2013/08/08(木)
ものごとを考えるとき「良いか/悪いか」二つに分けて判断を進めたり、手作業なども途中では「済んだ分と/済んでない分と」に区分けして管理する。
デジタル論理でも「1/0の二値判別」を組み合せて複雑な判断をさせることができます。
(1)「二つで一つ」ということ
二分したものは、二つで一つです。
ところが、二分した「片方を見て、それで全部だ」と判断してしまうという事例は珍しくないのです。
目の前で二分する場面を見ていないと余計にそうなります。
通常、「二分法的思考」とは、白/黒をはっきり分けて、どちらか一方への選択肢をとる思考法を言う。その思考法は小さな事柄の条件判断に有効な方法ですが、日常の複雑な事柄の判断には、多段階の「二分法判断」を積み重ねていく必要があります。
そこで重大な判断ミスが起きる原因は、「二分した片方を見て、それが全部だ」と思い込みが紛れ込むことです。
判断を後戻りさせられなくなります。
また、本来、二分法は多段階判断を積み上げるときの方法ですが、単一判断の場合に「白/黒」どちらかに決めこんで排他選択してしまうのは間違いです。
○「二分した片方とその相方を合体させて、全体把握ができるか」思考するのが目標です。
今回の思考実験では、「二分合体思考法」を提起します。
○デジタルの二値論理を例に「二分合体」を感じとってください。
○2入力1出力の論理回路を考える。
・文字略号 =|)- AND機能を表現。
・文字略号 =)>- OR機能を表現。
・AND回路は =|)-機能(正論理時間)と =)>-機能(負論理時間)に二分され、合体してAND回路として機能します。
・OR回路は =)>-機能と =|)-機能に二分され、合体してOR回路として機能します。
・さて応用問題です。
XOR回路は =))>-(または=⦆>-)機能と =||)-(または=∥)-)機能に二分され、合体してXOR回路として機能します。
・IAND回路(インクルージブAND回路)は =||)-(または=∥)-)機能と =))>-(または=⦆>-)機能に二分され、合体してIAND回路として機能します。
○デジタルの二値論理の世界では、「AND機能/OR機能」は「二つで一つ」です。「XOR機能/IAND機能」は「二つで一つ」です。
○世の中では、XOR機能の図形を描けても、IAND機能の図形を描けない人が多すぎます。
・参照:論理回路(正論理・負論理)
○なぜかというと、「片方を見て、それで全部だ」と思う人が多いからでしょう。
○「片方だけでは、残り片方が表現できない!」と思う人がいないからでしょう。残念ですね。
(2)日本語動詞の「能動・使役形/受動形」も「二つで一つ」です
日本語文法の思考実験:
○日本語の動詞:能動形・受動形の双対性 で記述したことも、二分合体思考法から出てきたものかも。
○「能動形/受動形で表現される行為は、二つで一つの動詞機能(二面性)を網羅する」ということ。
○日本語の動詞は、「自動詞と他動詞の対構成」や「能動形と受動形の対構成」、「使役形と受動形の対構成」などの「二つで一つ」の対構成があふれている。
○この特徴を実感できるように文法学習をしたいものです。
○「対構成」で記憶すれば労力の節約になるし、「片方だけでは全部ではない」という学習にもなるからです。
(3)万有資源「現有資源活用と創造資源活用」も「二つで一つ」です
・ドラッカー:『計画と実行は1つの仕事の2つの側面である』はまさしく「二つで一つ」を述べている。
○「現有資源(人物金組織)を活用し、計画:P、実行:Dすることと、創造資源を活用し、市場調査・研究開発:C、設備投資・市場開拓:Aすること」は「二つで一つ」です。
○二分合体させて活用する思考法が定着するとよいですね。
(4)団地エレベータホールの住戸案内表示板も「二つで一つ」
大規模修繕工事の際に修繕委員として表示板改修の提案をしました。
○各号棟の建屋には、エレベータ塔が2か所あり、住戸案内表示板も2枚あります。住戸は二分割されて各エレベータホールに図形表示されています。
○つまり「二つで一つ」ですから、初訪問の人が案内表示板の「片方を見て、それで全部」と思い込むと、目指す住戸にたどり着けません。
○改修提案は各表示板に「これは半分です/残りは別のエレベータ側です」の表記を追加したいということです。
○提案趣旨を理解した委員も少なく、施工業者には個別に説明したが十分な理解がなく、6週間で2回デザイン図を作ってきたが趣旨から遠かった。
○結局、自分で表示板をデジカメ撮影して、追加文を編集書込みして図案作成したものを手渡した。
多段階の判断を求められるとき、ものごとの姿を二面的にとらえる視点をもつと正しい解決ができるでしょう。
つまり、前段条件が事象を二分しているはずです。片方と相方を合体させて全体事象になるかどうか、見定めて次の判断につなげたい。それを二分合体思考法と名付けました。
デジタル論理の双対解釈は30才代の思考法だったし、日本語の能動形・受動形の双対感覚は30才前かもしれない。
昔話になってしまったが、わたしの思考法の進化が遅いのが再確認できました。
判断の思考スピードも遅いと自覚している。残念ながら一晩寝てからでないと判断がつかないことも多い。