てた要素が排他的意図で主張される感じです。

:疑問文では”誰が”/”何が”/…盗まれたのか?に応答して”彼が”/”財布が”/…と排他的意図のもとに発話されます。

 

:[+]はの場合なら、”僕は”/”カバンは”/…関係ありません!と控えめな表現になります。

 ”[+]は要素”は選択的意図により発話されるが、対比的に見えても排他的意図を含まない。

:「僕はT①…「君がS①「:|好きS③」+だ。(”君がS①” 好きの根源③そのものなのだ、という意味です。好きの根源にあるのは君以外ないのだ、という排他的表現の意図が、”君[+]が”(に-潜在し-て=で)あります)

 

(9)「品定め要素」を確実に復習しておく

 原則的な「品定め文」の識別法は前述の通りですが、まずこれを整理しておきましょう。

 「品定め文」構造の条件:

・主部要素:”〜[+]は①連用形”…品定め文を誘導する。(T①は…)

・述部要素:体言(名詞/名容詞)③終止形…品定め文になる。(…-S③)

・述部要素:用言(動詞/形容詞)③終止形(②連体形変身)+体言③終止形が連結すると、品定め文になる。(T①-Y①/②/③…(S①)-S③)

(最後の体言③終止形が省略されることがあり、結果的に”主部[+]は”の誘導だけで品定めに決まる場合も多い)

 品定め要素として関与するのは、

・述語要素の体言”T③終止形”が補語”S③終止形”である。これが原則です。通常では主部要素であるのに、構文中で”補語③終止形”の役割を持つと、「述語律を発揮する」立場になるのです。

・「品定め要素」=補語③終止形=補語体言[+]判定詞(である/だ/です/)

(補語体言:補語であり、体言の性質に依存して「述語律:指定律/措定律/推量伝聞律の3種類」のどれかを内包すると規定する。判定詞には「述語律」を見込まない)

 

・用言:”自立語[(動詞語幹+態接辞)/(形容詞語幹)]+構文相”で活用し、

 自立語部分で「述語律」を発揮します。

・体言:”自立語[名詞単語・名容詞単語]+構文相”で活用しますから、

 同様に体言も自立語部分で「述語律」を発揮していると、解釈するのは合理的な考え方なのです。(特に、補語③文での「述語律」は大事です)

 

つづく。 次は、名詞文の「述語律と「判定詞」…へ。

2024/02/04

日本語の基本構文型(4)本旨構文・主部律・述語律

日本語の基本構文型(4)本旨構文・主部律・述語律

再掲 【日本語基本構文型1】 選択演算式応答文形式

【 T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③]. 】

注:(   ):要否選択、/ :択一選択(または両選択)、[ - ]/[ - ]:選択範囲整理と

択一/(両選択)、… :先行文終わり・後続文始め。

(択一選択を優先するが、言い回しで両選択も許される場合もある)

・主部要素-体言:T①連用形/T②連体形/T③終止形、

・述部要素-用言:Y①連用形/Y②連体形/Y③終止形、

・主部補語-体言:S①連用形/S②連体形/S③終止形で記号化。_

 

(6)「本旨構文「主部律「述語律」とは

 【基本構文型1】は「本旨構文=主部要素+述語要素」を原点にした文章形式です。修飾句などのつかない”主部+述語”の骨組み構文を本旨構文だと想定します。

・「主部要素=「登場人・物」が 「述語要素=如何なる状況か/動作か」を表現するのが本旨構文の必須条件と考えます。

 「述語要素=如何なる状況か」を述べる文章は「品定め文」と呼び、

「述語要素=如何なる動作か」を述べる文章は「物語り文」と呼び分ける文法定義もあります。これも重要な識別視点です。

・文章に「登場する人・物=「主部要素」は、主体/客体/対象…など複数ありますが、すべてを登場させたり、毎回何度も登場させるのは煩雑になり不必要です。

 必要なときに登場させるだけで理解を妨げないかぎり自由に選択して文章を進めることが可能です。つまり「登場人・物」枠には「空枠」があっても「なにか「一枠」くらいに「主部要素」があるなら文章は成立する可能性が高いのです。成立するかどうかは「主部律「述語律」の規律関係によります。

(日本語は「主語必須主義でなく「主部あるなら主義」ですから、主語律でなく、「主部律」で規律します)

 

・【基本構文型1】は、先行の「主部要素に対して「前後に「修飾句が」付く場合の選択要素も見込んであり、同様に後続の「述語要素に対しても「前後に「修飾句が」付く場合の選択肢も見込んだ構造になっています。それでも文章の意味を把握するには「本旨構文の「骨組み構造を「脳内に」想像できる状態が望ましい。

 

・「主部律「述語律」

 「主部律」:「登場人・物=名詞的体言」=主/客/対象の相互規律の関係を「用途ごとの「(係)格助詞により明示すること」です。

・(係)格助詞=[+]は/が/を/で/に/と/…で主部相互の規律関係を明示するのです。

(新文法では、これと合わせて「述語律」を提起しました)

 「述語律」:原則、本旨構文は「一つの述語」で文章をまとめる上げる働きをします。

…動詞述語律:動詞語幹が持つ述語意味による規律力は動詞そのものに任せます。汎用的には[/]態接辞の膠着に対して「述語律」を設定し、

…"能動態" 自律・受律/"可能態" 互律/"結果態" (結)果律/"受動態" 果互律、の「四態「述語律」を基本に設定しました。

…”強制態” 律他自律(命じて他に服従的自律動作をやらす:[-/s]as[-]u)、

…”使役態” 律他互律(:[-/s]as[-]e[-]u:完遂に必要なら手助けする)、

 (”使役受動態” 使役果互律=律他互果互律(:[-/s]as[-]e[r]ar[-]e[r]u:使役完遂結果の関与者の誰彼に規律関係を示す:主/客/対象/他…に表現規律が及ぶ)のように、態接辞の機能による「述語律」を設定します。

 

・「述語律」の種類:

…動詞=態三系四態=3×4=12種類、

(態の律記号=能動四態(→,↔,↑,↕)、強制四態(・→,・↔,・↑,・↕)、

 使役四態( ;→, ;↔, ;↑, ;↕)、また四態一括記号(✜, ・✜, ;✜)を規定した)

(一括記号:上/下=原態/受動態、右/左=可能態/結果態の双対構造)

 

…形容詞=感情律/属性律/感属律の3種類、

(形容詞の律記号=体感的”感情律” :<, 発散的"属性律" :>, 評価的"感情属性律" :<>, 主/客の関わり方で規律を3種類に区分した)

 

…名詞/名容詞=指定律(名前付)/措定律(事由付け/当てはめ)/推量伝聞律の3種類、

(主部構文と補語述語との間の関係性/関係付けを規律します。

補語述語の律記号=固有名詞など ”指名律" =| ,

事由措定など ”措定律” :| ,(はず/つもり/わけ/ため/)、(の/こと/もの/とき/形式名詞、普通名詞も)

よう・そう・らしいなど "推量伝聞律" ;| 、 で示す)

を定義します。

 

・「律記号」の使い方:

 「述語の律記号」を使うのは、文章の解釈のために「主部要素と「述語の「規律関係を」説明する際の「概念の道具として」です。

例:「主部要素は「直列入れ子型カギカッコで」→括って→明示し、

…「述語は「律記号を」→付けて→明示します。

(律記号は自立語・述語文節の頭部に付けます)

・「門口で「大きな犬に」↕吠えられて…→びっくりした。

・「花子さんなら「ピアノが」↔弾けます。

・「源さんは「饅頭が」:<>こわい。

( :<「饅頭が」:>こわい、と感属律を分解する方法は便利なので、脳内暗算の技としてなら応用してもよいが、膠着法則を曲げるほどのことは避けておこう。 むしろ、:<>こわいの「述語律」が感情主体と属性主体の二項主部を規律する明確な標識だと考えるとよい)

・「この「問題は←解く…「のが「:|簡単」+です。

(問題は←解く:受律=無情物が動作を受けるだけの規律、不定詞を受ける解釈が可能。補語述語 ”:|簡単+です” は主部要素であり、かつ「述語律」を発揮します。

付属語である ”判定詞 +です” には述語律を見込んでいません)

・「コウモリは「=|鳥類」+でなく…「=|哺乳類」+です。

(類属名詞は用途として準固有名詞と見立てて、指定律扱いとする)

 

(7)態動詞の四態概念:(態の三系四態にたどり着く根源概念です)

・「書くから「書ける:可能態が→できて、「書けれる?:二重可能態=:|結果態’」+だが…「結果態は「書かる:が「:|正式形態」+です。

・「書かれる:は「受動態の「:|正式形態」です…が「書けれれる?::|三重可能態’は=受動態’もどき」+でもあります!?

(可能態は便利で、態の変化を反映します。しかし乱用にはご用心!)

(kak[-]e[r]動作完遂+e[r]実現?=kak[-]ar[-]u動作結果・結果態!

 kak[-]e[r]e[r]+e[r]u完遂実現結果が周りに影響する=つまり受動態’=

 kak[-]ar[-]e[r]u受動態!)

この「新文法の概念」を明確に記憶してください。 方便的な説明ではありますが、-e[r]-e[r]-e[r]-は-e-已然実現形であり、-e[r]-可能態であり、-ar-結果態であり、-ar[-]e[r]-受動態であり、-e[r]-が大活躍なのです。

 

 動詞が果たす「述語律」は態動詞としての規律力に対応した呼称ですから、態の変化を敏感に感じとれるように学習する必要があります。

「自律/受律、互律、果律、果互律」どれも主語専用の「述語律」ではなく、主部要素:主語主体と客語、対象とどれにも柔軟に関わります。

(つまり、動詞は主語だけに「述語律」を発揮するのではなく、主部要素の①連用形のどれに対しても「その述語律」を働かせるのです)

 

つづく。 品定め文・物語り文…などへ。

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